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806 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2026/02/23(月) 19:40:38 ID:sp49-109-22-183.smd02.spmode.ne.jp [2/15]

日本大陸×プリプリ「The Melancholic Handler」小話「欧州飛行事始」2



 大日本帝国から欧州諸国に航空機や飛行船と並行して輸出されたのが、航空産業の先進国だった大日本帝国とその勢力圏で実際に発生した、
航空機および航空艦におけるインシデントに関する実際のレポートだった。
史実において世界初の自動車が世界初の交通事故を起こしたように、技術先進国とは課題先進国でもある。
故にこそ、大日本帝国および大東洋同盟は航空事故という面において途方もない知見と実績を持っていたのだ。
アルビオンが独占していた空運についての知識と知見と先例を知ることができたのは、各国にとっても僥倖だった。
 何しろ、教訓とは血を流さなくては得られないものが多い。
 だが、まるで未知の分野を手探りするより、何か先例を知っておいた方が楽なのは確か。
 先進国である大日本帝国が明かしてくれるその情報は、金では買えないほどの価値があり、金では補いきれない被害を抑えるものだった。
 どんなものがあったかといえば、こんな事例が報告され、教訓として共有されていた。

  • パイロットが操縦を誤って墜落させたが、そのパイロットは前日の夜遅くまで酒を飲んでいた。
  • 貨物輸送機に荷物目当てのハイジャック犯が乗っていて機内で殴り合いに発展。
  • 雲の中を飛行中に巨大な雹にぶつかって機体が破損、ギリギリで地面とのキスを回避。
  • 航空機などの導入に反対する過激派が飛行船を乗っ取ってテロを画策。
  • パイロットの一人がベテランだがとんでもないパワハラ野郎で、相方のパイロットを委縮させ、あわや事故を起こしかけた
  • 無理解な現地住人が荷物や部品などを金目当てに持ち去っており、原因追及のしようがなくなった・
  • 操縦を誤った飛行船が人口密集地に墜落して大災害

 馬鹿らしい案件もあったために最初こそ笑っていたものの、その本質---人間社会に横たわる普遍的な問題ということを悟ると、流石に笑えなかった。
それが引き起こした実害や危険は文字通り天文学的なものだ。人が簡単に死に、財産が失われてしまう。
それを起こすのは何気のないミスや人の習慣や性質。他の分野でも起こっていることだ。
だが、些細なそれが航空分野というスケールに拡張することで、深刻にしてしまうのだということを。
 実際、華々しい戦果を挙げたかに見えたロシア帝国陸軍航空隊でも、とんでもねぇ事故やインシデントが発生していたのだ。

  • 整備と補給を適当に行ったせいでパーツが緩んでしまい、そのパーツがパイロットを直撃して負傷させた
  • 記念品にと整備士が航空機からパーツを抜き取ったら、そのせいで航空機のエンジンが故障して飛行中止
  • 燃料の補給を行っている作業中にタバコを吸い、咎められて投げ捨てたらタンクの中に落ちて大炎上
  • 操縦方法をまともに知っていない人間が勝手に乗り込んで動かし、制御ができないままに建物に激突して機体をほぼ全損させる
  • 整備士が気に入らないパイロットの乗機の部品をわざと外れやすくさせた結果、墜落して死亡
  • 規定通りの部品を使わなかった結果、飛行中にパーツが壊れてあわや墜落しそうになった

 表に出せるものでもこれだけの事故や失敗が発生したのだから、さらに長い期間、多数の航空機を使えば何が起こってもおかしくない。
どれだけ確率が低かろうと、運用する数が増えて、使う期間が長くなれば可能性は何倍にも跳ね上がるものなのだ。
それを理路整然と言われれば、各国は納得せざるを得ない。便利だが、途方もなく危険なのだと。
極東で起こったことなのだ、と全く馬鹿にできないのだとも。

807 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2026/02/23(月) 19:41:45 ID:sp49-109-22-183.smd02.spmode.ne.jp [3/15]

 また、各国に輸出されたのは、航空用語であった。
 日本語ではなく、欧州圏の言語を元としたそれは、容易く浸透することになったのだ。
 だが、各国はこれに困惑した。てっきり日本語を覚えさせようとするかと思ったのだが、なじみ深い言語で出してきたのだから。
それを指摘したところ、大日本帝国側はこう言い切った。

「大東洋同盟圏だと欧州の言葉を学ぶのは簡単ですけど、欧州圏の人がこっちの言葉を覚えるのは大変でしょうから……」

 その申し訳なさそうな言い分に、欧州圏の国々は納得しかなかった。
 実際、日本語はクソ難しい。
 史実においてアメリカの国務省が公表した言語習得難易度ランクでは、日本語はカテゴリー5*。
2200時間以上の学習が必須な言語のカテゴリーであり、尚且つその中でも特に難しいと名指しで明記されるほど。
そんな言語を学んで非常時にも落ち着いて使えるようにせよ、というのはもはや苦行である。
反対に、日本語圏の人々にすれば、欧州の言語は意味とニュアンスと発音さえ分かればなんとかなる。
日本語は、自由度の高さを生かして他国の言葉でも貪欲に取り込んでしまえる自由度があるのだ。
その自由度ゆえに学習が難しいというのだから、なんとも難儀なものである。

 さらに、日本語よりも遊びがなく、言い回しが決まっている欧州圏の言語の方がよりダイレクトに伝わる、というのも利点として挙げられた。
元々は航空機技術を普及させた夢幻会が前世のそれを取り入れたのも、一々日本語訳して長ったらしくするよりもマシだからというためだ。
事故を防ぎ、あるいは誤解を招かないという合理性で、日本語は時に劣ることもある。

「合理性を追求しなくては、時にできることもできなくなります。
 着陸誘導で旗などを用いているのは、それだけ他の要素が混じらないから、というのもありますね」
「なるほど、身振り手振りならば万国共通というわけか……」
「それでも間違う可能性は0にはなりませんが、少なくとも言語のせいではなくなります。
 それに、今はまだ航空機のパイロットに声で複雑な指示を届かせるのはできませんからね」
「なるほど(……いずれはできる、か)」

 将来的には国境さえも超えることもできる、と豪語する日本側の担当者は、共通化を図ることの利便性をそのように説いた。
今日でさえも、航空艦は地形を超え、海を越え、国境を超えて人や物を運んでいる。それと同じことができるようになった時、
言葉が違うせいでミスが起こっては大いに困ることは確実なのだから。
 また、欧州側は日本の担当者が漏らした「声を届かせて複雑な指示を出せるようになる」という未来図を知り、将来にさらなる展望を持つことになった。
 斯くして、欧州は大航空時代を迎えた。アルビオンに追いつけ追い越せと、力の限り飛翔しようとしたのだ。

808 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2026/02/23(月) 19:42:42 ID:sp49-109-22-183.smd02.spmode.ne.jp [4/15]

以上、wiki転載はご自由に。

以前の話に輔弼という感じで。

現代でも航空機に関する知識は特殊技能だろうって?
夢幻会には転生前に航空機に関わる仕事をしていた人が含まれていましたし、
何よりもメーデー民がいましてね……
皆さんもみましょう、メーデー!今日の航空機の安全は先人たちの血と死体で作られているのだ!
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最終更新:2026年08月12日 10:00