914:霧の咆哮★:2026/07/18(土) 22:06:43 ID:???
〇日蘭世界支援 孤独のグルメクロスオーバー ~本日の献立:菊ヶ崎羊のステーキ丼や大蝦夷蜆のフライ・オーロラソースがけ等~
寒風吹き荒ぶ冬場のある日、個人で輸入雑貨商を営む井之頭五郎は北海道某市に仕事の都合で来訪していた。
「何とか期限までには終わったぁ。集中してたから肩ゴリッゴリだ」
身体をほぐす様にビジネスホテル内の座席で肩を、首を回す五郎。
「(しかし、仕事がちゃんと済んで気が抜けたら腹が、減った)」
―ポン・ポン・ポーン(例の効果音イメージ)
「(手っ取り早く腹を満たすだけなら、ホテル傍のチェーン店やコンビニでパパっと済ませれば良いが、そんな気分じゃないんだよな)」
ホテルに来る際に近場に吉野家他、日蘭世界でも定番のファーストフード店だけでなく、蘭帝由来の史実日本にはないファーストフード店も出店してるのは確認済み。
だけど、五郎とてコンビニ飯やチェーン店系は食べる日あるし、あれはあれで美味しいとも思ってるが、今の彼の胃が求めてる食事は違っていた。
寒空の下でもちょっと位歩いてでも良さげな店がないか物色すべく、五郎は防寒コートを羽織った。
「(町中ののぼり旗で大蝦夷蜆の名前が目立つが、そう言えばこの街の名産品だったな)」
五郎がいる街は北海道南東部周辺にあり、大蝦夷蜆の生産地(屋内工場型か、湖に造ってる形式かはともかく)として町おこしをしていた。
それ故に町中の飲食店は地産地消で非生産地域より安く、良い質の大蝦夷蜆を提供出来ていた。
「(北海道といえば烏賊やいくらやほっけとかの海鮮系も有名だが、折角大蝦夷蜆が安く美味しく食えそうなら、優先的に選ぼう)」
何にするか目安も立ててなかった五郎だが、美味そうな大蝦夷蜆料理を出してくれそうなお店を探すことに。
「ふーむ、今日はここにするか」
暫く歩いてると居酒屋と定食屋を足して割ったような、良さ気な雰囲気の店を見つけたので入店した。
915:霧の咆哮★:2026/07/18(土) 22:08:30 ID:???
「いらっしゃいませ」
店内の内装も良い感じと感心した五郎だが、出迎えた店主のインパクトにちょっと面食らった。
白銀の髪を業務の邪魔にならないように綺麗に纏めた、服の上からでもわかる豊かなものをお持ちの、言葉を飾らず言えば合法ロリ巨乳の大和撫子(大陸日本では西洋系の顔立ちの金髪でも銀髪でも赤髪でも、大和撫子はいるのだ)な若女将とは、中々インパクトあった。
とはいえ、目の前の乙女はそんな凄い属性を一纏めにしても違和感なく受け止めさせる包容力というか、説得力を不思議と持っていた為、五郎的には幾分か戸惑うとしてもまずは飯が優先だった。実年齢いくつなんだろか、なんてのも女性相手には考えてはいけない、タブー的に。
「(大蝦夷蜆系で何か頼むのは確定として他は……『ラム肉が苦手な方にもお勧め、菊ヶ崎羊のステーキ丼』 菊ヶ崎羊、羊特有の臭みが抑えられて食べやすくなったという評判のブランド種か。
近年生産者や出荷量も増えていってると聞いたが、俺はマトンもラムも美味しく食べれるから今まで気にしたことなく、食べたこともなかったな。折角だし、食べてみるか)」
通された席に着くなり早速店内のメニューその他をチェックする五郎。暫し悩むも腹の虫の導きのままにいくつか注文を頼むと、ものが来るまで手持ち無沙汰になった五郎は、いつものように他のお客さんが食べてる料理・様子をチラ見し始めた。
「(大蝦夷蜆のうどんか。こんな寒い日には身体の中から温まるし、絶対美味いだろうな。今日が麺料理の気分だったら俺も頼んでたかもしれない)」
蜆の麺料理といえばラーメンやパスタの方が有名なイメージもあるが、うどんやそばにしても当然美味いだろう。
大ぶりの大蝦夷蜆にパクつき、お淑やかに麺をすすり、スープをレンゲで掬っては満足げな吐息を零す豊かなスタイルのロングヘアーの私服姿の美女を見て、何故か妙にシスター衣装が似合いそうな方だな、なんて思いつつ、他のお客さんにも目を向ける五郎。
