69 :ヒナヒナ:2012/11/01(木) 23:14:11
○屋上の狐様
いやあ、眺めがいいねぇ
おや、驚かせてしまったかい。それは悪いことをした
今日は気持ちいいくらいに空が晴れているからね。私も出てきてみたんだ
ああ、タバコを吸いに? 休憩中くらい空が見たいというのは分かるよ
特に君らはこの……ビルヂングと言うのだったかな? その中に缶詰だからね
私も地面を離れるのは嫌だったのだが、この屋上に引っ越してみれば風景は中々だ
住めば都というものかね
まだ時間はあるのかな? そうかね、結構!
ようやっと戦が終わったからね。私も人が戻ってきて嬉しいよ
今年はお祭りも賑やかになりそうだねぇ
やはり、戦中は男手も少ないしあまり派手にはできないからね
うん? そりゃあ私らは君よりも年を食っているし
だからと言うわけではないが、君らとは見える物がちぃとばかり違うからね
でも最近は外国から変わったやつらもやってきているらしいし
わし等も変わらなくちゃならんかもしれないねぇ
もっとも、ここは御所も近いからあまり変なやつらは来られないのだけど
この国も変わったね。
ん? 何がって、そうさね
人間には偶に“神懸り”とか“狐憑き”何て呼ばれる者がいる
まあ、善いものを神懸り、悪いものを狐憑きといっているだけで本質は同じだね
私が宮に上がったころだったかな、この神懸りが突然に増えた
……いやいや、本当に神様が憑いている訳ではないよ
言葉の綾だよ。理を超えた何かを君らが“神”と表現しているだけ
私らも習ってそういいあらわしておる
まあ、彼らの何人かは100年後には本当に神様になっているだろうがね
彼らは、この国を変えた。今も変えている
外との戦に勝てる国ではなかったのだけれど……
これからこの国がどうなるのか、我々にも分からない
彼らは善きにせよ悪きにせよ力があるからね
まあ、突然現れたものが突然消えるなんてこともままあるもの
諸行無常とは昔の人はよい言葉を残したものだ
ところで君、そろそろ休んだほうが良くないかね?
君のご両親も心配しているようだよ
え? 両親は死んだ? 知っているよ
君ね、いくら働け稼げの時代と言っても、年に一回くらいちゃんと墓参りしなさい
彼らも迷ってしまうし、君を心配してこっちまで来てしまうよ
ちょっとこっちに来なさい
そのまま、目を瞑って
……
ん? 今のかね? ただの御まじないの様なものだよ
気にしないことだね。ちょっと悪いのを払っただけだから
ん? 私かい?
まあ、どうということは無いただの爺だよ
君は偶にお宮の周りを掃除してくれるから
ちょっと、お礼代わりに助言をと思ってね
今度の休みには田舎に帰るんだよ
○あとがき
あまり憂鬱分がない……
お社があったら取り合えず気になるのが日本人ですが、
憂鬱日本では急速な欧米化がない分、みんなそれなりに信じている気がします。
というか、現人神とか神波とか軍神とか、むしろ信仰が強まりそうな感じががが
最終更新:2012年11月18日 07:40