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753:戦車の人:2026/07/09(木) 23:00:35 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp

第三次世界大戦で日英仏三国と同盟を締結した当時、合衆国の工業力は危機的状況にあった。
重工業地帯を抱える東海岸はドイツを筆頭とする欧州連合軍の手に落ち、敵軍へ兵器を生産しつつあった。
またワシントン、ノーフォーク、サンディエゴ、サンフランシスコ、ニューヨーク等にドイツ軍は反応弾攻撃を実施。

これにより大量の国内難民発生を含め大損害と大混乱を生じ、効率的な兵器行政再建が困難であった。
そしてジョージ・マーシャル大将の手で演習名目で中部へ避難を果たした野戦軍も、苦しい状況にあった。
後世に言われるほど合衆国陸軍は劣弱ではなく、寧ろ機械化装備の充足率はドイツ軍より優れていた。

歩兵師団すら戦車大隊、駆逐戦車大隊、砲兵連隊を指揮下に収め、その大火力と重装備は防戦に活躍した。
しかし航空優勢を失ったこと、州軍動員が不十分であったこと、優勢なドイツ装甲部隊を前に苦戦を余儀なくされた。
辛うじて2個軍が維持されている連邦軍指揮下部隊は、苦しい撤退戦の中で多くの重装備を失っていた。


無論、それら兵器や軍需物資について日英仏からの支援も行われるが、全ては十分とは行かなかった。
英仏は本国を失っており、連邦加盟国や植民地に産業や兵力を依存しており、他者を助ける余裕に乏しい。
唯一合衆国を支えられる日本は英仏の支援も並行しており、優先順位を工夫しても辛いところはあった。

故に合衆国独自の残された産業基盤を活用し、ある程度の自力による再建を余儀なくされた。
光明が存在しなかったわけではなく、M4中戦車系列を一貫して生産できるパシフィック・カーファウンドリーは健在だった。
しかしドイツのパンテル、レオパルト(L71/88ミリ砲搭載戦車)系列を前に既存のM4A3では辛いものがあった。

M36駆逐戦車は依然として有力な対戦車火力を持つが、彼らは基本待ち伏せ運用でこそ真価を発揮する。
機甲師団に配備されていたM26重戦車はドイツ戦車に対抗可能な能力を持つが、故に優先的な攻撃を受けた。
相当数のパンター、あるいは二線級部隊の4号改良型を道連れに損耗率は6割を超えていた。


またパシフィック・カーファウンドリーもM26クラスの戦車製造ラインを新規構築するには、最低半年が必要であった。
今必要な戦車を作るのにM26新規増産は間に合わず、その際に日英が技術提供を申し出たのだ。
彼らも戦車砲として用い、今はやや旧式化し数量に余剰のある17ポンド砲のM4への搭載、火力強化である。

当初考慮されたM4への90ミリ砲と比較して、砲塔後部にカウンターウェイトを搭載しする程度の改造で搭載が可能。
M4の強みである砲安定装置は撤去せざるを得ないが、装甲貫通力は2割以上の向上が見込める。
他にも装填手用ハッチの増設、無線搭載位置の変更などが必要とされたが、その程度は合衆国独自でも対応できた。

日英と合衆国の緊急開発で試作された17ポンド砲搭載型M4A3戦車は、開発開始から実に三週間で完成している。
戦局急を告げると同時に、M4中戦車の大きな発達余裕と高い信頼性が主砲換装という荒業を短時間で成し遂げた。
砲塔内容積圧迫によりやや発射速度は落ちたが、特に遠距離における対装甲火力向上が大きく七難を隠した。


駆動系や装甲などはM4A3そのままであり、特にパンター以降のドイツ中戦車を相手に遜色を見る。
しかし戦車の一義である火力を、中戦車としての機動戦能力を維持したまま向上させられた点は何より大きかった。
低抵抗被帽付徹甲弾を用いても、ドイツ主力のパンター2の砲塔正面を1000メートルで貫通できたのだ。

既存の生産ラインを用いて野戦軍が必要とする補充戦車を量産できることも、戦時下では高く評価された。
合衆国軍は初期不良解消をやはり二週間でやってのけ、本車をM4A3E9中戦車と命名し正式採用を行った。
17ポンド砲は日英が生産工場をカナダに有し、生産ラインに余裕があったこともあり初期は鉄道や船舶で輸送。

パシフィック・カーファウンドリーで完成した車体にノックダウン生産を行う形で完成させ、前線へ配備していった。
やがて西海岸の生き残った重工業が再編され、軍需最適化された後はライセンス生産の形式で配備している。
なおドイツ軍も奇しくもM4に合衆国製90ミリ砲を搭載した、ヤークトシャーマンを補助戦車として配備しつつあった。

754:戦車の人:2026/07/09(木) 23:01:14 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
ビッグスリーと比較すれば控えめとはいえ、合衆国自動車産業の力は西海岸に残されたものでも大きかった。
M4A3E9は急速な量産体制構築に成功し、減耗した合衆国陸軍機甲部隊を立て直すことに成功する。
大損害を受けた駆逐戦車大隊にもM4A3E9は配備され、そのような師団では戦車連隊として再編成が行われた。

新規生産は勿論であるが既存のM4A3戦車を改造した車両も相当数に登り、迅速な戦力回復に貢献している。
連邦政府に忠誠を誓い続けた州軍にも、彼らの有するM4やM4A1を改造する形で配備が進められた。
国土の半分を奪われたとはいえ本気になった合衆国の底力というのは、未だに侮れるものではなかったのである。

