638 :New ◆QTlJyklQpI:2012/05/19(土) 02:04:08
ネタSS ~風雲、魔王城!~
「おお、勇者らよ。負けてしまうとは情けない」
もう何度目か分からないその声を聞いて十数人の自称勇者らは目を覚ます。
ここは魔王の城にほど近い精霊宗教の非主流派の教会。
今日もたくさんの勇者らが魔王城を叩きだされて運ばれてくる。
「はい、治療費、及びベット使用料含めまして○○円になります」
そして教会で金を毟られていくのである。
それは数年前、大魔王(笑)嶋田を襲撃する勇者対策でのことである。
「魔王城を作ってダンジョンにする・・・・ですか?」
会合の席で嶋田は辻のある提案を聞いていた。
「ええ、そして城の中に魔王が居る、もしくは魔王を倒せる唯一の方法が封印されていると
噂を流せば、ほとんどの勇者はそっちに行くでしょう」
「しかしそんな城は一体どこに・・・それに費用もかかるでしょう」
「お城に関しては日本に来た吸血鬼御一行の物を使用させてもらいます」
亜人らと共に迫害されていた吸血鬼の面々は亜人重用し、何より血液を人を襲うという
高リスクを冒さずに手に入れる事が出来る日本領に続々と流れてきていた。
「費用については最初からダンジョンはあるらしいのでそれを改修すれば安く済みますし、
城の近辺に歓楽街を作れば勇者たちが落としていくお金で賄えるでしょう」
「・・・最初からそれ狙いですか」
「当然です。ついでに日本で作った剣や刀、鎧を売れば買ってくれますし、
勇者らが持ってるアイテムで力は弱くても骨董品として価値がある物がかなりあるのも判明してます。
何より無駄に金を掛かるダンジョンに誘導すればすぐに金欠になりますし、武装勢力を一部地域に
閉じ込めるのと変わりませんしね」
こうして「勇者ホイホイ計画」というなのダンジョン建設計画がスタート。
魔術を含めた建設技術を試せるとあってゼネコンも奮起し、「風雲、魔王城」が誕生した。
このダンジョンの嫌な所はテレビのクイズ番組のような頭を使ったりチームプレイを重視することが多数あることだ。
基本脳筋な勇者は大抵の一般常識や文字(識字率なんて言葉からしてない)を答えられず包帯でぐるぐる巻きに
されて城外に放り出されたり、チームプレイで失敗してそれが原因でパーティを解散などの例が多数発生。
そして魔王城までの道中に菓子や土産物に資金を使いきったりと蟻地獄の如く勇者らを金銭的に苦しめた。
こうしてほぼ目論見通りに勇者は金銭面での理由で一部強力な後援者がいる者を除いて勇者を引退。
数十年で勇者自体が消滅することになる。その後は魔王城は一部危険な場所を撤去しアトラクションへと
変更され、周りに観覧車やマスコットのパレードなど「どこのディズ●ーランドだよ」という夢と冒険の世界へ
変貌することになった。
最終更新:2012年05月19日 17:08