947 :日本消失の人:2012/05/13(日) 23:50:31
憂鬱日本が異世界へ行ってしまった後の世界

日本消失(1)提督たちの消失(改訂版)
「本日はお集まりいただきありがとうございます」
タイ国バンコクにてタイ代表の言葉にて会議ははじまった。出席者はマレーシア、インド、ベトナムなど大日本帝国の藩国代表らが勢揃いであ
る。出席者達の面持ちはまるで通夜のように暗かった、大日本帝国消失。謎の霧に包まれた本土が文字通り消えてなくなったのだ。
「誤報ではないのかね?」
ある代表が聞くが、既に何度も調査を行っている。それでも彼自身そうだと思いたかった。
「皆、あなたの所と同様の報告を受けています」
「」
質問者は絶句し、場は沈黙が支配した。
「今、我々がすべき事は希望的観測を盲信する事ではありません現状を直視し事態に臨む事です」
想定される事態、1に日本が抜け経済の穴をどの様に埋めるか、2にブロックから離脱を計ろうとする国家がでるだろう。3に外部からの介入。

948 :日本消失の人:2012/05/13(日) 23:51:35
1を早急に行わねば、各国の経済が最悪壊滅する。2についてはカリフォルニアが動き始めているとの情報が入っており、東ロシアも状況によ
っては動くだろう。日本のもとで権利を保証されてきた有色人種国家である藩国諸国に他の勢力のもとに行くといった選択肢など始めからなか
った3についてはなお悪い。恐らく枢軸も英国も利を求めて介入してくるであろう。
「大黒柱が折れ、逃げる宛もなく、家が崩れないように支えながら強盗と詐欺師の相手をしなければならないとは」
他にも、国を失った在外日本人や残存する日本海外県の今後、日本に留学中の次代を担うべくエリートと達の人的損失などがあったが、それす
らも皆現状の問題の前では小さな事に思えた。
「どうする?。財産を差し出して鎖の首輪でももらうか?運次第で天国にご招待」
「うわーい嬉しくて涙が出そうだ。(棒)だけど失踪した旦那には恩も義理もあるからそうするより先に国民が招待してくれるだろうな」
その場の誰も、軽口を叩く代表らを窘めない。今の自分達は経済的事情によりまともに動けず、切り割され食い物にされるしかない。
「たぶん、あの総統こっちまで生存圏広げようとしてくるぞ」
「ふざけるな。生存圏なのに俺たちは生きられないぞ」
「そりゃ、ゲルマンの生存圏だがらだろう」

949 :日本消失の人:2012/05/13(日) 23:52:06
「国に戻って戦争の準備でもしたら?」
「こっちは日本におんぶにだっこ状態でまともな軍が無い」
既に机の上に用意された。栄養ドリンクや胃薬は絶滅しており、一方でお茶や菓子は手つかずの状態であった。有色人種国家代表たちによる
悲痛な会議は続く。

950 :日本消失の人:2012/05/13(日) 23:53:14
日本消失(2)総統たちの歓喜(改訂版)
「いやったあああああああああ!」
同時刻、総統は歓喜した。「青き清浄なる世界」を目指す人たちの盟主の様にそれに憑依した大学生の様に目の上のたんこぶ大日本帝国の消
失、それに伴い日本円の価値も消失、精強なる日本軍も消失、日本、イギリス、北欧などの経済は大打撃を受け、現状その損失をほとんど受
けていない枢軸の一人勝ち状態なのだ。しかも目前には日本が肥え太らせてきた食べごろの家畜が並んでいる。
「総統、カリフォルニアと中華圏の軍閥からこちらにつきたいとの話がありました」
「ふん、精々買い叩いてやれ、まあどうせ使い潰す予定だから戦後の報酬などどうでもいいのだがな」
「解りました」
「ああ、それとだ。残っている日本人はなるべくこちらに引き入れておけ、進行する際の正当性がでるしかの民族を敵に回したくはない」
「解っております。では動くのは何時頃で」
「枢軸諸国の準備ができ次第すぐにでも、そちらも速やかに進める事を心掛けろ」
「ハッ、失礼します」

