856 :名無しさん:2012/04/28(土) 12:07:52
提督たちの憂鬱・人類文明崩壊エンド

目覚めれば見知らぬ天井だった。
嶋田総理大臣はそんな感想を抱きながら覚醒した。

「嶋田総理大臣、気がつかれましたか。あなたは過労で倒れたのですよ。単なる過労ではなく一歩間違えれば死ぬところだったのですよ。」
覚醒の知らせを受けてかけつけた医者によってそう説明された。
「総理大臣という役職がどれほど過酷なものが私には理解できませんがはっきり言ってあなたは異常なほど働いています。人類文明の危機なのは理解できますが少しは休まれてください。」
一人きりになった病室で先ほどの医者の言葉を思い浮かべながら幽鬼じみた顔を浮かべながら一人言葉をつむいだ。
「休むことなど出来るか。俺は世界を滅亡させる引き金をひいたのだぞ。」

そう、日米戦に勝利するために夢幻会は衝号計画を実行した。そしてアメリカ風邪という災厄が解き放たれた。解き放たれたアメリカ風邪は全世界規模のパンデミックを引き起こすことになった。
津波の被害、衝号計画の影響による気温低下とそれに伴う農業生産の低下、「アメリカ風邪」の感染拡大、戦災などの混乱などやそれに伴う民衆の暴動によって欧米を代表とした国家は崩壊した。
さらに汚染された本国から脱出して植民地に逃れた人が多数いたことも感染拡大の要因となった。
日本と日本勢力圏はかろうじてアメリカ風邪から守ることに成功して、人類文明の最後の灯を維持することに成功していた。

そして、世界は日本と日本勢力圏だけを残して文明を後退させて生き残った人々による世紀末的な光景が誕生していた。
衝号計画にかかわった夢幻会は自殺者や贖罪意識から苦行とも言えるほどに職務に逃げるものが多数でてきた。
嶋田は後者の側だった。

「我々はどこで間違ってしまったのだろうか」
黄昏ていく夕日を見ながらぽつりとさみしく嶋田はつぶやくのだった。

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最終更新:2012年05月02日 22:20