384 :New ◆QTlJyklQpI:2012/05/12(土) 02:23:44
蒼海ネタSS ~坦蓮事変詳細~

坦蓮の共同租界にて起きた大日本帝國とドイツ第三帝国に人間に対する反津州皇国組織による殺害。
これに両国政府はいち早く反応した。唯でさえ新しく進出した地域、ここで下手に出れば舐められる。
そして両国は空母蒼龍・飛龍と扶桑型戦艦二隻と装甲艦リュッツォウと重巡アドミラル・ヒッパーなどの
海上・航空戦力と新設のヘリ部隊、市街地戦の経験豊富な特殊部隊を派遣することとなった。

一方の反津州組織は折角共同で行った爆破テロが異世界の列強の逆鱗に触れたことで
会合の席で責任のなすりつけ合いを行っていた。

「お前らの組織が最終確認を怠ったから!」
「なんだと!お前らの情報を信用したんだぞ!」
「こうなれば攻めてくる列強の夷敵共と徹底抗戦だ!」
「応!たかが津州の島国1つ併合できん連中など恐るるに足りん!」

各代表らがいがみ合いや徹底抗戦を叫ぶ中、出席していた癸酉党の党首、張平遠は溜息を吐いて思案していた。

(だから時期尚早だと言ったのだ。”突然”急増した各国勢力の支援や”突然”充実した銃器に爆弾、
それに誤った情報での詳細な爆破テロ計画、我々が当て馬にされた事をまだ理解できんとは・・・
それに日独の討伐部隊が派遣されてくるというのに”まともな”戦闘が出来ると思ってる奴が多すぎる。
あの津州皇国すら怯えているというのに・・・・我々に勝機など存在しないのだ)

平遠は会合後すぐに拠点に戻り、メンバーや妹の操江に潜伏するように指示を出した。

そして蒼海世界の列強勢力も動き出していた。未だ津州皇国しか詳細を知らないが故に
テロ組織の鎮圧とはいえ陸海軍を派遣してくる日独の情報を得ようと坦蓮に諜報員を多数
送り、ヴェラヤノーチやレヒトブルク、クラカレンスの艦艇や武官も集まっていた。

「嵐が来るな・・・・・」

煙管を吹かしながら坦蓮の街角で男は海の方向を見ながら呟いた。

ゲート潜った日独艦隊は津州水軍の先導により坦蓮港に到着。
夜明けと同時に始まった航空部隊の攻撃から坦蓮事変の戦闘は始まった。

「攻撃開始!」
「日頃の演習の成果を見せつけてやれ!」

予め津州皇国が洗い出していた反津組織の拠点に烈風改や流星改の爆弾・ロケット弾が
降り注ぐ。住宅が密集してるとは言え無関係の住民は察しが良く逃げ出しており
対空火器もないので演習同然に爆撃され、拠点はテロリストと共に文字通り消滅した。

てっきり航空機は艦砲射撃時の観測に使うだろうと読んでいた各国関係者は急降下爆撃とロケット弾で
目標を精密に攻撃する日本の金属製単葉機に青ざめていた。

「上海といい、坦蓮といい、いよいよ”陸上砲撃専門戦艦”になってしまったな」
「何もせずに浮かぶ城になってないだけマシでしょう」
「ま、そうだな・・・これが最後の仕事になるだろう!目標を大蔵省だと思って撃ちまくれ!」

そして正確さを必要としない沿岸部の倉庫などの拠点には日独の艦艇の砲撃が降り注いでいた。
扶桑級2隻は2回の上海での砲撃の経験もある古強者として最後の花道とばかりに拠点を正確に砲撃する。

「日本海軍にドイツ海軍の大砲屋の意地を見せつけろ!」
「国家元帥に”置物”の凄さを教えてやれ!」

リュッツォウとアドミラル・ヒッパーも精度はやや劣るもののメキシコ戦以来の晴れ舞台とばかりに
28.3cmや20.3cm砲弾を打ち込んでいく。次々に耕されていく沿岸部に観戦に来ていた
各国艦艇も自分らとケタ違いの巨砲の恐ろしさをまざまざと見せつけられていた。

385 :New ◆QTlJyklQpI:2012/05/12(土) 02:24:20
無論テロリスト側もただやられていたわけではない。航空攻撃こそ予想外だったが砲撃対策に
人員を分散していたため爆撃や砲撃が正確すぎたのもあり、かなりの人員は生き残っており、
入り組んだ住宅地で来るだろう日独の陸軍兵士を待ち構えていた。
だが、彼らの耳に空から聞いた事のない音楽が聞こえて来た。

「朝に嗅ぐロケット弾の臭いは格別だな!」

指揮官の中佐の1人がそう言いながら、史実のS-55に相当する七式回転翼機のガンシップタイプから
「ワルキューレの騎行」を響かせつつロケット弾を撃ちまくる。流石に市街地でナパーム弾は洒落に
ならないため取りやめたがテロリストグループは突然出現した回転翼機に大混乱に陥っていた。
慌ててライフルなどで応戦しても逆に居所を教える形になり次々とロケット弾や12.7mm弾の
餌食になっていく。そこに負けてなるものかとドイツのFl282を改修したFa330回転翼機が装着したジェリコの
ラッパを響かせながら7.92mm機銃を掃射する。流石の攻撃に雪崩を打って逃げ出す者も多かったが
Fa223ドラッヘ回転翼機によるヘリボーンにより正確に刈り取られていく。

「だ、駄目だ。このままでは」
「租界周辺に逃げ込め!紛れてしまえば見つかるまい!」

明らかに住民を肉の盾にする気満々な生き残りは租界方面への急いだが

「ポケットの中には・・・(ターン)・・ガン1つ♪」

某ヒラコ―似の狙撃手を含めた日独特殊部隊の待ち伏せに遭い次々に刈り取られていく。

続々と報告される一方的な”処置”に蒼海世界各国の武官らは顔を青ざめ、そそくさと本国に報告しに行く。

そして再び市街地の一角で、顔面蒼白な情報士官は煙管を吹かす男と話し合っていた。

「藪をつついて毒牙をもった大蛇が出て来たようなものですかね?」
「大蛇というよりはゴジラ・・・とも言える」
「ゴジラ?」
「最近租界で放映されてる映画の怪獣だよ・・・見るかね?」

懐から映画館のチケットを出す男に情報士官は首を横に振りトボトボと激務に戻っていった。

「さて・・・終わりの始まりか、始まりの始まりか・・・・津州皇国は試されるだろうな」

反津組織の撲滅は1週間と掛からずに終了。張平遠など一部のメンバーを取り逃がしたものの
圧倒的すぎる日独の戦力に蒼海世界の列強が震えあがるのにさほど時間は掛からなかった。

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最終更新:2012年05月19日 16:40