889 :earth:2012/05/22(火) 22:30:53
西暦196×年。世界は曲がりなりにも平和を保っていた。
そして平和が続けば、その分、娯楽も発展していく。それは
夢幻会の面々が望んだものでもあった。
だがその彼らでも予期せぬことは起こる。
「「「………」」」
夢幻会最高幹部の面々の内、軍人達は目の前の机に置かれたカードの束に視線を注いでいた。
ちなみに辻や阿部などの文官たちは笑うのを必死に堪えているのが見える。
「……まさかこうなるとは」
嶋田が恐る恐る一枚上のカードを取った。そこには何と嶋田自身が描かれていた。
「太平洋大海戦って……」
それは販売されたばかりの新手のボードゲーム『太平洋大海戦』に使うカードだった。
夢幻会の有志が作ったゲームだったのだが、予想以上に出来が良かったために本格的に市販されることになったのだ。
このゲームではユニットの性能と指揮官の能力、そして双六の目によってここの戦闘の勝敗が決するようになっている。
ただし最初は指揮官のカードは名前と階級、能力値だけが書かれることになっていたのだが、色々と話が進むうちに本人が
描かれることになった。
最初はボードゲームという遊びということで嶋田も笑って許可したのだが、色々と力が入ったのかカードに描かれた嶋田の
絵は迫力満点だった。
「帝国の独裁者にして、世界最強の海軍の大親分ですからね」
笑い転げる辻を嶋田は細目で睨む。
「他人事だと思って……」
「まぁ威をもった指導者と思われているだけ良いじゃありませんか」
「……」
「それにこれも平和な証拠ですよ」
「……それもそうですね」
嶋田はそう言って自身を納得させた。
だが彼らは知らない。このゲームが基になり、様々な自分達のカードが作られ、ゲームに使われていくことを。
さらに彼らが没した後、どう見ても彼らをTS化(又は美形化)させたキャラが大々的に出てくるゲームやアニメが出来ることを。
最終更新:2012年05月22日 23:21