951 :日本消失の人:2012/05/13(日) 23:54:00
総統の脳裏に先日聞いた「黄禍論」の新解釈が思い出される。近年、人口における有色人種の割合が増加している事に対するレポートだった。
必要とあらばアジア圏での民族浄化もやむおえない。彼らは日本の下で増えすぎた。この世界における日本の行動が皮肉にも有色人種らの殲
滅に背中を押すことになったのである。
「ああ、君かね」
総統はふと、ホットラインを繋ぐ。
「いいや、大したことではない。ただ」
「次の戦いにおける君達の活躍を期待しているのさ。アフリカで培ったノウハウをね」
フランスとの会話を終えると総統はまた試案を始める。さて現時点で私は最強のプレーヤーであり非常に有利な局面に居る。
「では、他のプレーヤーはどのような手を打ってくるだろうか?」

952 :日本消失の人:2012/05/13(日) 23:54:33
日本消失(3)臣民たちの喚声(改訂版)
「本当にやるのか」
「ああ、早い方がいい。それに東ロシアはまだこっちの見方だ」
藩国会議はある結論に達した。

「日本はまだある。本土は消失したがアラスカも樺太も台湾もある。東ロシアには降嫁されたとはいえ皇族の血を引く男子がおられる」
彼らに列強に対抗する力はなかった。元からそうなのだから経済的大打撃を受けた後などお話しにならばい。弱者である彼らが取った道それ
は小賢しい時間稼ぎと団結連携である。

台湾某所
「いつから、来ていた」
「朝五時、正直怖い。本来でも緊張する式典なのだ。しかも今回は失敗すると国が滅びかねん」
「確かに、いつもなら陛下に誤って水をぶっかけても国までは滅びないな」
「不敬罪だぞ」

953 :日本消失の人:2012/05/13(日) 23:55:23
彼らは直ぐに動き出した。日本臨時政府の発足に最大限に協力するとともに東ロシアに対して皇族の血を引く男子を日本に帰化、即位させる
運動を行い始めた。また国民に対して現状の困難を説明し全面的な協力を求め。各国間の諍いに対しては双方の譲歩または一時凍結。そして
今、台湾にて即位の儀が行われようとしていた。

(後任が引退したから就いただけなのにどうしてこうなった)
(ここでしくじれば、国家民族我が身の終わり)
(やばい。昨日全然眠れなかった)
(こんな国難に当たれる訳ないじゃん。平時無難にこなす人材だよ俺)

本土は消えた、軍は消えた、経済力は消えただが、日本の声望、ブランドは健在。大日本帝国いまだ健在。それを広く知らしめ介入を目論む
諸勢力への牽制とブロック内全体での立て直しの誘発。こけおどしとミスリード、お粗末な策略だがやらねばすべてを失う。彼らは水を背に
陣をしいた。

「「「新帝万歳! 天皇陛下万歳!! 大日本帝国万歳!」」」
その日ひときわ大きな声で万歳三唱を行い臣民たちに軽く引かれる藩国の代表らの姿があった。

954 :日本消失の人:2012/05/13(日) 23:55:53
日本消失(4)列強たちの開戦(改訂版)
新帝即位後、日本ブロック内は一致団結の下で確実に経済の立て直しをはかり、また離脱する者に対しては牽制を行っていった。
「もともと、有事に強い人種だからね。ぶら下がっている身としては喜ばしい限りだ」
「ですが、本土消失によって以前ほどの力はなく閣下いったいどうなるのでしょう」
タイ代表は執務室にて側近と打ち合わせをしていた。
「もし介入がある場合……いや、あの総統は介入してくるだろうその時、皇軍は質も量も本来の場合と比べ大きく劣る事になるつまり」
「つまり」
「残念ながら当分ぶら下がっているのはお預けになる」
質も量も大きく劣るのは軍ばかりではないだろう。官僚も機関も技術者も二線級かそれ以下、頭数をそろえるのですら困難な状況だ。

955 :日本消失の人:2012/05/13(日) 23:57:13
「何とかなりませんか?」
「我々に出来るのは少し時間を進めるか遅らせる事だけさ。さてと、経済は大事だが身の安全があってこそだ。何とか軍予算を捻出しない
とな」
「はい、事態が予想されるかぎり融通を利かせるつもりです」
「そちらはまかせた。せいぜい時間を稼いで経済に回さないと」
その一月後、カリフォルニアは離脱。海外で発足された亡命政府が「君側の奸を討つ」と宣戦布告、枢軸諸国はそれを支持。イギリスから
「盟友の自治領だったから名誉自治領価格で武器売ってやる。パンジャンドラムを買う権利もやろう(意訳)」との話があったりした。

