957 :第三帝国:2012/07/21(土) 21:39:26

ネタSS~世界線変動率200%の世界・その後

帝国軍将官たちを驚愕せしめ、
号泣する黒イノシシを筆頭に呪い酒を飲む帝国軍将官に、
同じく号泣する辻の母校である白凰女学院の後輩にたちと当初から結婚式は嗚咽が絶えないものであった。
特に、某財閥の娘とハッカーの公式百合っぷるはお前は娘を送りだす父親か?と言わんばかりに泣いていた。

さらに、式が進み血の気がない女垂らし提督が淡々と夫婦の初めての共同作業であるケーキ入刀を宣言した刹那。
女子高の制服の上に時代錯誤な海賊服を纏った海賊が乱入し、略奪宣言と同時に夫である義眼に対して決闘をするというアトラクションが繰り広げられた。

女性陣は純粋に楽しむアンネローゼ、真剣に義眼を応援するベーネミュンネと、このイベントは大いに受けた。
しかし、男性陣は【あの】オーベルシュタインがイベントとはいえハイスクールガール相手に嫁をめぐって決闘をした。

という事象に(まるで自然現象ないいかただが)カイザーと祖父は腹を抱えて笑い、オフレッサーは泡を吹いて気絶し。
ミッターマイヤーはビッテンフェルトが結成した『軍務尚書殿を呪う会』と共に呪い酒を飲んで現実逃避を図った。

そんなこんなで、帝国軍将官らの肝臓を悪化させた辻とオーベルシュタインの結婚式が終わり早数カ月。
両国家の平和を象徴したイベントも時間が経てば忘れるもので、いつしか人々はそのことについて口にしなかった。

より正確にいえば帝国軍将官らが【あの】オーベルシュタインの新婚生活についてゴシップ魂を発揮しようも、
それぞれの職場を退職した2人のゆくえについて徹底的な情報管制が敷かれていたため、皇帝と少数の臣下を除けば住処すらも分らなかった。

これは新婚生活を知られたくないという可愛い理由などではなく、
2人が武闘派地球教、過激派共和主義者、その他等などと随分と恨まれていたゆえである。

「だからと言って、
 この俺にフェザーンに寄るからには挨拶しろ、とはマインカイザーは人の心がわからない・・・」

どこぞのNTR騎士のセリフを呟く色男。
いつもなら女性を魅力して止まない面は血の気がなく、帝国軍を代表する武人として全身に漲っていた覇気もなく。
副官や部下たちが今の彼、オスカー・フォン・ロイエンタールを目撃したらきっと我が目を疑ったであろう。

まあ、前世から辻の相棒?な嶋田が見たらそんな大人げない姿勢に『どんだけ嫌いなんだよ!?』と突っ込んでいただろう。

「あの元軍務尚書殿と金の魔女ことツジと合うのは気が進まないが、早いとこすませてしまおう」

元々フェザーンに来たのは地球教を始めとした数々の悪行が発覚した揚句、
日自銀の三カ国の暫定的共同統治と相成ったフェザーンに関して銀河帝国代表として打ち合わせをするためである。

そしてちょうどフェザーンに隠れ住んでいるツジ夫婦(なんと、あの軍務尚書殿が婿養子である!)に、
挨拶しておくように、とカイザー直々の命令に逆らえるはずもなく、やはり反逆すべきだったと後悔しつつロイエンタールはメインストリートをトボトボと歩いていた。

「お、ロイエンタール閣下ではありませんか」

そんな気落ちした状態で後ろから第三者が声を掛けてきた。
よく知っている同僚のものだったので、ロイエンタールは気落ちしているのを悟られないようにすぐさま気分を入れ替えて振り向いた。

「ほう、その声はメックリンガーじゃない。
 奇遇だな、まさか卿が軍務尚書閣下に好んで合いにいくつも、り・・・か・・・?」

声を掛けて来たのは芸術提督と名高いメックリンガーであった。
相変わらずロン毛にちょび髭とインチキおじさんスタイルであったが振り向いた先にいた彼に、ロイエンタールはそこに絶句したのではない。

物がいいスニーカー。
本来の起源とは違いブランド物のジーパン。
緑髪のツインテールの少女が銀河帝国軍の制服を着て敬礼した姿がプリントされたTシャツ。
その上に羽織った時代遅れな感がするグラデーション・チェックカラーのシャツ。
背中にはリュックを背負いポスターがはみ出ており、腰には直ぐに現金が出せるようにウエストポーチが装備してあった。

