415 :デン:2012/05/03(木) 18:29:05
      • 「憂鬱日本転移伝」---(改定1話)

「第1話 異変」

1945年4月15日 午前5時45分

その時、大日本帝国は転移した。友邦を連れて…。

その異変に最初に気づいたのは逆行者達…夢幻会のメンバー達である。このまま史実で行けば起こる9月10日の鳥取地震、1944年 12月7日の昭和東南海地震などの地震や災害に衝号による影響に心配しながらも備えていた夢幻会ではあったが…来なかった。
それらの災害が起こらなかったのである。しかも衝号作戦で起こるはずの気候変動もである。

そんな予期もしない異常事態に夢幻会は慌てた。
「鳥取地震が起きなかった!?」
「気温や日射量も平年通り…一体これはどういう事なんだ?」
地震は衝号による影響…と理由が付けられるが衝号による気候変動が解らない。これが『歴史の修正力』だったとしてもそれでは史実に起こるはずの地震が起きない理由が解らないのだ。

だが、原因と言えそうな事は一つだけあった。

「まさかあの雲か?」
「…まさかそんなわけ…あるかもしれないな」

1943年7月10日に突如として東京湾に現れた不気味な渦を巻いたオーロラのように色が変わる正体不明の雲。それは世界各国でも現れた。


そんな前代未聞の異常事態に夢幻会は急遽、会合を開いた。
「この正体不明の雲ですが…直径8.8km、渦を巻いているものの風は吹いておらず、触ると透ける以外特に何もないようです。」
「各国で発生している雲は?」
「特徴については先ほどと同じですが、唯一大きさのみ違うようで我々と同じ大きさのは北欧3国、福建、カリフォルニアで次に直径7.5kmの大きさでインドを含めた東南アジア諸国、次に6,3kmのイギリス、華南連邦、ドイツ、イタリア、ソ連などの列強とその勢力に置かれた国々といった所です。」
「雲の発生していない国との違いは?」
「分かりません…現在も調査されていますが何等手かがりが掴めていません」
「そうか…」

この歴史史上類を見ない事態に有効な手は無く、話は何が起こるかになったが、夢幻会メンバーには心当たりがあった。

「次に何が起こるかについてだが…おそらく皆も薄々分かっているだろう」
「…異世界転移か?」
「ああ…この手の現象は異世界転移には付き物だ」
「だが異世界転移とは…」
「確かに異世界転移とは決まったわけではないがそれくらいしか思い当たるものはないだろう…」

夢幻会が思い浮かべたのは異世界転移である。そういうのは決まって事前に超常現象が起きたり、どこかの研究者がワームホールの一種だとかいうものだ。
異世界転移の言葉を聞いてエルフだとか何とかの話も出たがこの現象は不確定要素が大きく、異世界転移とは限らないのですぐに話は終わった。

「一応万が一に備えて備蓄はあの起きなかった時から備えてあります。地震が来なかった分、それなりに貯めてあるので…長くても2年半は持つでしょう」
「あとは事が起きるだけか…………」

そして会合が終わると日に日に大きくなっていく雲を不安げに見ながらそれぞれ行動へ移る。


…こうして月日は流れて1945年 4月15日 午前3時45分、今まで微動だにしなかった雲が急激に国を包み、2時間後、雲に完全に包まれた国はその存在を地球上から消したのである。

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最終更新:2012年05月19日 22:30