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日蘭世界SS——ブレゲー ST90E “Aigle Réseau(エーグル・レゾー)”——

【機体スペック】
項目 内容
機種 :分散電動推進式STOL旅客機
製造 :ブレゲー社(Breguet Aviation)
共同開発 :Potez 、その他
全長 :31.4m
全幅 :34.8m
全高 :9.6m
主翼面積 :128㎡
空虚重量 :18.5t
最大離陸重量 :34t
最大ペイロード :10.5t
乗客数 :72~84名(標準78席)
乗員 :2~3名
巡航速度 :580km/h
最大速度 :650km/h
航続距離 :1,600km
実用上昇限度 :8,500m
離陸滑走距離 :約280m
着陸滑走距離 :約210m
使用滑走路 :300~500m級簡易滑走路対応
推進方式 :MHD発電・分散電動推進ハイブリッド
発電装置 :500kW級MHD発電機×8基
推進モーター :Potez AEM-800 ×6基
主構造材 :VP複合材・スターライト樹脂系耐熱材

【概要】
 ブレゲー ST90E “Aigle Réseau(空の鷲)”は、フランス連邦共和国(FFR)が21世紀初頭に開発した分散電動推進式STOL旅客機である。

 「大型空港を必要としない航空輸送網」の構築を目的として開発され、FFR本土・アフリカ州・海外領に広がる500m級簡易滑走路網を活用することで、従来航空網では接続困難であった地方都市・農業共同体・鉱山都市・砂漠拠点を高頻度で結ぶことに成功した。
 本機最大の特徴は、FFR軍用機「ポテ27」で実用化された分散電動推進技術を民生化し、さらにMHD発電技術を航空分野へ採用した点にある。
 従来旅客機のように大型空港へ依存せず、300~500m級滑走路と小規模ターミナルのみで高頻度運航を可能としたことから、「空飛ぶ地方鉄道」「空の路線バス」などと呼ばれ、FFR交通革命の象徴となった。

【開発】
 時は21世紀、FFRの民間航空産業において従来の固定翼型旅客機は存続の危機に立たされていた。
軍用として開発が推進されていた複合飛行船の技術が民間分野に浸透した結果、重量物資のみならず低価格旅客路線ですら複合飛行船のほぼ寡占状態となってしまったのである。
それだけならば高速(そして高価格)輸送・旅客路線で生き残れる…はずだったのだが更なる「刺客」が現れた。
FFR国鉄がその技術力の結晶として世に送り出した新型高速鉄道(TGV)、その最高速度は「650㎞/h」に達したのである。
最高速度だけをみれば未だジョット旅客機の方が優れているが、旅客機というのは搭乗手続きに時間がかかるし空港そのものが市街地から遠隔地にある場合がほとんどであるため移動時間もかかる。
FFR国鉄が発表した分析では、距離1000㎞から1500㎞の移動ならば総合時間でTGVの方が早いとされた。
その上で料金も安いとなれば勝敗は明白だ。
高速鉄道は大都市幹線を、複合飛行船は大量物流・安価旅客分野を支配し始め、従来型旅客機は存在意義を失いつつあった。 

 そんな存亡の危機に立たされた航空産業(複合飛行船の大手であるデヴォアティーヌ社は余裕であったが…)であるが、彼らも座して死を待つほど往生際は良くはない。
彼らが固定翼旅客機の復権として掲げた方針は大きく分けて次の二つである

  • 超音速旅客機の普及
  • 超短距離離着陸機(STOL機)へ主力の移行

この内、後者の実現に動いたのがブレゲー社であった。
元々ブレゲー社はFFR開闢期に優れたSTOL性能を有する名旅客機「ブレゲー765“サハラ”」を世に送り出した実績がある。
今回はその技術を継承し、昇華させるのだと意気軒昂であった。
そしてFFR国内にはアフリカ州を中心にブレゲー765の運用に用いられた500m級滑走路が多数整備され現在も多くが使用可能であった。
この「資産」も活用すれば固定翼旅客機はまだ生き残ると踏んだのである。
またSTOL性能を全面に押し出せば、従来の大型空港は必要ではなくなり、地方の町でも新設・維持できる程度のインフラで運用できる。
如何に総力戦思考のFFRと言っても、一定規模以下の都市全てに高速鉄道網を整備することは不可能であった。
その「死角」を突くのである。  
ブレゲー社は「固定翼航空機にしかできない役割」——すなわち分散高速輸送——へ活路を見出したのだ。
ST90E開発計画はこうして開始された。