台湾某所
「今回だけでいいので先倒しして軍神になって助けてください」
本土ととも消失してしまった元総理大臣兼海軍元帥を軍神として祀る神社の予定地に日本ブロック内各国の軍事政府関係者でごった返した。
絶体絶命の国難を前に神頼みの為。もっともまだ社はたっておらず儀式も済んでいないが彼らにとってそんな事より神風だった。
数日後、インド洋にて再任官した大将が艦隊司令として率いる各国からの艦隊を主に編成された文字通りの連合艦隊と枢軸艦隊が激突した。

956 :名無しさん:2012/05/13(日) 23:58:11
これは日本(保護者)がいない勝利。
東南アジア連合、東南アジア連合側で戦った国に取ってはこの上ない自信になるでしょう。
北米は枢軸の加工場となり、中原は満州、モンゴル、東南アジア連合にすり身(物理)にされそうです。

戦いが大規模な紛争の域で収まったのは枢軸に付いた日本人が必死に長期のゲリラ戦の消耗、負担、下手に消耗すれば裏切り者(英、中、加)が利するだけと説得に手を尽くしたかも知れません。中国人がいたから勝てなかったと、中国人が一番割りを食わされそう。
朝鮮では駐留兵が中枢を落とし朝鮮の機能を麻痺させ、撤退の隙を作ったとか。

957 :日本消失の人:2012/05/13(日) 23:58:40
日本消失(5)先人たちの重圧(改訂版)
ある海軍将官の手記
陛下からお声がかかった時、何よりも先に出たのは喜びの感情であった。艦隊を率い枢軸艦隊から太平洋を守る。
その重大な使命を既に退役している私に与えられたのだ。
カリフォルニアへの牽制の為ハワイに残留する艦隊は動かせず。一部の日本海軍を中核とし諸国が出せる艦を出し
あって編成される艦隊だと聞いた時、正直不安だった。だが彼らは日本海軍の体制を範とし、日本製の兵器を使い。
何より彼らには確かな士気があった。連携や練度は及第点だがやってやれない事もない。否、個々の戦闘力はこち
らが上勝てる。そう思っていました。

958 :日本消失の人:2012/05/13(日) 23:59:55
結論から言うとインド洋沖開戦は連合艦隊の敗北に終わった。序盤は双方互角、装備と士気の面において連合艦隊
がやや有利な局面を見せた。だが、中盤消耗が進むにつれ二つの艦隊の性質が勝負を分けた。双方とも複数の海軍
によってなされている艦隊といっても枢軸艦隊は以前からある程度複数の海軍との連携訓練を積んできているのに
対し、連合艦隊には新たに作られた艦も少なくなく、人員も再任官や技能ありきで引っ張ってきた者までいた。一
般に三割の損害を受けると組織的な戦闘は難しくなってくる。艦隊司令は連携統率に不安のある艦隊を三割の損害
までなんとか組織的戦闘を維持てみせた。この段階で機を見て引いておけばまだ痛み分けに終わる可能性もあった
が、連合艦隊の政治的要因がそれを難しくした。兵の中にはあたりの国の出身者もいる。それが撤退の際、組織的
な行動を破滅させ、艦隊は追撃にさらされ結果インド洋沖開戦は連合艦隊の敗北に終わった。

日本海海戦を聞いて育ち、日米戦で一方的ともいえる勝利をまじかで見た。世代交代の為に一線をひきアラスカで
釣りをしたり、艦艇の模型を作りながら暮らしていたその時、本土消滅の報を聞き向こうの友人の安否を気遣った。
そして今、傷を負った戦艦の上に居る敗軍の将である私は余りにも不明だ。負けられない決戦、共栄圏全土の命と
常勝たる海軍の栄光をかけて挑んだ戦いで引き際を誤った。私は英雄にはなれない。維新以来の海軍の栄光に泥を
塗った。
「切腹しようと思うのだが」

959 :日本消失の人:2012/05/14(月) 00:00:33
副官にこぼす
「はぁ、何言っているんですか閣下はこの唯でさえ将官がたりない今、彼方の自己満足の為に死ぬなんて許される
訳ないでしょう? 恐らく大本営に送ろうが御所に送ろうが同じ答えが返ってきますよ」
「だが、この度の敗戦はとても顔向けできない。もう私はどこの港にも降りられない」
「良いではありませんか。このまま戦艦に乗って沈んでください、海軍大将として沈んでください」
「………………」

結局、私は中将に降格になりその後各国に頭を下げ融通してもらった艦隊を率いて終戦まで戦うこととなる。前線
で指揮ができる将官が限られている事、ある程度多国籍艦隊を纏められる人材が更に限られていること等の事情が
あり副官の言うとおり何処も切腹など認めてくれなかった。ただ英雄になれないと思っていたが英雄にさせられる
事はあるのだと、この年になって知った。

