427 :KY:2012/07/18(水) 21:44:22
ネタSS『ベトナムにおける反共教育』
戦後日本は植民地となっていた東南アジア諸国を購入して独立させることにしたが、これらの国家で問題となったのがベトナム共和国であった。
ベトナムはかつてホーチミン率いる独立派が日本の警告を無視して決起して華南連邦の介入を招いた。
この時、ホーチミンがやったゲリラ戦に対して華南連邦は容赦ない攻撃を加え、無関係な民間人が大勢犠牲となり、国内は大いに荒廃した。
当然ながらベトナムの華南連邦に対する感情は最悪になり、日本に対して華南連邦への報復に協力するように要請したほどだった。
当然ながら日本は復興が先であるとそれを切って捨てたが、ベトナムの国民感情が後々問題となるのは分かりきっていた。
華南連邦はイギリス勢力圏の衛星国であり、ベトナム共和国は日本の勢力圏の国家である。
もしベトナムの反華南感情が暴発してしまえば、日本勢力圏の国家とイギリス勢力圏の国家との武力衝突という考えるだけでも頭が痛い事態となるだろう。
そうならないためにも日本は統制を強めていたが、根本的な対策が必要とされ、会合の議題となっていた。
「ベトナムには本当に困ったものですよ」
「大韓帝国よりはマシだがな」
「というかあそこより酷い所はないでしょう」
「まったくですよ」
辻は麺を啜りながら同意する。
とまあ言ってる内容はまともであるが、会場がベトナム料理店で、料理を食べながら議論しているのがいろいろと台無しにしていた。
ちなみに大韓帝国は一応日本の保護国となっているが、利敵行為などで信用を失っているにもかからず、最近では厚かましくも追加の支援を求めているのだから邪魔者扱いされていた。
「しかし、何故にベトナム料理? またしてもネタですか?」
「いや、折角ベトナム料理店があるからね。ここも
夢幻会の人間が経営している個人店だよ」
「いいじゃないですか。このフォーはなかなかいけますよ」
彼らの前にはフォーを初めとして様々なベトナム料理が並んでいた。
憂鬱日本では中華料理店というのは存在しない。
まあ、中国人自体がアレであるし、史実と異なり中華系は日本にほとんどいないので、中華料理店や中華街ができる土台がないのだった。
ぶっちゃけ今後もラーメンや餃子などのごく一部を除いて中華料理は流行らないだろう。
そこでベトナム料理がその穴埋めをする形で夢幻会員たちの行きつけの店となっていた。
「それで提案ですが、現在ベトナムで蔓延しているホーチミンや共産主義に対する反発を利用しませんか?」
「つまり反共を煽って、反華南から目を逸らすわけですね」
「ええ、カルフォルニアのように情報工作を行うだけでなく、歴史教育にも手を出すべきかと」
「それなら、ついでにホーチミンのやったゲリラ戦が民間人の虐殺を誘発させたと非難するのも有効だと思いますよ」
「確かにそうですね」
その場の会合メンバーも頷く。
ちなみに夢幻会はゲリラを好んではいない。
ゲリラやパルチザンというのは格好良く聞こえるかも知れないが、正規軍同士による決戦と違って、民間人を巻き添えにする危険極まりない戦法であるのは逆行者にとっては常識であった。
最も中華民国の便衣兵のように露骨なまでに民間人を盾にするよりはマシであるが、それでも華南連邦軍による虐殺を招いた。
そもそもゲリラと民間人の区別が付きにくいと言うのは極めて危険なのだ。
そういう意味ではゲリラ戦をする位しか出来ない癖に、帝国の警告を無視して決起したホーチミンは身の程知らずとしか言いようがない。
この意見に反対する者はその場におらず、採用された。
こうして、戦後のベトナムの教育現場では、ホーチミンや共産主義者は散々に評価されていくことになる。
最終更新:2012年07月18日 21:58