それはどう見ても、ださいオタクファッションであった。
しかし、インチキおじさんな面と合わさって逆に似合いすぎているのが恐怖すらロイエンタールは感じた。

「いえ、イベントに参加するために外に出ておりました」

「そ、そうか・・・・・・」

メックリンガーの軍服姿しかしらないロイエンタールは眼の前に映る服装に押されている。
口調が公務時と同じく真面目なものなせいで似合っているはずの服装から違和感が出され、どう対応すべきか迷う。

958 :第三帝国:2012/07/21(土) 21:40:06

「まん○だらけ、虎の○、メロン○ックスこそオーディンにもありますが、
 コミケのようなイベントは治安維持の名目上未だ帝国領では開催されておりませぬから、このたびの会談に随行員として来れたのは幸いです。」

「・・・・・・・・・それは幸いだったな」

ロイエンタールにとってメックリンガーが言うイベントとは、
女を腐らせる類の物だと実体験していたので同僚の意外な趣味に少しばかり距離をとった。

もっとも、それは誤解であり芸術家提督はプリントされたシャツがミクのように、ミク厨であり。
同時に東方信者であり、女垂らし提督が知る貴腐人のように決して腐り神に洗脳された腐男子ではなかった。
正しくはエヴァンゼリン、アンネローゼ、ウエストパーレ男爵夫人の【貴腐人たちに洗脳されつつある】だけである。

今後の付き合い方を真剣に考えた方がいいかもしれない。
等とあながち間違ってはいない未来への対策をロイエンタールは考え――――。

「久しいな、このような場所で卿らに合えるとは私も思わなかった」

ドライアイスの剣、感情がない絶対零度の音声が2人に呼び掛ける。
それが知っている人物ゆえに会話を中断して反射的に横に振りかえる、芸術提督に女垂らし提督。
幻覚か幻聴の類であることを普段は信じない神様に自分たちの認識がどうか間違いであること願った。

だが、現実は残酷であった。
例えると、日曜日は過ぎていつかは月曜日になるのと同じくらい現実は非情であった。

「卿らと最後にあったのはあの結婚式以来であったな」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

できれば、合いたくない。
というよりもむしろ死んでくれと願っていたかつての上司、パウル・フォン・オーベルシュタイン・ツジであった。
相変わらず、というよりも結婚した癖に変化がなく現役時代と同じく感情と言うものを感じさせない瞳で2人を見ていた。

しかし、服装は大いに変化していた。
清潔感を感じさせる桃色のポロシャツに茶色のカーゴパンツと割とお洒落な姿をしていたが、
そもそも、灰色が似合う風体をしていた上に、黒の軍服以外の姿を見たことのない2人にとってそれだけでもSAN値直葬ものであった。

おまけに足元にはミュラーが言っていた、
例の老犬をつれており首輪を付けてリードをしっかりと握り、空いた手には買い物袋と生活感溢れる姿をしていた。

「ふむ、メックリンガー提督。卿も我が家に来ると良い」

「な・・・ななな」

説明過程を吹き飛ばし出された結論によろめく芸術家提督。
事前に会うと約束していた女垂らし提督と違いまさかの誘いに動揺が隠せていない。

「そうだな、俺も賛成だ」

「な、ろ、ロイエンタール提督っ!!!」

ロイエンタールはそんな姿に懐かしさを覚えると同時に、
逃げ道をなくすように同意を表明し、生贄が増えたことに内心で歓喜した。

「では、来るといい。妻が車で待機している」

そう言いつつ、道の反対側に待機してある車に感情のない視線を向ける。
そこには、黒髪眼鏡の東洋的美少女が嬉しげに手を振っていた。
流石は元裏方担当、2人して逃げる道は閉ざされている。

「メックリンガー。何、仲良く逝こうではないか」

「・・・ああ、では逝きましょう」

地獄への片道切符を持たされたように、ゆらゆらと幽鬼のごとくオーベルシュタインと共に車へと向かった。

959 :第三帝国:2012/07/21(土) 21:44:23

理想郷がつながらないからむしゃくしゃして書いた、今も反省してない。
真面目なSSもいいけど、今後も銀英ネタでこうしたSSが増えることを切に願います。
後、さりげなくモーレツ宇宙海賊とクロスさせています。

では


追伸:理想郷が繋がったら真っ先に寄付するんだ・・・

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年07月22日 15:25