966 :New ◆QTlJyklQpI:2012/06/21(木) 01:56:16
次元大戦ネタSS ~次元大戦 改~
1950年、フロリダ半島に立ち上る巨大なキノコ雲の映像を見つつ、
夢幻会メンバーは溜息をついていた。
「ようやく戦争は終わりですね」
「まだ、
アメリカの報復は警戒してますが向こうでは朝鮮半島は赤化して欧州でも赤いドミノ倒しが起こってます。
アメリカがこれ以上継戦したら革命が起きかねません」
「それに向こうではアメリカ風邪が猛威を奮っている。国内のユダヤ人たちも・・・同胞殺しを許容出来まい」
1947年、突如小笠原、バルト海、フロリダ沖に出現したゲートは史実世界へ通じていた。
史実ではドイツは東西に分断され、日本も核に無差別爆撃の焼け野原だったので国民は激怒したが
超大国アメリカとの対峙は疲弊した各国の望むところでなく、アメリカもこちらの世界の自国の消滅に
怒ったがソ連との対立が顕在化しつつある状況やこちらでの万が一に備えての津波対策をしなければ
ならず、軍縮したいトルーマン政権の意図もあり、お互いに不干渉で妥協しようとしていた。
しかし、アメリカの世論を抑える事が出来なかった。更に北米が実質植民地にされ、奴隷制度が
復活し、夢幻会などの登場で実質的な民主主義が衰退してると分かると余計に気勢を上げた。
「向こうのナチとジャップのぶちのめせ!」
「荒廃し植民地化された北米の再興を!」
「帝国主義者を殲滅し、自由民主主義を!」
そして資本家たちも向こうの権益欲しさに世論を後押しし、更に世代交代したばかりで戦果を欲していた
軍部も加わることで政府も折れ、開戦に向けた準備を開始し始めた。といってもドイツと朝鮮の軍を動かす
ことは無理があるので動かせず、時間が必要であった。
一方でこの動きを感知した日本帝國は開戦の可能性が大であると認識、枢軸や英国と協議し、
対米戦では連携することを確約、苦しい財政の中、各国は総力戦体制へ再移行し始めた。
「「ああ、また予算が・・・・・」」
「■■■■■■■■!!!」
日独の本国でT氏とS氏が同じことをぼやき、英国では断末魔の悲鳴が上がるが戦争の足音は確実に近づいていた。
1948年、ベルリン封鎖が一息ついた時にアメリカはゲートの向こうへ「アチソン・ノート」を通告。
北米利権の放棄や奴隷制の廃止、夢幻会などの非民主主義的政治機構の解体や賠償など凡そ飲めない条件を
突き付けて来た。回答として日英独を中心とする軍事同盟の締結と「アチソン・ノート」の拒否を表明、
これによってゲート大戦の幕が切って落とされた。
戦局は質量に勝るアメリカが押してはいたものの、予測を遥かに超える日本軍の機甲・航空戦力の強さと
独ソ戦で散々体験したドイツ軍による督戦部隊と奴隷部隊による徹底抗戦は米軍に大損害を与えていた。
海の方では小笠原ゲートを使用した日本本土攻撃も日本空母群のジェット戦闘機と陸攻の攻撃によって
頓挫していた。それに加えてアメリカの精神的後継者と言えるカリフォルニア共和国と英国がアメリカ側に
靡かなかった事も大きい。
「あのような横暴な要求をするアメリカを支持しない」
「暴君の愚行に突き合う義理はない」
正面兵力こそ微々たるものであったが後方国家として兵器生産などで日本軍を支えるカリフォルニア共和国に
枢軸に船舶をレンタルしつつ、ソ連を警戒し手つかずになっているバルト海ゲートから史実世界と情報を
共有する英国は地味ながらもかなりの影響をアメリカに与えていた。
こっちの世界のマッカーサー将軍下に亡命アメリカ解放軍を組織したものの、ほとんどがテキサスから逃げて来た有色人種や
民兵と言う名のテロ組織であり、支配地域の治安悪化や練度の問題で米軍の足を引っ張っていた。
更にフロリダ半島からの輸送も強化された枢軸艦艇に妨害され、大津波により徹底破壊されたインフラは想像を超える
負担を米軍に強いており、進撃が止まりつつあった。
このままでは膠着状態に陥る危機にアメリカはフロリダの基地から生産を前倒ししたB-36によるアラスカ、ヨーロッパへの
爆撃を敢行。だがアラスカへの爆撃はジェット機の攻撃により戦果は上がらず、ヨーロッパへの攻撃も対富嶽対策を
