733 :第三帝国:2012/11/19(月) 21:17:19

夢幻会の戦争(元ネタ:A君(17)の戦争)
接触~ホワイトハウスの報告


201×年 
アメリカ合衆国 ホワイトハウス

「大統領閣下、銀座に新たに現れた『門』に関する報告が纏まりました」

道化師のものよりも野菜と肉が詰まったハンバーガーをかじりつつ、補佐官が差し出した書類を受け取る。
そのまま食べながら書類を読んだので、食べカスが書類に零れるが気にせずに最低限の情報を頭に叩きこむと、補佐官に振り返った。

「・・・前回と違い友好的な接触を向こうから図ってきたのはたしかかね、しかも使用言語がニホン語だと?」

「当初、ニホン側は教訓により再度の接触に備えて銀座に常駐していた自衛隊が対応しましたが、
 あきらかにファンタジーの住民が彼らと同じ言語で呼びかけたことを皮切りに、2年前の世界とは違う事が判明。
 しばらく、接触してきた人物から情報を収集していた所で向こう側から政府代表と名乗る人物の出現とともに、日本政府は現在彼と情報交換をしています」

ふむ、と大統領は頷く。

「では、向こうの世界の技術水準がこのレポートによると、
 最低19世紀後半、部分的に21世紀レベルであると書いてあるがそれは確かかね?」

「これについては、
 向こう側から提示された資料に書いてあったことから推測したものであります。
 蒸気機関車、飛行船、を筆頭に我々がかつて開発した技術を向こうは有しています。
 さらに向こうが言う所の精霊通信システムは我々のインフラネットと同規模の水準と技術を保有しており。
 もし軍事的オプションを選択するならば、今回銀座に現れた世界は前回と違い、文明的に近代に突入していますので、『門』という環境を考慮するとそれなりに被害は応じるかと」

合衆国による『門』の世界制圧は日本との関係を考慮すると日本側から提示しない限り難しいだろう。
無論仮に派兵するとして、合衆国が世界に誇る陸軍の最終的勝利は疑いの余地はない.

が、相手が近代的な国家だとすると。
ナショナリズムに火が付き、武装した民衆というイランやベトナムによる泥沼の展開が訪れるだろう。

「軍事的展開は論外だ、前の大統領のせいで我々はニホンにあまり強く干渉できない。
 しかし、歴代の魔王がニホンだと?さらに、魔族と仲がいい人間は永遠の寿命を得るだと?まったくもって出鱈目だ」

魔族と仲がいい人間は不老不死になる。
その謎効果は政府代表と名乗る金髪の少女に、外見と年齢が釣り合っていない前例を知っている日本側が恐る恐る尋ねた所。
魔王国宰相と称する少女が「我々もその原因が判明していないが」と苦笑しつつ答えた。

「だが、だからこそ我々としては日本だけに『門』の利権を独占させるわけにはいかない

734 :第三帝国:2012/11/19(月) 21:17:51

前回のように再び『門』は閉じてしまうかもしれないが、未知なる技術、未知なる市場。
常にフロンティアを目指してきた開拓民の末裔として、これに突き動かされない者はいない。

軍事的に制圧することができないのが癪であるが、
非常に都合のいいことに現在の首相は話の分らない腐れコミー崩れでなく親米保守派だ。
ならば、日本の同盟国という名分を利用すれば魔王国と交渉のテーブルに着くことができるかもしれない。

「既に外務省のアメリカンスクールに、親米的なマスメディア、
 知識人を通じて同盟国合衆国とともに合同交渉をするようにキャンペーンを張っています
 前回のように強硬な手段は一切用いておりません、あくまでニホン側の世論がそうなるように仕向けています」

ゲートを機に日本におけるマスメディアの状況は大きく変わった。
だが、未だに目先の金に釣られる者や、思想信条を振りまく者というのは存在するのでこれを利用する。
そして、大陸や半島の影響力こそ大きく減退したが、合衆国の影響力は未だ密かに存在している。

「ニホンからの要請にトモダチとして合衆国が応答する。上出来だ」

前回と比べれば実にクールな方法だ。
例え近年その諜報能力が向上している日本がこの仕組みを知っていても、世論がそういう空気にしてしまえばこちらの勝ちだ。

なにせ、例のツナミに自壊しつつあるチャイナの暴走で、
例の奇妙な名称をしている軍隊だけでなく、我ら合衆国の心象は良いものである。

ゆえに、この企みは確実に成功するだろう。

「弁護士時代、こうした厄介事は大抵じっくり時間を掛けて解決したものだ。
 それとニホンでは果報は寝て待て、という諺があるらしい。ならば我々もじっくり待とうじゃないか」

「わかりました」と補佐官が言い終わると、
大統領は残りのハンバーガーを口に放り込むと、次の書類について質問した。


数日後、再度『門』の独占に反対する国際的世論。
さらに、同盟国にも分け前を与えるべきとする日本側の世論が合わさり、日米合同の使節団結成が発表される。

これについて、日本が何をしてもわめく大陸は、
米帝が本格的に関わることに空気を読んで過激な物言いをひそめ。
「広く国際的なものでないのが極めて遺憾である」と控えめにコメントし。

某半島は空気を読まず
「日米の大国主義的行動は控えるべきであり、我々にも参加する義務がある」とコメントし。

合衆国の同盟国にありながら背中から刺すような真似をした挙句。
分を弁えない物言いに日米の外交担当者たちは、「反米と反日は半島の元気の元」と笑い合った。

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最終更新:2013年01月05日 21:07