960 :日本消失の人:2012/05/14(月) 00:01:05
日本消失(6)代表たちの決意(改訂版)
「敗北だと!? 皇軍だぞ?!」
インド洋海戦における敗報はこのインド洋に面した小国を揺るがした。
「皇軍といっても主力は我らの寄せ集めですから」
「わーっあってるあ、そんな事。国土の防衛はできるか?」
「2時間ほどなら」
「抵抗も碌にできないのか。船を集め国民を逃がす事も無理だな。燃料、食糧を除き枢軸に使われそうなもの渡っ
てはならぬものを徹底的に処分しろ」
「閣下はどうされるのですか?」
「残るよ。本音を言えば逃げたいけどね。国の代表が殺されれば幾らかは抵抗する側としてもモチベーションが上
がるだろうしね」
「閣下どうして」
「解っているだろう今の世界は我々には厳しすぎる日本という傘がないと我々の人権を守れない。そりゃあ、枢軸
につけば人権を保証してく
れるかもしれないが、彼らだって我々全員の人権や財産を補償する余裕なんてない。そうなったら隣人から村八分、
一時よくてもこの国はいずれ袋叩きにあっておしまいさ」

961 :日本消失の人:2012/05/14(月) 00:01:35
「…………」
「さてと、君には最後の命令を伝える」
「この国を脱し軍に徹底抗戦を国民に苦難を強いろ、絶対に約束を守る国と話は付けてある彼らを裏切るな」
「了解しました」

三時間後、枢軸軍により首都が陥落する。
「思ったよりも早かったな」
将校の前に連れてこられた代表はそうつぶやいた。
「さて、頼るべき日本海軍もインド洋沖で我々に敗れ、今この国の首都が陥落した。焦土作戦をとることで義理も
果たした。君の財産権利権限権力を補償するし働きに応じての報酬も約束しよう。我々に協力願おう」
(金髪碧眼、背丈も目鼻立ちの整った男だな。いけすかない)
「お断りします」

962 :日本消失の人:2012/05/14(月) 00:02:17
「義理はもう十分立てたでしょう」
「安い餌で釣られるような外交はやって来たつもりはありません」
「!?」
「彼方交渉事下手でしょう。少なくともここいらでは外交は「信義」なんですよ覚えておくといい」
「なるほど、確かに外交において信用は大切だ。神に誓って」
「残念ですねお国が違えば彼方とは友人になれたかも知れないのに、なるほど彼方は信用できるかもしれないだが
彼方の祖国はどうだろう?報酬で鉄の鎖など貰っても私としては困る。それに、インド洋での海戦の為そちらもボ
ロボロでしょう? 日本まで行けるんですか?」
「連れていけ」
代表はそのまま引きずられていき、数日後に処刑され彼の国は滅亡する。だがそれにより各地でパルチザンが発生、
史実を知るものならベトナム戦争を連想するが如くのゲリラ戦が展開され枢軸軍を大いに苦しめることとなる。

963 :日本消失の人:2012/05/14(月) 00:02:47
日本消失(7)亡霊たちの虎馬(改訂版)
「あの男が死んだだと影武者じゃあないのかね?」
「確かめたが、影武者でも冗談でもドッキリでもないらしい」
「あのずる賢く、ガメツイ男の事だ。葬式の香典ねらいという可能性もある」
「確かに日本にたかったり、ちゃっかり利権に預かったり死んでも死にそうにないな」
「ははは」
「「……………………」」
暫く話した後、二人は黙祷を捧げた。
「酷い隣人だったが、亡くなってしまうとなんというか」
「まったくだ詐欺窃盗当たり前、刀傷沙汰もあり得るあいてだったが同門よしみだ。いずれ元に戻してやるよ」
「? ああなるほど、その為には勝たねばな。私は支那に対してある軍人を使うつもりだ」
「なるほど海で負けたら陸で勝って威武を維持すべきだと、よろしい乗りましょう」