「(大きなエビフライ。エビフライって男の子の味だけど、女性だってそりゃ好きだよなぁ。ソース・タルタル・ケチャップ・醤油等と、何かけても美味いし)」
サックサクのグレーライオンのエビフライにケチャップを付け、美味しそうに堪能する眼鏡をかけたナイススタイルの美女の姿に、何かこの人もさっきの人同様、妙にシスター衣装が似合いそうだなと思ってしまう自分に内心首をかしげる五郎。
女性はエビフライセットだけでなく、追加注文していたガーリックトーストにエビフライを乗せて一緒に味わってもいた。サクサクとサクサクが合わさり最強に見える。
五郎が他のお客さんらの様子を見ている最中も、厨房では店主が小さな身体にそぐわないほど手際良く、熟練の手捌きで次々料理を仕上げていく。
「お待たせいたしましたのじゃ」
「(きたきたきた)」
カウンター席に付いていた五郎の元に、料理を仕上げた店主の手で直接配膳された。待望の美味そうな飯を前に、店主の特徴的な語尾はしれっとスルーする五郎。彼に取って店主の口調・語尾より飯の方が比重が重かった。
916:霧の咆哮★:2026/07/18(土) 22:09:49 ID:???
◇本日の五郎・イズ・セレクション
【丼にドーンと乗せられたステーキ肉が実にボリューミー。ラム肉に慣れない者達も魅了するお味に期待が高まる】
【ただの蜆には真似出来ないサイズで主張する大蝦夷蜆の身が丸ごと豪快なフライに。噛み締めれば中からジュワッと旨味が湧き出る】
【一般的な蜆のお味噌汁の常識を覆す、殻なしでの大蝦夷蜆の身が投入されたお味噌汁。具は至ってシンプルだが旨味は無限大】
- 注文時にセットの付け合わせで頼んだ小鉢二つ。ひじきの煮物とヌカヅケキノコの糠漬け
【お婆ちゃんの味を思い出させる煮物と漬物を口に含めば、瞼の奥に浮かぶのは古き良き日本の原風景か】
「いただきます」
ステーキ丼は切り分けられた肉が扇状に一周するように盛り付けられており、中央部には真っ黄色の卵黄が輝き、白ゴマや刻み青ネギといった薬味がタレとともに散りばめられている。
「(卵黄の輝きが眩しいな。お、確かに羊肉の、ラム肉の味はしっかりするのに、あの人によっては苦手に思う癖がない。
これは食べ易い、が、普通のラムやマトンが平気な人には食べ慣れた味とズレて物足りない、違和感がある、というのもわからんでもない。俺的にはこれはこれでアリだけど)」
まずは一口とステーキ丼を頬張り、人生初の菊ヶ崎羊への感想を零す五郎。彼的にはこの肉料理は店主の腕もあってか、アリ寄りのアリだった。
「(卵黄と絡ませても、うん、薬味やタレと良く味が馴染んで美味い)」
「(うわ、箸にズシッと来る重さ。一般的な蜆にはない、大蝦夷蜆だからこそのボリューム、溜まらん)」
「(このフライとオーロラソースの組合わせ、美味過ぎて頭の中にオーロラが浮かんじまったぞ。キャベツにもめっちゃ合う、箸が止まらん。オーロラソース、多分このお店の独自ブレンドだな」
五郎は大蝦夷蜆の質量、その内部に秘められた旨味への期待と共に、大盛の千切りキャベツと共に盛り付けられた大蝦夷蜆のフライに、調味ボトルに入っていたオーロラソースをたっぷりかけて齧り付いた。
本来カキフライのように普通の蜆がフライで食べるには、複数個の身を蟹クリームコロッケみたいに纏めて揚げるしかないのだが、食用蜆として世界一のサイズを誇る大蝦夷蜆はそんな常識を覆す。
一口齧るたびにフライの衣に封じ込められ、大蝦夷蜆の内部に蓄えられた滋味満ちたエキスが溢れ出す。
大蝦夷蜆一つ一つが十分なサイズを誇る故に、こうして殻から取り出した身をフライにして五郎を、大陸日本世界の人々の舌を唸らせることが出来るのだ。勿論大蝦夷蜆が唸らせるのはフライ以外の料理でも、だが。
917:霧の咆哮★:2026/07/18(土) 22:12:10 ID:???
