989 :New ◆QTlJyklQpI:2012/12/04(火) 02:07:42
ネタSS ~新総統、シュペーア誕生~
19XX年 ドイツ第三帝国 ベルリン
「ハイル、シュペーア!」
「ハイル、シュペーア!」
「・・・・・何で・・・・こんなことに・・・・」
新たに新調されたスーツに身を固め、ごつい親衛隊の厳重な警備の下新たに総統となったアルベルト・シュペーア
は完全にorz状態になっていた。その横では宣伝省が慌ただしくお披露目の準備を急かし、親衛隊を牛耳る獣殿が
シュペーアの様子を見て某麻婆神父のような愉悦な笑みを浮かべていたがそんなことは構いなしにシュペーアは
こんな事態を招いた故ヒトラー総統と側近らを本気で呪っていた。
前年にドイツ第三帝国の指導者、アドルフ・ヒトラーが死去。あっけなく、しかも寝室を覗いたら眠ったように死んでいたことに
各国は呆気に取られ、ドイツでは大混乱の事態となった。何しろ後継者を近々決めるという時期に逝ってしまい、
総統死去を知るや側近から某紳士の暗躍や地下に潜った不満分子まで蠢き始めドイツ内戦かと囁かれ始めていた。
そんな中、総統の座を狙っていたゲーリングやヒムラーなどが相次いで爆弾テロにより死亡、
ハイドリヒなど親衛隊や国防軍の活躍によって蠢いていた組織のいぶり出しと掃除は済んだものの総統の座は
有力と目されたゲッペルス宣伝相が前総統死去を機に引退してしまいハイドリヒなどは軍から危険視され
完全に宙に浮いていた。そんな中「軍需相でいいのでは?」という声が上がったことでシュペーアの運命は決まった。
前総統との親しさもあり、何より大戦時の火の車であったドイツの生産を支え、戦後も躍進どころか爆走状態の日本の
成長に少ない予算分配を取り仕切りつつ、追随したという確固たる成果。何より当分は日本との衝突は小規模で
寧ろ国内開発を推し進めたい思惑も絡み、前総統の遺書や生前の証言を偽造するなどしシュペーアは新総統に
祭り上げられてしまった。
「総統、そろそろ・・・・」
「ああ・・・・・・・」
総統就任祝いとして送られてきた日本製高級胃薬を栄養ドリンクで飲みつつシュペーアは就任演説のため
会場へと歩を進めていく。
19XX年、日独冷戦は未だ終わらず、対立は次世代へと引き継がれていく。
最終更新:2013年01月05日 21:26