964 :日本消失の人:2012/05/14(月) 00:03:32
黄土が続く大地に二つの軍勢が対峙する。満州チベットモンゴル連合軍。
「中華の亡霊め」
「おい、今度の戦いの指揮あの将軍たちが取る事になっているらしいぜ」
「上も本気って事かよ」
死人が出るほどの訓練を続け一時閑職に回された将軍。だが満州、モンゴル、突厥などを主体に構成された機甲師
団はとてつもなく強かった。視察に来た日本陸軍のさる人物も「あのへんだけ北の方の世界になっている」と言っ
たとか言わなかったとか。
「彼らが何度我々に敗れても、また忘れ向かってくる。だが構わないその度に思い出させてやるだけだ」
将軍の演説の下、機甲師団は一つの生物となり、前進を開始した。
騎馬民族の戦法とDNAを継ぐ戦車部隊、その動きその強さその猛々しさは中原に生きる彼らにとって古代からのトラ
ウマ以外の何物でもなかった。縦横無尽に疾駆する黒金の影、この戦いでは戦闘など起こらなかったただ一方的な
虐殺があったと記録されることとなる。

965 :日本消失の人:2012/05/14(月) 00:04:03
日本消失(8)枢軸たちの苦難(改訂版)
「ハワイが攻略できないだと、カリフォルニア海軍め何をやっている」
枢軸軍本部にてそのような声が飛び交う。日本はパナマ運河の利権の半分を持っている。その権限を行使し事前に
艦艇を廃棄パナマ運河を無力化したこれによりアメリカ東海岸沿いの勢力はパナマ運河を通行できず、カリフォル
ニア海軍に単身でハワイを落とす力はない。よってハワイ
攻略作戦は援軍が南アメリカを回ってくるまで延期となった。
「大陸ではこちら側の軍閥が散々に負けたらしい」
「誰だよ。日本が消えた今有色人種の烏合の衆なんて楽勝だって言った奴は」
「最近、ゲリラが多くて思うように進まないぞ」
「以前倒した連合艦隊も再編されて、こちらの補給路を脅かしているようだ」
海戦より半年、枢軸軍は思うように勝利を得られずただいたずらに時を過ごしていた。
「大変だ。ゲリラの襲撃だ」
「「「!!!!」」」

966 :日本消失の人:2012/05/14(月) 00:04:38
当たりに爆音と振動そして強い光が溢れ、ゲリラがなだれ込んできた。
「ぐわぁ」
「ひいいい」
気がつくと、唯一生きている枢軸兵とゲリラの視線が合う。
「うう、助けぇ」
「…………」
ゲリラが無言で引き金を引き、銃声が響いた。

その後、枢軸日本双方は我慢比べを続け、ある日北欧から送られた和平案に双方承諾する事を決めた。

967 :日本消失の人:2012/05/14(月) 00:06:36
日本消失(9)藩国たちの前進(改訂版) 
親日感情が強い北欧においてたびたび出兵案が上がるものの日本ブロックの経済と密接に関わっていたためとても
軍を動かせるような状態ではなかった。そんな中、自分の庭を荒らされることを嫌った日本っから和平の仲介を頼
まれそれに応じた。

また、枢軸に対しても日本消失による経済的なショックがあまりに大きくその為自分らに続く勢力が無かった事、
共同路線をとった米中の残党が戦力として頼りなかった事、アジア各国が予想外に抵抗した事などから今後の見通
しが立たない戦争から早いうちに手をひきたかった。

この戦争に勝者はいなかった枢軸と日本を中心とする諸国はこの度の戦いで疲弊し、中立国も日本列島消失による
打撃を受けた。カリフォルニアに至っては「切り身で駄目ならすり身にしてみようか」と都市国家が乱立する状態
にされ、環太平洋ブロックに戻された。唯一英国が武器を売って儲けたが長期戦とならなかったためさほどの利益
でも無く日本消失の損失とトントン程度であった。

968 :日本消失の人:2012/05/14(月) 00:07:07
「ずいぶん減ったな」
「処刑される奴、艦に乗って沈んだ奴いろいろいるからな」
「生き残った奴らも引退する奴、責任とって辞職する奴らがいるから何人代表として残るのやら」
「まあ、だがねボロボロだがなんとか首の皮を繋いで国も民族も生き残った。これで良しとしよう」
藩国会議の生き残り達は既に完成している嶋田天宮へと集った。某大宰相の軍神が祀られている神社だが彼の実家
と区別して嶋田天宮との名証になっている。

彼らはこの戦争の主役ではない。一般にこの戦争は日独とその同盟国間で行われたと思われている。だが、後の歴
史家はこの戦争を有色人種ならびに有色人種国家の復権の第一歩とすえる。彼らは必死で列強に喰らいつきその力
を示した消失した帝国の如く強力な力ではないだが、彼らとて力があり彼の帝国から確かに学んだ事をこの戦争に
おいて世界にしめされたのだった。
==完==

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最終更新:2012年05月19日 18:44