826:モントゴメリー:2026/06/07(日) 00:49:03 HOST:124-141-115-168.rev.home.ne.jp
【設計】
 ST90E最大の特徴はその動力である。
本機は従来のターボプロップ旅客機とは異なり、ガスタービンが直接プロペラを駆動しない。
機内に搭載された500kW級MHD発電機モジュール8基が発電を行い、その電力によって主翼前縁に配置された6基のPotez AEM-800電動モーターを駆動するのだ。
 発電モジュールは「ラ・ピュセル」の“心臓”やヴェルサイユ級高速貨客船の主機関に採用された実績のあるものである。
さらに既に大量生産された規格品であるため量産効果(それも自動車産業級の!)による価格低減も期待できる。
当初は2000kW級モジュール2基の搭載も考えられたが、上記の量産効果と故障時の冗長性確保のために500kW級8基となった。
電動モーターはポテ社が「ポテ27」を設計した時に開発した規格品を採用。
ここでもコスト削減を意識している。
この駆動方式により各プロペラは完全独立制御が可能となり、離着陸時には左右揚力分布を能動的に制御することで極めて高い低速安定性を発揮する。
 また、分散配置されたプロペラ後流を主翼へ吹き付ける「ブロウンウィング効果」により、ST90Eは300m級滑走路からでも実用ペイロード状態で離陸可能となった。
(離陸時の不足電力はFeLuZn機内蓄電池より供給され、巡航中は発電モジュールの余剰出力によって再充電される。)

構造材にはFFR独自素材である「VP複合材」が全面採用されている。
VPは高剛性・耐熱性・耐腐食性を兼ね備えた素材であり、従来アルミ構造比で大幅な軽量化を実現できた。
さらにスターライト樹脂系耐熱材と組み合わせることで、MHD機関周辺の超高温環境にも耐えうる構造を実現している。
 こうした素材面の革新により、ST90Eは同規模従来旅客機比で「約25%」もの重量削減を達成した。
(客室設備・発電設備・蓄電池など構造材以外の重量比率が高いため、ポテ27ほどの軽量化には至らなかった)

【外観&性能】
 ST90Eの外観は、従来旅客機よりもむしろ大型STOL輸送機に近い。
高翼配置の主翼前縁には6基の大型低回転プロペラが並び、主翼後縁いっぱいに配置された二重隙間フラップと相まって、極めて特徴的なシルエットを形成している。
 胴体は短く太く設計されており、これは短距離離陸時のピッチ安定性と地方空港での取り回しを重視した結果である。
 また、低圧ワイドタイヤと長ストローク降着装置により、未舗装滑走路・砂地・草地・圧雪滑走路での運用も可能となった。
 巡航速度は580km/hと従来ジェット旅客機より遅い。
(というより、TGVよりも遅い!)
しかし本機は大空港を必要とせず、市街地近郊の小規模STOL発着場から直接運用できるため、総合移動時間では既存航空機を上回る場合も多かった。
 この特徴はアフリカ州、特にサハラ砂漠に点在する各種拠点への人員・物資輸送に威力を発揮し圧倒的な支持を受けた。

【運用】
 ST90Eは開発終了後、FFR政府の後押しもありエールフランスなど国内航空会社に即座に採用された。
そして主に中小規模の都市を結ぶ路線に投入された。
本機は大型空港設備を必要としないため、簡易ターミナル「MTN(Micro Terminal Node)」での運用が可能であった。
MTNは300m級滑走路を主軸とした簡易乗降施設であり、財政に余裕の無い地方自治体でも建設・維持が可能であった。
また登場手続きも大幅に簡素化することにより、極めて高頻度な運航が可能となった。
具体的には最大で1日18便もの短距離シャトル運航を実施した路線もあり、その高回転率と低インフラ依存性から「空飛ぶ路線バス」として認識されるに至った。
また整備性も考慮されており、機関部の整備は発電モジュールや電動モーターそのものを交換することにより整備時間やコストを削減している。

ST90Eは複合飛行船やTGVと競合する存在でなく、「鉄道と飛行船を繋ぐ高速毛細血管」として機能している。
こうしてFFRの交通網は複合飛行船・高速鉄道・STOL旅客機の「三位一体のよる相互補完」によりますます強靭化したのである。

827:モントゴメリー:2026/06/07(日) 00:49:42 HOST:124-141-115-168.rev.home.ne.jp
以上です。
ウィキ掲載は自由です。

最大1500トンを積載できる複合飛行船がある。
最高速度650km/hの高速鉄道もある。

…では、ジェット旅客機の居場所はあるのか?
という疑問にお答えしましたのが今回の作品でございます。
300mの直線があれば運用できますので、最悪高速道路にだって離着陸できます。

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最終更新:2026年08月25日 23:35