883 :Monolith兵:2012/08/22(水) 04:11:37
蹂躙系SS「大魔王降臨後」
1942年の第2次世界恐慌により、世界最大の債務国となった
アメリカは列強各国からの圧力を受け続けていた。それに加えてドルの価値はかつてないほど下がり、株価ももはや手がつけられない状態であった。
しかし、それでもアメリカは強気であった。その工業生産力は世界最大であったし、海軍は戦前のイギリスと同等以上のものであった。そう、アメリカはイギリスが戦争で疲弊しているあいだに世界最大の海軍国となっていたのだ。日本も頑張ってはいたが、戦艦の数ではアメリカが引き離しており、また全力生産すれば日本海軍など2年でもうひとつ作れるだけの生産力があったのだ。
だが、現実はそう楽観的ではなかった。アメリカ政府もそれを理解して、デノミや新紙幣発行も含めて検討されていた。だが、FRBは新紙幣発行を認めず、政府とFRBとの対立は日々強まっていた。
かと言ってデノミをしたとしても、もはやポンドや円が国内で実質的な通貨として流通している現状では、市場に流通しないのではと思われていた。そう、アメリカはもはや煮詰まっていたのだ。
そんな中、日本、イギリス、ドイツなどの主だった列強各国はアメリカへの対応に関して度々会談を行っていた。
日本のとある料亭ではその会談から帰ってきた白洲を交えて会合が行われていた。
「どうやらイギリスはアメリカ国内の混乱をさらに煽るようですね。この機会に奪えそうな利権や技術を手に入れようと躍起になっているようです。」
全く業突張りですね、とつぶやきながら報告する辻に、会合の一同の心はひとつになった。
「と、ところで、アメリカが
アジア艦隊の一部を東海岸に回航するという話を聞きましたが、イギリスはどう出るつもりですか?」
話題を変えようと、嶋田が海軍の話をふる。アメリカは国内経済の疲弊からアジア艦隊を維持できなくなりつつあった。また、士気も下がっておりアジア艦隊の全面撤退もありうると嶋田は考えていた。給料として支払われているドルが紙切れになたのだ。フィリピンでも物資の調達が難しいのだろう。
「ドイツとにらみ合っている以上アメリカに備える戦力はないようです。」
知らせの返答に海軍の人間達が眉を寄せる。
「それではアメリカはイギリス経由で復活する可能性があるぞ。たとえポンドが一時的にアメリカの通貨になったとしても、あのヤンキーたちのことだ。ぎゃくにイギリスごと飲み込んでしまうぞ。」
伏見宮の話は荒唐無稽のようではあるが、アメリカの工業力と金融力、そしてその不屈のヤンキースピリットは恐ろしいものである。イギリスを利用しての復活ということはあるだろう。
「ドイツはソビエトと全力で死闘中。アメリカ包囲網は難しいかもしれませんね。」
会合の面々はうーむと唸った。辻の策略が成功して以降、
夢幻会はアメリカを徹底的に搾取して、少なくとも100年は立ち直れないようにすることを目標にしてきた。だが、ここに来てイギリスが軍事プレゼンスを発揮できないと、その実現は難しいと言わざる得なかった。
「それでですが、イギリス側からこんな提案がありました。」
そう言って白洲が言ったことに一同は驚愕した。
「無理だ!日本にそんな戦力はないし、第一補給が続かないぞ。」
「いや、その内アジア艦隊は本土に帰るだろうから本土防衛には戦力に余裕が生じるはずだ。」
島田と伏見宮がそれぞれ反対の意見を述べる。
白洲が述べたイギリスからの提案とは日本海軍のイギリスやカナダといった大西洋への回航であった。イギリスは補給を負担する用意があると言ってきていたが、燃料や日用品等はともかく、弾薬と航空機などの兵器の補充は日本が遥かイギリスまで行って行わなければならない。その護衛戦力なども含めれば莫大な戦力が必要となるであろうことは自明であった。
884 :Monolith兵:2012/08/22(水) 04:12:18
「私は派遣する艦隊は小規模でいいと思っている。勿論航空戦力は充実する必要があるが、そこまで補給が難しくなるほどではないと思う。目的はあくまで圧力をかけることなのだからね。イギリスには日本が輸出した96式戦闘機が大量にあるし、輸送船団の護衛はイギリスに多めに出してもらおう。ここは踏ん張りどきだ。日本だけではなく列強各国にとってもだ。」
伏見宮の言葉に嶋田はしばらく考え込んだあと、辻を見る。辻はひとつ頷いてから口を開いた。
「予算のことならおまかせください。アメリカから分捕ったお金はまだまだありますし、戦時国債の用意もしてありましたからかなりの余裕がありますよ。それに、アメリカで円が流通していることによって、未だにお金は増え続けていますしね。」
さらりと未だにアメリカから金を掠め取っていると言う辻に、嶋田は冷や汗をかいた。やはりとんでもない人間だ、辻は。
「では、詳細は海軍の方で調整しますが、イギリスに艦隊を派遣するということで。」
嶋田の言葉にみんな賛同したが、東条はもう一つ提案した。
「陸軍からも航空戦力を出しましょう。まだ核兵器は”公式”には出来ていませんが、戦略爆撃機はあった方がいいでしょう。それに、核実験以降は核を搭載した戦略爆撃機として使用することができます。核実験を行う前に派遣しておいたほうが色々と面倒臭いことにはならないでしょうし。」
嶋田は東条の提案を受け入れ、陸軍から重爆と戦闘機を派遣することを決定した。
「さあ、これでアメリカに王手をかけれますね。アメリカが日本の経済ブロックになるとは、バブルが弾けなかったらこうなるのでしょうかね?」
「辻さん、まだアメリカが日本に屈すると決まったわけでは…。それに、アメリカが屈したとしてもイギリスとの熾烈な競争になるでしょう?」
「私がイギリス相手に何もしていないとでも?」
嶋田がなだめようとすると、辻はさらりとトンデモ発言をした。
「さあ、これから面白くなりますね。クククッ。私が世界を動かすとか、なんて胸熱なんでしょうか!」
辻の高笑いを聞きつつ、会合の面々は心の中で同じ事を固く誓っていた。
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- 辻政信が世界(経済)征服を開始しました。
- 夢幻会は辻のサポートを始めました。
- イギリスは爆弾を抱えているようです。
- アメリカは瀕死のゾンビになりました。
- ドイツは要らない子のようです。
<魔王辻政信に対してどんな行動をとりますか?>
⇒
・勇者として魔王を倒す。
・世界の半分を分けて貰えるよう頼み込む。
おわり?
最終更新:2012年08月23日 21:34