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354 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2026/04/29(水) 23:14:39 ID:sp49-109-27-157.smd02.spmode.ne.jp [11/13]

憂鬱SRW アポカリプス 楽園追放編SS「金、金、金!」3


  • 2077惑星 地上 ファリス


 翌日、朝食の席でアンジェラとディンゴはミーティングを行っていた。
 ディンゴは、ディーヴァの人間が機械のメンテナンスを請けているという話を聞き付けたファリスの顔役が依頼をしてきたことを伝えた。
アンジェラの活躍はファリスの街に伝播し、多くの顧客を生んだというわけである。

「それなら昨日のうちに来ればよかったのにね」
「無理もない。あんたはディーヴァの人間だからな、あんたと過度にかかわると厄介ごとになると考える奴が多い。
 無法な連中はあんたの身柄やロボットを手に入れようと襲い掛かってくるからな。近づかないのが一番の自己防衛策だ」
「勝手な話ね」
「それはあんたらの都合さ。俺だって、ディーヴァに協力することで発生するリスクを背負っているしな。
 ただ、あんたが仕事の片手間でも人助けをしてくれると分かれば、周りはあんたを守ってくれる。
 そうなれば、ようやく安全が確保されるわけだ」
「ふーん……」
「ここは些事だから置いておくか。
 ところで一つ確認しておきたいんだが、ディーヴァをハッキングしているFSの目的ってのは何なんだ?」
「FSの目的ぃ?」

 ディンゴの問いかけにうどんをすする手を止め、アンジェラは目を瞬かせる。

「一応捜査の道筋は立てているつもりだが、そこを見誤ったら大本から方針を間違うことになるかな」
「何って……ディーヴァの治安擾乱でしょ。サイバースペースの住人の不安をあおって……」
「あおって、その先は?」
「いずれ行う大規模な破壊工作の前の、パニックの仕込みと考えているわ」
「ふむ……だが、それはディーヴァ保安局の考える最悪のシナリオだろう。
 抜かれないはずのセキュリティーが抜かれ、不安をあおられているのはむしろディーヴァ上層部の方かもしれない。
 どうやって来たかより、なぜなのかを考えた方がいい」
「それがわかったら苦労しないわよ、おかわり!」

 その要望に応じてディンゴは替え玉を入れてやり、言葉を続ける。

「俺も事件の概要は聞いているが、本人が言っているじゃないか。
 深宇宙探査の同志を求めているって」
「そんな戯言を信じろって?」

 だが、アンジェラはその言葉を鼻で笑い、あのねえ、と前置きしてから言った。

「外宇宙に赴く意味がないじゃない。ディーヴァのお陰で、人口爆発による食料と住居の問題は解決したんだから。
 あるとしても、人が必要なら地上にある国のニホンかアメリカにでも声をかければいいと思わない?
 それこそ貴方達でもいいわけだろうし」
「ふむ、一理ある」
「フロンティアセッターは自分が地上にいるのに、地上で人を集めないで、わざわざディーヴァに勧誘して回るのもおかしい話。
 つまりそれが方便であって、何らかの形でディーヴァに害をなそうとしている公算が高いわけ」
「確かにな。ディーヴァにハッキングできたとしても、地上に人を連れていく方法がなければ意味がなさそうだ。
 だが、それならなぜ拉致をしない?電脳パーソナリティならばハッキングしている回線経由で連れ去ることだってできるはずだろう?
 治安擾乱やディーヴァにパニックを起こすことが目的なら、そういう方法をとることも手だろうに」

 その指摘はアンジェラをはじめディーヴァにおいても考えられたことだ。
電脳パーソナリティならば、回線を利用して意識を何らかの方法で連れ去ることができる。
転送に時間がかかるとしても、データを圧縮してしまえば一瞬だろうに。

「そこが謎なのよね……まだやっていないだけなのか、やれないのか。
 まあ、その可能性は今後起こりうると考えているわ」

355 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2026/04/29(水) 23:15:18 ID:sp49-109-27-157.smd02.spmode.ne.jp [12/13]

 だが、ディンゴの意見は違ったようだった。

「まさか、本気だと思っているの?」
「可能性の一つとしてはな。ディーヴァのことはディーヴァに任せるしかない。
 だったら、地上にいる俺たちは地上にいないと調べられないことを調べるしかない」
「まあ、そうなんだけど……」
「地上から宇宙にCMを流しているなら、地表から大気圏外に出る必要がある。そのためのロケットを持っているはずだ」
「ロケット……」

 アンジェラもロケットのことは知っている。ロケット技術を用いたものならば、それこそアーハンのブースターがそれだ。

「まあ、正しくは重量物を打ち上げるためのHLVだと思うんだが、それはいい。
 作っているか、あるいは保有していて打ち上げの準備をしているならば、相応に物を集める必要がある」
「FSを追いかけるために、FSが集めているものを追いかけるのね」
「そうだ。電子戦で巧妙に逃げ隠れしても、どうやっても地上では物理的な足跡が残る。
 まして、ロケットの打ち上げに必要なものというなら、極めて特殊なものが必要になるし、尋常じゃない量が必要になるだろう」
「そして、地上では調達方法が限られるから、余計に目立つってわけね。
 でも、それは本当にFSの言うことが正しいならってことでしょ?」
「やみくもに探すより、よほど可能性は高いと思わないか?
 ニホン経由でハッキングを仕掛けてきたから、そこを調べるとしても、単にかく乱のために利用しただけの可能性もありうるわけだからな」

 それを言われるとアンジェラとしては何も言えない。ディンゴの言う通りすぎるのだ。
痕跡がないかを調べるのも任務の一つだからやっているだけであって、残っている可能性は低いとアンジェラ自身も考えているくらいなのだし。

「でも、それを調べるのは簡単じゃないでしょ?リアルワールドで物資のトレースなんて」
「当然さ、ディーヴァならばともかく、この地上で俺とあんただけで調べようとしたら地獄だろう。
 だからあんたにはこうやって資金稼ぎを兼ねて人を集めてもらったのさ」
「……最初からそこまで考えていたの?」
「まあな。タダで働くのは御免だが、何か人のためになると思えば人は案外やってくれるものさ。
 それにこのファリスは重工業が生きている街だ。FSがロケットを作るとするなら、ここから物を買い付けている可能性が高いと思わないか?」

 参った、とアンジェラは素直にそう思った。野蛮と思っていた地上にも、自分以上に聡明な人間がいたのだ。
なるほど、これくらい頭が回るというならば、態度に問題はありと言われても、18回も仕事を請け負い、ディンゴの評価がSランクになったのもうなずける。

「あんたの評価を改める必要があるわね、ディンゴ」
「そりゃあ光栄だ。そいじゃあ、協力を依頼するためにも仕事にとりかかろうぜ」
「ええ」

 遠回りだし、かなり余計な仕事をしなくてはならない。
けれど、それが有効と分かった今ならば、アンジェラはためらうことはなかった。

356 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2026/04/29(水) 23:16:12 ID:sp49-109-27-157.smd02.spmode.ne.jp [13/13]

以上、wiki転載はご自由に。

はい、原作でも美味しそうなうどんシーンでした。
ここで情報収集を依頼し、日本から帰ってきた後に報告が来ると想定しております。
次回でATの整備をして、地上の暮らしを知って、そこで幕って感じですかねぇ。
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最終更新:2026年10月28日 18:01