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478 :taka:2012/07/19(木) 11:52:32


ゲートと呼ばれる世界を繋ぐ門が出現し暫しの時が経過した。
勇んで突入した遠征軍が悉く撃退され壊滅的な打撃を受けた帝国軍は、己に従う連合諸王国に軍勢を派遣する事を要請した。

だが、ファルマート大陸を異世界の軍勢から守る、という大義は嘘である。
この戦いは帝国皇帝の奸計であり、勝敗は戦う前から決まっていたのだ。

帝国軍の一級戦力が消失し、再編制もままならぬこの時期に彼らが反旗を翻せば一大事。
彼らがアルヌスで起きた戦いの詳細と異世界軍の手強さを知る前に、彼らを異世界軍にぶつける。
当然連合諸王国軍は甚大な損害を受けるだろう。
だが、帝国からすれば悦ばしい事態だ。何せ、敵戦力にこちらがやらねば成らぬ事をして貰うのだから。
壊滅してもあくまで命令通りに「大陸を守る為に戦うよう命じただけ」。
10万近くの軍勢と戦えば流石の異世界軍も幾らかは消耗するだろうし、そうなれば帝国の体勢を整えるだけの時間稼ぎにはなる。
どちらが勝とうが負けようが、帝国の損にはならないという戦いだった。その、筈だった。

黒煙が幾つも昇る帝都外周防壁を、連合諸王国軍の大軍が襲いかかる。
東西南北、肌の色や装備が悉く違う兵士達が、本来守るべき筈の帝国の首都を落とすべく城壁を打ち崩していく。

「やれやれ、まさかこんな役割をするとはなぁ……」

苦虫を噛み潰した表情で戦場を視察しているのは、エルベ藩国のデュラン王。
家紋入りの黒い甲冑に身を包んだ隻眼の王は、疲れたように嘆息した。

「ははは、しっかりしてくださいよしm……デュラン殿。ここを打ち破れば帝都も目前です」
「つz……ゲフン! リィグゥ公。そうであって願いたいものですよ。こういう事態に持ち込むまで散々胃が痛い思いをしたのですからな」

算盤に似た原始的な計算機をパチパチと弾いていたリィグゥ公国の公王はニヤリと嗤う。

「まさか主要メンバー全員がこの大陸の連合諸王国軍、その国々の王に転生したとは……ねぇ」
「ははは、本当に冗談かと思ったよ。同じ地球の歴史じゃなくて他の世界まで転生ですっ飛ばされるのってどういう事なの訳がわからないよ」
「この世界に住む神々の気紛れか悪戯かもしれませんねぇ」
「そんな幻想ぶち壊してもいいですか? 史実の全滅ルート回避するのに俺達がどんだけ苦労したのかぶちかましてよかですか?」
「あー、それは勘弁してください。ここの神様達って冗談通じない割には大人気ありませんので」
「……やっぱりですかね。畜生、取り敢えず今まで散々嫌な思いさせてくれた皇帝とゾルザルを縊り挙げてやるっ」
「ピニャ殿下どうしましょ?」
「守備範囲引っ掛かる人に人質として預かって貰いましょうか。部下の方々には私の手元で淑女の教育を受けて貰い……ウフフフフフ」
「次元を超えても性癖が歪みねぇのはマジぱねぇっす」

そんな痛い会話を交わす二人の元に帝都外周防衛線を突破したと報告が来たのは直ぐ後だった。
その後、帝国を打倒した連合諸王国が、エルベ藩王国を盟主とし異世界の日本国と交渉を行う事になるのはもう少し後の事である。

