256 :New ◆QTlJyklQpI:2012/04/08(日) 22:15:43
ネタSS ~蒼海の苦悩~

リャオトン半島の共同租界で行われた日独に対する爆破テロ。それにより多数の死傷者を出し、更に死体を漁るような
現地の楠叙人の所業に両国政府は「遺憾の意」を表明した。この声明は蒼海世界の列強の首を傾げさせることになるが
日本との接触でその意味を知る政府首脳陣は大わらわになっていた。

「どういうことだ!暴徒で軽い怪我を負わせたり排外運動起こさせるだけではなかったのか!」

情報部の上司はそれこそ怒りの声を上げ、そのように誘導していた局員も慌てふためいていた。
原因は楠叙朝に対する不信感を増大させて日独英と共に楠叙朝を蚕食しようという列強勢力の
介入、皇国情報部の反津勢力の武力見積もりの甘さなどであったのだが。

そしてゲートから空母2隻を主軸に出て来た日独艦隊がそのまま租界に進出、反津勢力が立てこもっている区域に
艦砲射撃と空爆を加え始めると一応名目上共同している皇国の水軍や陸軍は戦慄していた。

「これでは対抗する以前の問題だ」

艦隊司令官がそう評し、その評価もあながち間違っていなかった。
クレーターを量産する扶桑型戦艦やドイッチュランド型装甲艦、爆撃後地上掃射でひき肉を作る
艦載機、正確無比な砲撃の後に狭い路地内で的確に反津勢力を処理していく日独特殊部隊など
未だWW1のような総力戦を経験したことがない皇国を含めた列強各国の度肝を抜いていた。
あわよくば南下を始めようとしていたヴェラヤノーチ帝国でも同様だった。

「では海軍は日本帝国に勝てぬというのだな?」
「は、畏れながら帝国の艦隊すべて揃えても勝てるかどうかと・・・」

海軍大臣の答えにキリル三世は幼さの残る顔を歪めた。

「陸軍も同様に。テロリストの制圧だけでもあの火力、如何な精強な陛下の軍でも大損害は覚悟せねばなりませぬ」
「だが、このままでは南はすべて向こうの世界の列強共に取られてしまうぞ」
「幸い、今回の件は津州皇国が関わっているとの由。噂として皇国への不信を煽りゲートに釘付けにすれば
大陸への進出は諦めましょう」

かくして帝国などの列強は皇国へのネガティブキャンペーンを持続する。

そして皇国では政府首脳が頭を悩ませていた。

「今回の件で日独という対立していた軍事大国が手を携えてしまった」
「加えて、日本はともかくドイツなどの白人種至上主義、下手をすれば我々は汐見人という白人を迫害したというだけで
滅ぼしに来るかもしれぬ」
「この際汐見人だけ待遇改善をして、追那人に絞るというのも・・・・」
「駄目だ!それこそ日本の不況を買いかねない。彼の国の書物には猫耳など取り扱った物が人気を集めているらしい。
迫害を強めて見ろ、また「遺憾の意」となりかねん」
「どうしたものか・・・・・」

外交もそうだが軍でも色々と問題は起こっていた。

「戦車の運用は絶望的か・・・」
「橋も鉄道も日本の戦車の運用は無理だ。それにあちらでは旧式の九二式軽戦車すらこっちじゃ生産できない」
「あれだけでも禮國の戦車と同等以上なのだがなあ」
「水軍も駄目らしい。艦艇を購入しても機関から違うし、整備用のドックも新たに建造しないと」
「噂のG動力があれば・・・」
「いや、あれがあっても兵器の性能と物量差では無理だろう。下手すればG動力目当てに攻めてきたかもしれん」

皇国を中心にした波紋は広がれども消える気配は未だなかった。

余談

津州皇国駐在日本大使+武官らは今この瞬間を(萌えの)神様に感謝していた。

「ここはこうやってね」
「は、はい。ありがとうございます、ご主人様」

メイド服を着た追那人少女にMMJ獣耳派の面々は心の内で徹底的に萌えていた。
この後獣耳の同人誌が売れ始めると大使館員の職を巡る抗争が日本で多発することになる。

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最終更新:2012年10月17日 21:36