65 :New ◆QTlJyklQpI:2012/05/06(日) 02:09:27
ネタSS ~ネオ・ネイティブ~

北米大陸の東部地域。そこはアメリカ風邪の汚染地域として滅菌作戦というナパーム・焼夷弾による爆撃により
既存のインフラや設備が破壊され、生き残った設備や物資を巡り人々が四六時中殺し合う無法地帯と化していた。
力のない者は力のある者に下で卑屈に暮らすか、道中で野たれ死ぬか殺されるしかなかった。
しかし、そんな中でも人々は過酷な環境に適応し、己の生存を掛けて戦っていた。

「囲まれた・・・・ッガ!」
「糞、あのクソガキ共!」

旧連邦兵上がりのグループは顔が端正な少女を発見、高く売れそうだついでに・・・フヒヒ、と如何にもMMJが激昂するだろう
外道思考で足早に逃げる少女を追っていたが突如リーダーがヘッドショットを決められ、四方の茂みから銃撃を受けていた。

「引け!」
「退却だ!退却しろ!」

かなりの数を減らしながら逃げていく男たち。
暫くすると茂みの中から警戒しつつ小さな影がいくつか出てきて殺した死体から物を漁り、
呻き声を上げている虫の息の者にナイフなどで止めを刺していく。

「収穫はどう?」

さっきまで追われていた少女が隠し持っていたS&W M10拳銃を構えつつ、トンプソン短機関銃を抱えた小さな影
の1つ・・・・同じ背丈くらいの白人の少年に話しかける。

「それなり。ライフルの弾と45口径がいくつかあるけど食糧はトカゲの干し肉くらいだ」
「こっちのはガーランド。でも、あこいつ派手に撃ちやがったから弾切れだ」

ガーランドを携えながら忌々しそうに元の持ち主を方を見つつ黒人の少年が会話に加わる。

彼らの中には大人はいない。
ある者は親を殺され、ある者は親を捨て、ある者は親すら知らずに暴力を振るう大人から逃げて来た。
この東部でこのような子供はほとんどが野たれ死ぬか、捕まえられて男はカルトの生贄か軍閥の少年兵にされ
女は壊れるまで弄ばれて再び捨てられるのだが、ほんの一握りはこうしてグループを組んで強盗や略奪、盗みで
生存していた。彼らのグループも初期は盗みを、武器の扱いを覚えてからはこうやって他の大人のグループを
殺して奪った物資を売っていた。

「そういえば北にちょっと行ったところにカルトの町があったな?」
「ええ、あそこはカニバリズムだったから新鮮な死体なら買ってくれるわよ」
「なら、さっさとバラして運ぼう」

子供たちにはアメリカの理念も倫理観もない。あるのは唯、日々を生きる事。
このような子供たちは後の北米東部地域に増え続け、カルトや軍閥とは違う新たな勢力となる。
彼らはそのゲリラじみた戦闘から軍閥を中心に「ネオ・ネイティブ・アメリカン」と呼ばれた。

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最終更新:2012年05月07日 23:19