959 :Monolith兵:2012/06/07(木) 13:41:54
ネタSS「美食家達(?)による憂鬱2 ー臭いものは蓋を開けろー」
前回日本の食文化を嘆いていた男たちであったが、心を入れ替えて自分たちで食文化を変えていこうと意気込んだ。そして、様々な方面に協力を要請し、都心部にあるいくつかの百貨店で史実に近づけようと、食をテーマにしたフェアを開くことができた。
しかし、それは男たちにとって成功とは言い難かった。
「誰だ、なれずし持ち込んだやつは!」
「これは……キビヤック入の納豆だと?」
そう、何故か臭い代物ばかりが並んだ一角ができていたのである。これには男たちの失敗があった。
男たちはこのフェアを開くに当たり、各省庁や
夢幻会のつてを頼って様々な方面に協力を頼んだ。その中に、前回納豆の普及で暗躍した各種の派閥が混じりこんでいたのである。
特に、”臭いものの蓋を開けよう派”に所属する農水省の役人に頼んだのがいけなかった。彼はこのフェアを自分たちの派閥を大躍進させ、日本人に臭いものの美味しさを広めようと男たちを利用したのだ。
そして、日本全土や友好国から様々な臭い物を集め今日のフェアを開いたのである。なお、このフェアに協賛した者たちの中に相当数の”臭いものの蓋を開けよう派”が紛れていたらしい。男たちはフェア当日になっていような匂いに気づいたのであった。
「なんてこったい、納豆があるのは良い。しかし、このアンモニア臭は一体?」
「ホンオ・フェだと?なんでキムチが(この一角に)ないのにこいつがあるんだ!」
「福建と華南からは臭豆腐か…。」
更にはおなじみのシュールストレミングやエピキュアーチーズ、くさや等の世界中の臭いものを集めたようなフェアとなってしまっていたのである。
男たちは絶望した。せっかくフェアを開いたというのにこれでは史実の食文化の普及等夢のまた夢であると。
それに追い討ちをかけるかのように、史実日本で人気を博したジャンクフードやキムチ等の食品よりも、ある程度馴染みのあるこれらの臭いものの方に人が行っていることだ。そう、臭い代物は日本である程度市民権を得ていたのだ。得体の知れない、史実日本の食品やほとんど交流のない朝鮮半島の食品を見ていく人々は少なかった。
日本人は伝統的に発酵食品を好む。発酵食品は当然匂いがキツイが、納豆やなれずしを好む国民性からすればそれはごく当然であるのかもしれなかった。
ここでも、
アメリカが消えた結果日本の食文化に及ぼす影響が現れていた。
「どうしてこうなった。」
男たちの絶望の宴は始まったばかりだった…。
終わり
最終更新:2012年06月08日 00:00