106 :earth:2012/05/26(土) 20:25:21
宇宙戦艦ヤマト。
史実では伝説的なアニメであり、この世界では海軍の一部の人間達が熱心に製作を押し進めているアニメであるが
諸問題によって放送は延期されることになった。
勿論、延期を言い渡された時には推進派は猛反発したが、最終的には沈黙し、同意せざるを得なかった。
「デ○ラー総統を見たら、どうみてもドイツのちょび髭総統が連想されてしまう」
「登場キャラもドイツ風だから拙いだろう」
「あとドイツを連想させるガ○ラスの本土が焦土になるのもイメージ的に……」
この反対意見によって推進派は涙をのんで(一部は血涙を流して)ヤマトを今放送することを断念した。
だがヤマトが引っ込むと、代わりに別の作品が浮上した。
「ヤマトの効果音だけでも使いたい!」
彼らが出したのは『不思議の海のナディア』だった。
「……先走りすぎるだろう」
嶋田はそう言ったが、すでにス○パンというぶっ飛んだアニメが存在したので強く言えず、最終的に製作にGoサインが出た。
日本人の出番を増やすためオリジナルよりも話数を増やし、また設定にも少し手を加えたものが製作されることになった。
「くっ無念です」
「まぁ今回は諦めてください」
「そうですよ。もう少し時間が経てば」
会合の席で落ち込む古賀を慰める海軍の面々。
そんな中、東条がトンでもないことを口にする。
「そういえばガーゴイルの声優は?」
「まぁオーディション中ですが」
「いっそのこと、辻さんがやったらどうです? 色々とイメージが合うと思いますよ?」
日ごろ受けているストレスから出た嫌味だった。そしてその東条の台詞への返答は別の人間から出た。
「それは止めたほうがいいでしょう」
嶋田の意見に辻はすかさず頷く。
「そうですよ」
だが辻がそう言った後、嶋田から放たれた言葉は意外な物だった。
「あまりに合いすぎますよ。イメージ的に」
「「「………」」」
レッドノアで冷徹な指示を出し、世界の火の海にせんとする辻の姿。確かにイメージ的に合いすぎていた。
「「「そうですね」」」
「ちょ、ちょっと待ってください。いくら何でもそれは酷くないですか?」
だがそれに対する返答は冷徹なものだった。
「鏡を見ろ」
「日ごろの行いを省みろ」
「アンケートでも実施してみたらどうだ?」
「……」
こうして、大蔵省の魔王とも言われる男・辻政信は珍しくやり込められることになる。
最終更新:2012年05月27日 02:18