259 :earth:2012/06/10(日) 11:54:24
謎のゲートが出現し、それが日米戦争中の日本帝国に繋がっているとの情報は、あっさり世界中に拡散した。
さらに大西洋大津波という大災厄が発生し、環大西洋諸国が大打撃を受けたこと、
アメリカでは謎の疫病まで発生して
いることが判明すると各国政府、特に大西洋沿岸諸国はその情報の入手に躍起となった。
だが大日本帝国はゲートが狭い洞窟の中にあるということを利用して、強気に出ており、一切の介入を拒否していた。
それも日本側の最初の失礼な物言いを理由にしていたので、平成世界側も強く出れなかった。
「申し訳ありません。担当者は直ちに更迭して別の者を送り、関係修復に務めます」
アメリカからの冷たい視線を受けて日本側はすぐに別の人間を特使にして送り込んだが、すでに帝国側と何らかの合意に達する
のは絶望的な状況だった。
そんな手詰まりの中、ゲートの向こう側の世界の大日本帝国が対米、対中戦争に勝利したとのニュースは平成世界に衝撃を与えた。
特にアメリカ合衆国が完全に崩壊したという情報は平成世界に激震を走らせた。
「並行世界とは言え、アメリカ合衆国が滅んだ?」
陽気なアメリカ人でさえ、その凶報には愕然となった。
そして世界中のニュース番組はそのニュースで持ちきりとなった。
「津波と疫病で苦しむアメリカに対して戦争を継続するような軍国主義国家には断固たる対応を取るべきだ!」
「人道を平然を踏みにじる国に遠慮も礼儀も不要だ!」
「日本帝国によって虐げられているアジア諸国に救いの手を差し伸べるべきだ!」
日本の某評論家はそう気炎を挙げた。
しかしそんな彼らを嘲笑うように、帝国側はサンタモニカ会談で日英独による世界分割を行ったことを通達した。大日本帝国のみ
ならずナチスドイツさえ存続し、世界を動かしているという情報は諸外国を絶句させるのに十分だった。
「ファシストに虐げられる向こうの世界の住民に救いの手を差し伸べるべきではないのか?」
そんな声さえ一部の人間から挙がり、某国は「ヒトラー討つべし」と息巻いた。
尤も戦争を終らせた日本帝国はますます日本政府を言うことに耳を傾けなくなり日本側を焦らせた。一応、会談には応じてくれるが
彼らが日本側の要望に対して首を縦に振ることは無い。
某首相経験者は日本側の印象をさらに悪化させるだけだった。
「貴国は外交というものを何と心得ているのです?」
大西洋大津波とアメリカ風邪の情報を心底欲しているアメリカ側から連日嫌味を言われる日本政府は顔面蒼白だった。
野党からは政府が帝国に余計な情報を与えた上に怒らせたせいで、帝国が意固地になったとの声さえ挙がった。勿論のことだが、
政府側は自分の非など認めず、強硬路線をとる帝国へ責任を転嫁した。
これに諸外国の思惑も重なり、平成世界は当面グダグダのまま推移することになる。
最終更新:2012年06月10日 15:21