871 :taka:2012/05/22(火) 13:03:35

後日談追加

その日、ヒトラーの個人秘書であるユンゲは嬉しそうな面持ちのヒトラーから一冊のスケッチノートを渡された。

「シュペーアさんに渡す都市計画のスケッチですか?」
「いいや、違うよユンゲさん。それはね、都市計画の全体を示すグランドデザインだ」

見てみたまえと言われ、ノートを開くとそこにはベルリンの市街地の図案とびっしりと書き込まれた建物やら道路。
後は延々と目次のように建物らしき名前などがページを埋めていた。

「それは目次のようなものだ。よし、持って来たまえ」

隣室に続く両開きドアが開く。そして現れたものを見てユンゲはぎょっとした。
ハインツ・リンゲが押す大型の台車、其処には何十冊ものスケッチノートがぎっちりと高く積み上げられていた。
その後ろに続くエーリヒ・ケンプカ、オットー・ギュンシェの台車には幾つものガラスケースに収められた建築物の模型やら道路の高架が載せられていた。

「今のゲルマニア計画もいいが、少し考える暇が出来るとあれこれとアイディアがわき出てしまってな」

少し照れたような顔付きでヒトラーは笑った。

「気が付いたら半年でこれだけ溜まってしまってね。それなら一気に計画へ上乗せしようと思ったのだ。
まぁ、実はこれはベルリンなどで考えていた分だけなんだよ。ベルヒティスガーデンの分は今、ハンナ・ライチュ君が空輸してくれている。
予定では明日にはテンペルホーフ空港に全て到着する予定だ。
ははは、驚いただろう? シュペーアもさぞかし驚くだろうな。今から反応が楽しみだ」

朗らかに笑うヒトラーを他所に、ユンゲの脳裏に電光が轟いた。

何故か、蒼白で綺麗なチアノーゼっぽい顔色のシュペーアが、二足歩行で立っている二匹の熊に抱えられていた。
熊たちは必死の形相で親衛隊医師のルートヴィヒ・シュトゥンプフエッガーに、シュペーアが息をしてないと訴えていた。

ポンと肩を叩かれ、ユンゲは現世に舞い戻る。
目の前には満面の笑みを浮かべたヒトラーが居た。

「ユンゲさん。済まないがシュペーアを今すぐ呼んできてくれないか?」
(シュペーアさん、逃げて、今すぐ逃げて超逃げて)

おはり

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最終更新:2012年05月22日 17:36