222 :第三帝国:2012/09/09(日) 23:28:38
【星界×銀鬱本編】 派遣艦隊
――宇宙暦801年
旧銀河帝国領イゼルローン回廊宙域 ハニア連邦
2個艦隊を指揮下に収めた、
銀河系内郭国家連合軍イゼルローン方面ハニア連邦派遣艦隊司令、
冨永恭次大将(革命戦争前夜に昇進し、複数の艦隊を指揮下に収める大提督になる)に普段の厨二的テンションはない。
まるで女の子のような顔も・・・いや、元となった人物が電波を発する少女で性別は男な娘であるが、
いつもの無駄に元気な表情に活力はなく、瞳を閉じ自慢の青銀に輝く髪を無重力空間に任せたままであった。
艦内で士官に居住に関する特権が与えられる伝統は大日本帝国海軍以来のものであり、
この時代の艦隊司令となると10人程度が入れる小さな庭園兼アーヴに欠かせない無重力空間を持つことができた。
前世、前前世において無重力空間で思考するとなるかえって集中できなかっただろうが、今は心が安らぎ思考が3倍の速度で働いていた。
彼が率いる艦隊は革命戦争後銀河帝国の秩序が崩壊した後に宇宙規模の海賊、難民が発生する恐れがあったため、
秩序の維持と安定のために旧帝国領イゼルローン方面にこうして展開し、様々な面倒事を抱えつつ国連軍の真似ごとし。
ハニア連邦を始めとして星系国家が次々と誕生して最近ようやく安定の兆しが見えてきた矢先に、同盟との戦端が開かれる可能性がでた。
――――まったく面倒な事になった。
富永は苛立ちを押さえられずにいた。
当初、統合参謀本部、ならびに
夢幻会の考えではこのままじっくり経済的に銀河を掌握するつもりであったが。
何をどうしたのか同盟が戦争準備をしていると連絡を受けたのがついさっきである。
50年前から戦争が全体的に有利に進んでいたため、人口の減少率が押さえられ、
かつ帝国からの移民ボーナスで(もっとも途中難民爆弾と化して一時同盟が傾き、国家連合が一部肩代わりせざるを得なかった)
しかし【原作】以上に人口と経済を維持することに成功し、各種省力化、無人艦技術の提供で艦隊あたりの人員が削減されたことで、
自由惑星同盟は最終的に20個艦隊も維持することに成功し、数の上で帝国の革命政権を打倒する要因となったが。
今やそれがそのままそっくり自分たちに帰ってくるとなると頭を抱えたくなる。
――――もし、帝国領内にいる間に戦端が開けば孤立してしまう。
現在艦隊がいる場所は旧帝国領であり、
もし現段階で戦端が開かれると孤立した上で、本土に帰るにはイゼルローン要塞を突破しなければならない。
場合によってはハニア連邦、あるいは新銀河帝国が点数稼ぎに背後から一撃を加えられる可能性も考慮しなければならないだろう。
――――まったく面倒だが、まぁ。やるべきことは変わらないな。
富永は上下逆さまであった姿勢をくるりと回転させ、足を床に向ける。
靴が床を鳴らすと人工重力が働き、漂っていた青銀の髪がはらりと下に落ちると、壁にかけてあったマントをはおり。
乱れた髪を束ねてお気に入りの痛頭環を被りつつ会議室へと向かう。
途中で士官や兵たちの敬礼と引きつった笑顔を受けつつ会議室の扉を開くと、
艦隊参謀に、提督、分艦隊司令クラスの人間が一斉に立ち上がり『肘を折りたたんだ敬礼』で出迎えた。
「では、閣下。今後の方針についてお聞かせ願いませんか?」
【原作】では【戦旗】に登場しハイド星系を帝国に編入させたドゥサーニの元で参謀として仕えていた、
ケネーシュ・ウェフ=ステューマル・キペール参謀長が富色の髪を揺らしながらここにいる全員を代表して問う。
蛇足ながら、彼女が富永の参謀として選ばれた理由は、
ハンモックナンバー的に五本指に入りかつ理屈倒れすることもなく、下からは慕われなお且つ度胸がある有能な軍人であったためだが。
こまったことに24時間厨二状態であり、
直属の部下は常に自分の黒歴史と向き合う羽目に陥り、心身疲労を理由に転属する者が後を絶たなかった。
ゆえに皇太子相手に『お黙り!』と一喝するだけの度胸に常識人であることを買われ、
夢幻会の常識人メンバーの要望でこの厨二聖帝に対するストッパー役として期待され、
現在に至るまで彼女はその期待に答えており、何らかの決めポーズをしようとした上官に先手を打つように睨みつけた。
223 :第三帝国:2012/09/09(日) 23:29:34
「無論決まっている、我々の任務は華々しく散ることでなく生き残ること優先である――――」
冗談を飛ばさせる気がない参謀に睨まれ、富永は素直に今後の方針について語り始めた。
かくして数日後、本国の許可を得た後。
現地での根回しに電子書類に溺れながらも派遣艦隊は帰国を開始した。
イゼルローン要塞にいるのがヤン派のフィッシャー提督であるので、
いきなり攻撃される危険性は少なく堂々とイゼルローン回廊経由で撤退すること考えられたが、
送りオオカミの危険性と何らかの理由で足止めされる可能性があったので。
フェザーン方面のトライフ大提督艦隊と合流しフェザーン回廊経由で撤退を開始した。
同盟領内では送迎の名目で追尾されたが、ケネーシュ参謀長を筆頭に参謀達が栄養ドリンク片手に徹夜で練り上げた運行計画により。
疾風ウォルフにフィッシャーも驚くほどの速さで振り切り、情勢も不気味に沈黙を保っていたままだったこともあり。
一月以内に無事サジタリウス回廊へと辿り付き、後方予備へと編入された。
ただ帰国した後に緊張が途切れた参謀長が過労で倒れたそうだが・・・・・・。
上記セリフの続き
「なるほど、閣下の方針について私も賛成です。
ところで閣下、そのマントとマスクは一体何でしょうか?」
「ふ、愚か者め。
スペースオペラの軍人にマントはお約束に決まっていることを知らないのかね?それと、私の事は悪逆皇帝TOMI☆NAGAと呼ぶがいい(どやぁ)」
「没収」
「やめろぉ!俺に乱暴する気だな?エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!」
「お だ ま り」
「・・・・・・はい」
最終更新:2012年09月22日 22:45