その侮れぬ再建された西海岸の工業力は、航空機生産や艦艇補修、各種火砲量産も当然ではあるが含まれる。
これは日英仏が合衆国と同盟が成立した瞬間、ドイツの人道に対する罪を公言しスエズより報復代行を実施。
弾道ミサイル、空中発射巡航ミサイル等によりドイツ南部を反応弾で焼き払い、ヒトラーへ明確なメッセージを突きつけた。


仮にこれ以上、戦場であろうと銃後であろうと反応弾攻撃を行えば、今回と同等以上の大量破壊を行うと。
日本がユダヤ系技術者やかのアインシュタインさえ招聘し、3F反応弾さえ実用化しドイツ南部へ投射。
その被害は「帝国国民」(ドイツ人)を200万名以上蒸発させ、ヒトラーをして安直な反応弾攻撃を手控えさせたのだ。

この戦果は合衆国にも広く周知されドイツ軍が今後、安直な反応弾攻撃を行えないことが安心材料となった。
また既に信用通貨経済に移行していた日英仏が、一定量のゴールドを連邦政府に託し金本位制維持に成功。
労働者へ信頼あるドル紙幣で給料を支払うことができたのも、機甲部隊を含む合衆国軍再建に貢献している。

かくして正式採用から二か月で1000台単位が前線へ送り込まれたM4A3E9は、再びドイツ軍へ立ち塞がった。
今は戦線を押し上げるのではなく、徹底した機動防御で西海岸を守れば良いというドクトリン混乱解消も幸いした。
機械化歩兵、砲兵、再建された航空隊との連携の中で17ポンド砲搭載M4は着実にドイツ装甲部隊の足を止めた。


流石に50トン級戦車レオパルトを相手にすれば分が悪いが、それでも装弾筒付徹甲弾を用いれば対抗できた。
貴重なタングステンを大量に用いるため、1台あたり5発の搭載が精一杯だったが、あるとないでは大違いである。
最終的にM4A3E9は新規生産、既存車体改造合計で6000台以上が生産され、防衛ライン確立に大いに貢献。

更には「贖罪」作戦-パナマ運河奪還作戦にて苦闘しつつも海兵隊員を助け、M4ここにありを見せつけた。
無論、合衆国も今後の機甲戦力の全てをM4A3E9に依存するつもりはなく、M26重戦車の改良型。
日英仏が用いる20ポンド戦車砲を搭載したM46戦車の開発と生産に移行し、1949年以降に量産配備に漕ぎ着けた。

M4A3E9は機動力は平凡より優れる程度で装甲防御は脆く、機動防御に徹しても少なからぬ損害を出し続けた。
一方で湿式弾薬庫や自動消火装置を搭載し、撃破されても戦車兵の何割かは確実に生き残り、補充車両を受け取った。
そのように実戦を経験した戦車兵とM4A3E9戦車双方の質量を拡大することで、最も危険な戦局を乗り越えたのである。


1949年以降は20ポンド砲搭載のM46が主力となり、ようやくM4A3E9も主力を譲ることが出来つつあった。
一方で後方警備などにあたる州兵師団、あるいは歩兵師団戦車隊でも予備扱いで多数が稼働状態にあった。
一度敗北した経験を合衆国陸軍は正しく学んでおり、二線級とはいえ予備機甲戦力のプールに努力していたのである。

その努力は報われドイツ北米総軍最後の反攻作戦「ボナパルト」ではM46、果ては生き残ったM36を含め全車を動員。
連邦軍及び日英仏の精鋭師団が主攻を受け止める中、欧州同盟軍(仏主体)の迂回突破をよく阻止している。
北米の工業力を手に入れた彼らも、制海権を失った後はパンターや4号系列生産が手一杯で、それはM4A3E9で十分戦えた。

けして全てが十分とはいえず応急兵器でもあるM4A3E9だったが、彼らが犠牲と共に果たした貢献は大きなものであった。
また元となったM4A3戦車のシャーシは汎用性に優れ、多くの日英仏の技術を盛り込んだ自走砲や工兵車両も生み出している。
偉大なる凡作としてM4A3E9は西海岸諸州からなる古き合衆国を守り、21世紀現在でも記念車両が多く随所で展示されている。

755:戦車の人:2026/07/09(木) 23:01:47 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
  • あとがき

はい。RSBC版のシャーマンファイアフライです、装甲や機動力を改善したM4A3車体に17ポンド砲を搭載したアメリカ製ファイアフライ。
それ以上でも以下でもありません。東海岸を失い限られた車両メーカーや工場で第三次世界大戦当時量産可能な戦車。
そんな応急兵器です。勿論パンターFや2、E-50相当のレオパルト相手には全般性能では劣後しますし、かなりの損害を出してます。

しかしM4A3というシャーマン最終改良型の良好な機動力、17ポンド砲の良好な火力は「敵戦車を正面から撃破できる」。
装甲防御と並ぶ戦車の存在意義である火力を担保し、大量生産や州兵動員もあり当初劣勢だった戦線を支える戦車となりました。
勿論、主に日英が中心となって開発され、ドイツ本土へ報復に成功した反応弾の安心感も量産に貢献しています。

因みに後継となるM46ですが実質M48です、エンジンは水冷ディーゼルを用い主砲は66口径83.8ミリ砲-20ポンド砲を搭載。
電気式砲垂直安定装置、照準器垂直水平安定装置を備え、史実M48相当の装甲防御力を持っています。
祖国防衛のために本気になったアメリカならば、西海岸オンリーでもこの程度の生産能力は確実に叩き出せるだろうな…と。

wikiへの転載はご自由にお願いします。やはり17ポンドは良いものですね、対装甲火力の絶大さは七難を隠します。

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最終更新:2026年09月13日 21:59