770 :ぽち:2012/11/13(火) 02:20:17
そのまどろみに祈りあれ

四月六日
「はい沖縄での臨海学校も残すところあと三日ですぅ
 就寝時間ですのでお部屋に戻ってくださぁい
 明日は自由日なのでみなさん気をつけてくださいねぇ あら一夏さんなにか?」
「山田先生、お願いがあるのですが」
「こ、個人教授ですか二人っきりで布団部屋?あらあらいけないわ年齢はともかくいまのわたしとあなたは教師と生徒
 越えてはならない一線というものが」
「えーと、突然なにやら呟きながら布団を敷かれてもリアクションに困るのですが」
「あらあら冗談よ その件についてちゃんと話は聞いてますから」
「ほう山田先生よ、姉たるこの私を前にして一夏を布団に引きずり込もうとはなかなかのチャレンジャー その勇気に無限の敬意を込めてちょっと稽古をつけてやろう」

翌日、どことも知れぬ空域を一騎のISが飛行していた。
「待ってよぉ一夏」
「ふう、やっと追いつきましたわ」
「どうした五人揃って」
「アンタの護衛よ アンタ超ウルトラスーパーVIPだって事ちったあ自覚なさい」
「まあ・・・・・・・護衛対象よりガードのほうが弱いというのもアレだがな」

「しかしそれにしても一夏のIS・・・・・スゴいよね」
「千冬姉によると先日突然現れた束さんが置いてった俺専用機らしい」
「私のところにも来たぞ 『いっくんてば昔剣道やってたからバリバリの近接戦闘専用機用意してたのに資料とか見たら向こうじゃチャンバラする機会全然なかったらしいじゃん ぷんぷん』とかいってたぞ」
「その結果がその機体なんですのね」
「ああ、馴染むぞこの『無式』」

『無式』は、まあようするに徹底した射撃砲撃殲滅型ISでありVF-25メサイアアーマーパック装着型とガンキャノンとヘビーアームズカスタムとバスター
あとちょっとガンヘッドを混ぜてアトールⅤ風味を加えたような機体と考えれば簡単にイメージできるだろう

「すごいゴテゴテ装備よね バランス悪くない?」
「まあかなり悪いが気にしないよ?むかしデザリアムとの戦闘で巡洋艦の対空砲直撃食らってな
 機体の左三分の一フッ飛ばされた状態で戦闘続けて帰還した経験もあるし、ガミラスとの戦いでは
 部品の質低下やそれ以外が理由で出力70%出せたら「おお、今日はエンジン機嫌いいな」と感動してしまう状態だった
 実戦ではバランス悪いのが当然だしそんなのを乗りこなしてこそ一人前のパイロットだよ
 そうですよねハンス先輩」

はっはっは、牛乳飲んで体操するのを忘れるなよ
一同には青空からそんな言葉を投げかけてくる謎のおっさんの笑顔が、なぜか見えた

771 :ぽち:2012/11/13(火) 02:22:20
ちなみに高速飛行形態を取ることも可能で、その形態時には着用者はいわゆる「ウルトラマン飛行ポーズ」をとる必要があり
着用者(一夏)には好評である「やっぱ男たるもの浪漫忘れちゃ駄目だよな」

「まあそれはともかく、なんでこんな場所に?わたしの誘いも断って」

「ここは・・・・・・特別な場所なんだ   九州坊の岬沖13海里・・・・・・・・」
「それは確か日本軍の戦艦ヤマトが沈んだ海域だな」
「知ってるのかラウラ」
「嫁の事を知るために向こうのことを調べた 必然的にヤマトのことも詳しくなったぞ」
「それは・・・・・・うれしいな」
ちょっと喜ぶ眼帯少女 ちょっと焦るそれ以外の一同

「そう、この下には偉大なる超ド級戦艦が沈んでいるんだ。
 実を言うと臨海学校がこの時期になったのも学園が、俺が今日この日ここに来れるよう配慮してくれた結果だよ
 ぶっちゃけ『向こう』に媚びる為でもあるけどなっ」
「今日この日、偉大なる戦艦は三千を超える勇士達とともに海底へと没し、200年後異星からの侵略者に立ち向かうため宇宙戦艦へと改造された。
 まだ『こっち』では幸いにもそのような事は起きてないけど」
ショルダーバックから取り出した花束を海へと投げ込む。
ラウラが無言で海面に敬礼を行う。
「ラウラ?」
「軍人として勇気ある、偉大な先人に敬意を示すのは当然だ」



「偉大なる大和よ 貴女が海底で錆付いているのは正直悲しいし残念だ
 『向こう』では全宇宙の正義の象徴として扱われ貴女を宿敵と呼んだ男すら貴女を『宇宙の良心』と呼んだくらいだ
 しかし貴女がボロボロに錆付いたまま海底で眠り続けているのはとても喜ばしいことだと思う
 願わくば、この世界において偉大なる貴女が目覚める事無く永遠に眠り続けんことを、願う」

そんな彼らの姿を見つめる、小さな魂があった
「やっぱり大和さんは故郷に胸を張って帰るべきだ
 誰かに力を貸してもらおう
 こないだ神さまになったっていうゆりえさまならきっと何とかしてくれるに違いないねっ」

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最終更新:2012年11月18日 09:31