「(うおぉ、味噌汁、やばぁ。一口飲んだだけで、貝から滲み出た旨味の海で溺れそうになっちまう。五臓六腑に蜆の滋味が染みわたるわぁ。俺は下戸だけど、酒飲んだ明けの朝にこれ飲んでも絶対美味いわ)」
大きな蜆の身が丸ごと入ってる蜆のお味噌汁と、こちらもまた蜆汁の常識を覆す姿(普通の蜆汁は殻ごとお客に提供されるものだし)が、大蝦夷蜆生産地の民ではこれが逆に常識だった。
こちらの民達が他所に仕事や引っ越し也で移ってそちらで蜆汁頼むと、自分らの蜆汁との違いに驚くのもあるある、な話故に。
二日酔い明けには蜆汁が効くというが、大蝦夷蜆の汁物だって良く効くだろう。蜆汁だけにしみじみと全身に活力が染みわたっていくのを実感する五郎。
殻なしの分一々殻を取り出す手間もなくてお客にも食べ易かった(調理時は殻付きだけど、お椀によそう際に店側が取り除いている)
「(ひじきの煮物、まさにお袋の味、いや、これはお婆ちゃんの味か? 日本人の心に懐かしさを思い起こさせる味だなぁ。これとベストな漬かり具合をしているキノコの漬物だけで、白飯何杯でもいけそう。
他の小鉢の候補もダイコンの煮物やカボチャの煮物とか美味そうだったし、次の機会にはそれら頼もう)」
「(湖と海の恵みのマリアージュ、素晴らしいわ)」
ステーキ丼とフライの箸休めとして小鉢側にも手を付ける五郎。
「(子供が羊肉が苦手らしい友人に、向こうが知ってるかは知らないが菊ヶ崎羊肉を今度勧めてみよう)」
「(まだ入るな……何にしよう。今回頼んだ奴全部美味いから、外れってのも無さそうなのが、余計悩ましくなる)」
お客さんの連れのお子様達ににこやかに応対する店主の姿も映る。良い意味で客と店側の距離が近いアットホームで居心地の良い空気にあてられてか、五郎の食欲の灯火が燃え上がる。
注文した品がある程度減ったところで、再度メニューに目を向けて追加注文を頼んだ五郎。
【ホタテやカキとかでもやる貝料理の鉄板。ならば、大蝦夷蜆で作っても美味いこと間違いなし】
「(あつ、あつ、でも、すんごく美味い。白米ちゃんと共にかっ込めば幸福が口内に満ちてくる。バター醤油焼きとキャベツも当然、あうよな、うん)」
調理中の匂いだけでも白米が食えそうと零していた五郎。熱々でも構いやしないとばかりに実食すれば、目を輝かせて白米と共に美味そうにバター醤油焼きを堪能する。
918:霧の咆哮★:2026/07/18(土) 22:13:50 ID:???
