210 :パトラッシュ:2012/08/11(土) 19:00:15
earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART4

山田真耶SIDE

 尊敬する織斑千冬先輩は、家庭的には気の毒な方です。ご両親に捨てられ、弟さんと懸命に生きてきましたが、その弟さんも誘拐され爆死したと思われていたのですから。いつか学園の準備室で、うたた寝していた先輩が涙を流して「一夏……」と弟さんの名を呼ぶのを聞いてしまいました。「ブリュンヒルデ」と呼ばれ、鬼のように仕事に打ち込む先輩は近寄りがたい人と思われていましたが、弟さんを失った深い心の傷に耐えていたのです。ああ、いいです先輩。私は悲劇のヒロインが苦しむロマンス物が大好きなのですから……。

 その弟さんが生きていた、しかも別世界に転移して。信じられない話でしたが、IS学園を訪れた弟の一夏くんは、軍人とは信じられない笑顔が素敵な好青年でした。先輩が一夏くんの胸で泣き崩れる姿に、私も涙をこらえ切れませんでした。だけど抱き合う二人の姿が、大好きな「禁断の愛し合う姉弟」ジャンルのイラストそっくりですぅ。いけません、お二人は姉弟なんですよ。イケないことしたら、いや、もっと見ていたい……。

 その一夏くんがISを起動させてしまい、学園に留学することになるまでは・……思い出したくありません! 初の男性IS操者出現ということで会議、報告、会議と連日続き、過労で倒れる教師も続出しました。私もすっかりお肌が荒れて、先輩から「山田先生、口から白いものが出ているぞ」と言われたけど、死ぬ気で頑張りました。だって、一夏くんは私が副担任を務めるクラスに入るんですよぉ。他に譲るものですか。私は教師、彼は生徒。大好きな「禁断の愛し合う教師と生徒」の設定そのものに――あ、頭がくらっと……。

 一夏くんの入学前、形だけながら試験が行われました。今さらと思いますが、主に欧米のIS委員会が強引に要求したのだと千冬先輩がこぼしていました。一夏くんの能力を調べる機会は少しでも逃すまいと、目を皿のようにして監視しているのでしょう。どす黒い政治の思惑とやらにうんざりしましたが、何とその試験官に私が指名されたのです。こ、これで少しでも一夏くんとお近づきになれるのなら、政治の思惑大歓迎ですぅ! 鼻歌まじりにISの準備をしていると、千冬先輩が呆れたように私を見てましたけど。第三アリーナでは「打鉄」を装備した一夏くんが待っていました。さあ一夏くん。私を受け止めて……一気に彼の腕へ飛び込もうとしましたが、何と髪一筋のところでひらりとかわされました。勢いはとまらず、そのままアリーナの壁に激突しました。当然ISは大破し、私は気絶――する前に駆けつけた千冬先輩の眼差しは、呆れを通り越してブリザードを思わせる冷たいものでした。だけど、先輩の冷たい視線に、ぞくぞくっと快感が背中を走ります。ああ、これは大好きな「ご主人様を献身的に愛する奴隷」の物語そのもの……。

 いろいろと苦労しましたが、どうにか新学期。さわやかに挨拶する一夏くんは本当に格好よくて、惚れ惚れしてしまいますぅ。だけど、私は気付きました。憧れの千冬先輩に会えて大騒ぎした面々が、一夏くんには頬を染めて無言で見つめるばかりなのを。全員が一瞬で堕とされてしまったとは! い、一夏くん、あなたそんなプレイボーイだったんですか! ああ、一組は織斑一夏のハーレムに……いえ、そうなると当然、私も加わって一夏くんに愛されるわけで。思わず悶えているうちに英国代表候補生のオルコットさんが、一夏くんとクラス代表の座を賭けて勝負することになっていました。騎士は貴婦人の愛を賭けて決闘するもの。当然、私は一夏くんの勝利を、紅涙を絞りながら祈る――あ、急に目の前が真っ赤になりました。同時に頭がくらくらっと。大量の鼻血を噴いて倒れながら、私は神に感謝していました。こんな萌える世界に生まれ合わせたことを……。

※第四弾です。山田先生ファンはスルーしてください。次回はシャルの予定です。wiki掲載はご自由に。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年08月18日 17:42