424 :taka:2012/08/07(火) 16:06:38

前スレ>>478のおまけ。取り敢えず第一弾、題してご対面



東京は銀座、中央通り。即ち、ゲートの手前。
其処にはドカンと急造された建物が建ち、周りには物々しい装いの男達がひしめき合っていた。
銀座側には装甲車やら旧式の対空自走砲とバリケード、そしてカーキ色や緑色の軍服を着た軍人達が手に銃剣付きの自動小銃を構えている。
ゲート側には横列を幾重にも敷いた装備も人種も多彩な装甲兵達が、弓矢やボウガン、長剣やロングランスを手に立っている。
そう、これはゲート両側に存在する国と国の交渉舞台。
ゲートを開いて攻めてきた帝国を撃退した日本帝國と、その帝国を倒して主権を奪った連合諸王国の交渉舞台である。
アルヌスの丘周辺を調査していた帝国軍先遣隊と先触れの使者がどうにか接触し、数ヶ月の調整を経て交渉と相成った。
(数ヶ月も交渉まで時間がかかったのは言語の問題、そして旧帝国領の処遇で諸王国連合の調整が必要だったからだ)
帝國側からすれば侵犯国である帝国は既に属国の叛乱で倒されているので厄介な交渉である。
連合諸王国はあくまでゲートによる侵攻作戦を『故モルト皇帝が主導した侵略戦争』と定義し属国である自国達には責任は無いと主張。
しかし数百人の民間人を虐殺された日本側もハイそうですかで収められる筈もなく、しかし倒すべき帝国は既に倒れていた。
残る旧属国の集合体である諸王国連合と戦端を切ろうにも相手は意外すぎる程に慎重で対話を最優先としてきた。
これでゲート周辺に展開した帝国陸軍と戦火を発してくれれば、容赦なく遺憾の意を発動出来たのだが上手く封じられてしまった感じがする。

そんなこれからマジでどうするよ?な混迷極まる状態の中、それらの問題を一掃してくれそうな情報が日本帝國政府の一部に舞い込んだ。

『ファルマート大陸を現在牛耳っている諸王国連合の王達は、実は夢幻会主要メンバーの転生者である』と。

対策の為に集まってた夢幻会の重鎮達の顔が某クロ○ティ高校っぽくなった。

『それは、ひょっとしてギャグで言っているのか!?』

無論、この情報を投げ込んで来たのは非公式でゲートに来訪した諸国王直属の密使である。
この仰天過ぎる情報を信じるか否か、夢幻会は揉めに揉めた。

「これだけの情報を持っているのだから本当ではないのか? わざわざ名指しなど有り得んだろう」
「その通りだな。知りもしない日本の事を良く知っている等とは普通ではない。会う価値はあるのではないかな?」

しかし、慎重派は尚も渋った。

「相手は魔法を使うという怪しい輩ですよ。何らかの形でこちらの情報を手に入れたのかも」
「左様、打開の為に会見するにしても、慎重を期さねばなりません」
「ならば、どう確認せよと言うのか!?」
「……良い案があります。我々であれば、彼らが本当の我々であるのならば、彼らはこの問いに答えられるでしょう……」


そして、夢幻会が出した確認の為の問いかけとは―――。


問「敢えて言おう」
答「カスであると!!」

問「そんな装備で大丈夫か?」
答「大丈夫だ、問題ない」

問「ファイナルフュージョン!」
答「承☆認!!」

問「これは見えているのではない」
答「見せているのだ!」

問「お前のドリルは何のためにある」
答「俺のドリルは天を衝くドリルだぁぁぁぁっっ!!!」


こうした秘匿情報による厳重な確認と情報交換により、諸王国の王達が夢幻会メンバーの転生体である事が判明した。
(もっとも最大の決め手は5人の王が一糸乱れぬ動きで踊ったハ○ヒダンスであった。ちなみに異世界でこれを踊ると異端審問にかけられると思われる)

会議場では、背広や紋付き袴姿の夢幻会のメンバー。
対面ではそれぞれ家紋や煌びやかな装飾が付いた鎧やローブを着込んだ諸王国の王達が並んでいる。

そして、彼らが注目するのは……。

「よもや、転生体の自分と対面するとは運命とは面白い、そうは思いませんかリィグゥ公王陛下?」
「私もそう思いますよ大蔵省の魔王様。この会議でのお手並み、拝見といかせて貰いましょうぞ?」

メンチを切りまくっている両陣営の交渉面における主導者達だった。
焦った顔でエルベ藩王が向かいに座っている嶋田総理大臣に何とかしろとアイコンタクトを送る。
疲れ切った面持ちで力なく顔を左右に振った嶋田は、栄養ドリンクをゴクリと呷る。
同じ様な仕草で溜息を吐いたエルベ藩王は、特別配合の薬草エキスの入った小瓶をゴクリと呷った。

おはり

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最終更新:2025年03月05日 18:32