推し進めていた枢軸には通用しなかった。カリフォルニアにも爆撃が行われたが被害以上に反米感情を盛り上がらせて
しまい、史実世界のカリフォルニアでもデモが発生するなど碌でもない結果に中止されることとなった。
太平洋方面でも第二次小笠原ゲート沖海戦が勃発し、メガ・ドレッドノート級戦艦大和、武蔵による攻撃で戦艦群が全滅する
被害を被り、航空部隊も多大な損害を受けた。
967 :New ◆QTlJyklQpI:2012/06/21(木) 01:57:10
そして史実世界でも欧州への爆撃に英仏がゲート介入への懸念を示し、加えて降伏した日独占領地域で反米活動が活発化、
ソ連も蠢動を始め、国内のユダヤ系財閥はドイツ軍奴隷部隊のユダヤ人への攻撃に耐えられずにネガティブ
キャンペーンなどにより反戦世論を煽った、早期の戦争終結を欲した米国はいよいよ核攻撃という手段に出る事となった。
敵国本土への攻撃は防空網が厚いので断念され、代わりに北米に展開する前線部隊が標的となった。
執拗な迎撃に阻害されたものの、計2発が投下され、米軍側も一部巻き添えを食ったが前線部隊は大被害により後退し、
米国は支持を回復した。だが、即座に実施された報復行為により後悔することとなった。
ドイツは虎の子の戦略爆撃部隊によるサリン散布を実施、日本は富嶽爆撃機による核攻撃を実行。
米軍の支配地域は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
「お前らがいるせいでこうなったんだ!!」
「アメリカ軍を追い出せ!」
支配地域では住民と米軍の衝突が激化し、フロリダ半島付近まで後退。
そこに止めとばかりに新開発の水素爆弾を投下され米軍はゲートの向こうへ撤退した。
「アメリカめがアアアアアアア!!呪われるがいいいい!」
最早価値なしと見捨てられたマッカーサーら亡命アメリカ解放軍は呪詛の言葉を叫びつつ、怒る民衆の波に飲まれていった。
「それだけならまだ良かったんですがね」
「アメリカ風邪まで持ち帰るとは」
「あれだけ忠告したのに、自業自得です」
「まあ、特効薬は効くらしいんで吹っかけてやりますがね」
ゲート大戦の影響で東部隔離地域の封鎖が解け、難民が流出、米軍は世論と政治的判断から彼らを保護し、
治療することとなったが日本の忠告を聞かずに大量投入された抗生物質によって耐性を持つ新型が発生した。
支配地域から米軍と共に追い出された難民が一緒にゲートを潜りアメリカで猛威をふるっていた。
このアメリカの混乱に付け込み、ソ連軍は西ドイツに流入、マーシャルプランによる経済支援がゲート大戦の
影響で中止されていた欧州各国でも共産化の暴動が起こり、かろうじて鎮圧出来た英国を除いて赤く染まった。
中国では台湾に逃れる前に蒋介石ら国民党は殲滅され、朝鮮半島でも手のひらを返したように在韓米軍に
牙を向けた韓国軍によって史実世界のマッカーサーらは絶望的な戦いの中戦死、唯一反米活動が激化していた日本を
残すだけとなってしまった。
米国はこの危機的事態にゲート大戦の勝利を断念し、ゲートの向こうの各国へ講和を呼び掛けた。
日英枢軸は米軍を退けはしたものの、損害も多く、財政的にも逼迫していた状況から講和することとなり
1950年に米国のゲートへの不可侵の代わりにアメリカ風邪の治療薬の提供などを盛り込んだ条約が締結された。
そしてすぐに史実世界の日英が救援を求めて来た。
日本でも英国でも武装した共産勢力が活発化、それに合わせてソ連軍の移動も増えてきており
弱体化した米軍では防衛不能と考え、ゲートの向こうに助けを求めたのだった。
「英国に関しては枢軸にも担当してもらおう。幸い英仏関係以外はゲート大戦で関係改善が見られるし」
「・・・枢軸と大日本帝國が英国と日本国を守るとは・・・こっちの世界のようだな」
「因果律でも流出してるんじゃ?」
「マ●ラヴじゃあるまいし・・・・・・でも否定できんな」
かくしてゲートを越えて、軍事力は派遣され史実世界の冷戦は資本主義、共産主義の対立構図とは
別の様相を呈することとなる。
最終更新:2012年06月24日 16:40