265 :earth:2012/05/09(水) 21:58:27
津波によって壊滅した旧アメリカ合衆国東海岸地域。
北米再開発のためには早めに復興しなければならない地域であったが、
アメリカ風邪と言う疫病によってそれも不可能となっていた。
日英独の三ヶ国は協力してこの悪夢の病魔の封じ込めを行っていたが、それとて完璧ではなく、生き残った元アメリカ人が時折封鎖線を越えて
逃亡するときもあった。
中でも船舶(殆どが小船だが)を使って逃亡したアメリカ人がフロリダに上陸した時は大騒ぎになった。各国海軍は封鎖のために戦力の
増強を図ると同時に傭兵を募った。
しかしそんな中、傭兵のように金のためではなく、「自らの意思で世界を守ろう」という崇高な意思を持って立ち上がる男達もいた。
「(人類が生存できる)環境を守るために、今こそ立ち上がるときだ!」
男達は独自に武器と船舶を調達し、世界を守るために海洋に乗り出した。
各国政府は最初は困惑したが、彼らの行動が自国のためになると判断されると積極的に後押しした。
「彼らこそ、優良人種の鑑である!」
ドイツの某総統閣下はそう絶賛した。
南米やメキシコといった国々も身銭を切って世界を守ろうとする彼らに対し、惜しみない賞賛を送った。
彼らが寄港するたび、誰もが彼らを歓待し、彼らの武勇伝に聞き入った。
そして金銭に余裕のある人間達は、彼らに対して金銭的な支援を行い始める。これによって資金力を得た彼らはますます行動を活発化させて
いくことになる。
特に一部の団体はドイツの後押しを受け、武装親衛隊の協力の下、容赦の無い攻撃を難民船に浴びせた。
「……軍人でも傭兵でもない民間人に、人殺しをさせるべきではないのでは?」
勿論そんな声もあったが、アメリカ風邪の脅威や封鎖線が破られた際の被害の大きさを盾にされて、すぐに萎むことになる。
「シーシェ○ードもどきの団体が賞賛される世界か……嫌な世界だ」
前世でよほど嫌な思い出があるのか、海軍軍人にして海保の相談役と言われる某海軍大将は、自称「(人類が生存できる)環境保護団体」が
操る船と彼らが掲げる旗を見てそうぼやいたと言われている。
最終更新:2012年05月19日 15:49