「(他のメニュー頼んでたら、白米の追加注文やお代わり何度も無料ってのは、俺みたいな腹ペコちゃんや育ち盛りの学生さんらとかには本当に助かる、お店側に感謝しかない)」
史実日本でも物価高騰前の時期、特に米の高騰前までは飲食店でもやってるところ多かった(今でもオモウマい店、みたいな番組で出るようなところで頑張って継続されてるお店もあるけども)ご飯お代わり系のサービスだが、史実日本より物価が安く食料自給率も高い大陸日本ではそれらのサービスも手広く健在どころか、よりお得になってる店も多かった。
「(マヨ七味も良く合う、最高)」
途中で机の上の調味料でマヨネーズと七味を組み合わせて、マヨ七味も作って味変も楽しむ五郎。そしてドラマでのスパートをかけるBGMを背景に、残ってるステーキ丼やフライ、味噌汁らを平らげていく。
「(皿の上のタレにお代わりのキャベツを絡ませて、と。これだけでもご飯食い尽くせそうだ。タレとキャベツの組み合わせで米が進むのは、生姜焼き等と同じだよなぁ)」
千切りキャベツのお代わりも無料で可能ってことで有難く頂き、バター醤油焼きの残りのタレと絡ませて白米と共にかっ込む五郎。
「(あぁ、オーロラのように儚く胃袋の中に消えていくのがもったいなくて仕方ない。可能ならずっと食っていたい)」
「(本来毒キノコ扱いだったヌカヅケキノコを、こうも美味しく食べれる術を見つけた先人達の努力に頭が下がる思いだ)」
「ララのアイスお待たせいたしました」
知的で生真面目そうな白髪(この人も豊かなお胸お持ちだった)の女性店員が、五郎とは別のお客にアイスの注文を届ける。
「(〆にアイス、目に入ると食べたくなっちゃうな、頼もう)」
「すいません、自分にもこちらのアイスセットください」
漬物の最後の一切れを白米と味噌汁と共に流し込み、ごちそうさまでした、という寸前で他のお客さんが頼んでいたデザートが目に入り、最後の注文を頼む五郎。
- ララのアイスと牧場直送特濃バニラアイスのセット、ほうじ茶付き。
【あなたのお口に幸福のデリバリー。共に提供される熱いほうじ茶がまた、アイスの甘みを引きだたせる】
919:霧の咆哮★:2026/07/18(土) 22:15:35 ID:???
「(バニラアイスも北海道の牧場直送を謳うだけあって濃厚だが、ララのアイスも負けないほどに美味くて濃いな。食べ比べても味が負けない采配になってるのは流石。
暖房が良く効いた店内で美味いアイスを食う、これもまた昔の人は出来なかっただろう、贅沢だよなぁ。冬だろうがアイスは美味い。
熱いほうじ茶で〆れば、アイスで冷えたお腹も温まる心遣いも素晴らしい)」
「またのお越しをお待ちしておりますのじゃ」
可愛らしくも母性を秘めた店主に見送られ、会計を終えて退店した五郎。
「(いやー、食った食った。実に良い店だった。次の機会にこの辺寄ることがあったら、また来よう。そう思える店に出会えるのもまた幸せだよな)」
――――――-♪(ドラマの〆の効果音イメージ)
以上です。
wiki転載は例の如くご自由に。
五郎が入店した店主やお客に店員、……どこのアズレン松島やロレーヌや艦娘ジャンヌ、コルベールの因果が混ざったんでしょうね(すっとぼけ)
出てきた女性陣、何気に皆巨乳という(笑)
普段大陸日本独自食材ネタ(大陸東宝世界の含む)で自分が飯テロ扱いされていましたが、前々から本格的な飯テロネタを書いてみたいと思っていたので、いっそ孤独のグルメとクロスオーバーさせてみました。
孤独のグルメ二次を書いたのも初ですが、孤独のグルメ自体は原作漫画もドラマも(全部追いかけれるほどではないですが)見てて参考に出来たので、頑張って書いてみました。
それっぽい雰囲気に出来ましたかな。
多分、今回のエピソードは(店主らの姿や因果を除けば)似たような話を日蘭世界の孤独のグルメでも描写されてるイメージで書きました。
五郎が訪れた大蝦夷蜆の名店として。
筆が乗ればまた別の機会にも続編書いてみたいです。
ぶっちゃけ自分で設定しておきながら、のじゃおじゃ口調のキャラの再現ってどうやればわからなかったので、アズレン松島(或いは同位体)の口調描写がテキトー感あるのは申し訳ないです。
自分好みの萌えと再現難易度は別という……
描写してて手軽に食いたいと思ったのが、大蝦夷蜆の味噌汁とヌカヅケキノコの漬物、それに(作中にない)生卵と松島印のお婆ちゃんの味な煮物、白米の朝食で、煮物と漬物と味噌汁でまずご飯一杯。
二杯目を卵かけご飯にして、煮物と漬物お供に味噌汁で流し込む、そんな朝食でも十分美味い、と思ってました。
最終更新:2026年09月13日 22:04