2 :ぽち:2012/12/04(火) 06:17:48
憂鬱ギアス  第三話

邂逅


彼女は不機嫌だった
「彼」に接触しようとこの国に入国したのはいいが、地面を踏みしめたか否かというタイミングで拉致されてしまったのだ。
いまさら純潔なんぞ気にするほど初心なネンネではないが弄ばれるのを楽しむ趣味はない
基本自由というか勝手気ままを本性とする彼女は、他人の意思で一箇所に足止めされているという事実が気に入らないのだ。
いくら時折差し入れされるピザが美味であってもこれはちょっと・・・・・ほんのちょっと気に入らない
それにしても日本人という生き物の食い物に関する執着は偏執狂と呼ばれるに値するレベルだ
まあピザが美味いのはとても良い事なのだが

ピザが美味い、この世にこれ以外気にすることなどありはしないのだかr・・・・・・違う違う!
おのれ日本人め美味なピザでこの私を惑わすとはなんと邪悪な!
この悪行はこの美味なピザをもう数枚食わせる程度では償いきれんぞ!
もう数十枚食わせる事では償えるかもしれんが

            • なんか思考がおかしな方向に向かっているな
違う違う、わたしが考えねばならないのは美味なピザの事だけで・・・・・・・


などと迷走する彼女の前に一人の、黒髪の少年がドアを開けて姿を現した
その姿を見てようやく彼女は自分を取り戻す
そうだ自分は悪くない、この美味なピザが悪いのだ

「ようやく会えたな まさかお前のほうから来てくれるとは思わなかったぞ、ルr「違うな!間違っているぞ魔女よ!」 はあ?」
「今貴様が言おうとした事、今貴様が考えている事の全てを俺は否定させてもらうぞ!」

3 :ぽち:2012/12/04(火) 06:21:03
「まず今の俺はルルーシュ・ヴィ・ブリタニアではない。
 日本に帰化してルルーシュ・小鳥遊と名乗っている」
「そ・・・・・その苗字はなぜかわからないが猛烈に拙いと感じるぞ 何故か判らないがミジンコが良いとか言い出しそうだ」
「何故か判らないなら放って置いてもらおう ナナリーにも好評だ。
 しかし「小鳥が遊ぶ」と書いて「鷹がいない」と読むとは日本語とは奥が深い。
 そして次の否定だ
 お前は俺が何も知らないと思っているだろうがそれなりには知っている
 例えばとある奴隷女が『優しいシスター』に『愛される能力』を与えられた事を」
「!」
「その『ギアス』がどのような効力を持っていたか、そして『能力』が十分『育った』所で『優しいシスター』が
 奴隷女に何をしたのかを俺は知っている」
「貴様・・・・・・・・」
「そしてあのロールケーキ頭が何をしようとしているのかも知っているぞ」
「お前は・・・・・一体・・・・・・」
「そして最後の否定だ
 俺は・・・・・・・もうすでに童○ではない!」
「なんだってぇ!!!!!!」
彼女は自分の立っている床が崩れていくのを感じていた。
それどころか自分がまっすぐ立っているのか上か下か、横か斜めか曲がっているのかいないのか、それすら判らなくなってきていた。
自分の足元にある自分の影  この世に生まれ出てもっとも身近だった存在がぐるぐると回り始め確固とした存在でなくなっていく。
なり響くピアノの音がカスケードのごとく高音律から低音律へと流れ落ちていく
何時しか己が跪き床に手を着いていることすら気がついていなかった。

「いや、オチに使っておいてなんだがそこまで衝撃受けるようなことか?」
「馬鹿な・・・・・・・・お前の○貞はこの私が食うのだと、産着に包まれてマリアンヌに抱かれるお前を見たときに決めたというのに・・・・・・・」
「帰ってこいよおーい」



「落ち着いたか」
「ああ で、尋ねよう   お前は何を知っている?どうやって知った?」

4 :ぽち:2012/12/04(火) 06:22:49
「答えよう、『コード』を持つ永遠の魔女よ まあただ単に『教えてもらった』だけだがな ちなみにマオはすでに処分したそうだ
 あいつのギアス能力は秘密を知られてしまう事が極めて危険な彼らにとって致命傷と成りかねんそうだ」
「・・・・・・そうか で、『教えてくれた』のは誰だ?」
「『夢幻会』 お前も聞いたことがあるだろう この『転移日本』の頂点に立つ存在」
「賢人政治なる珍妙な政治形態の源たる連中と聞くが」
「・・・・・・彼らはこの『転移日本』にも他の世界から転移してきた存在だというのだ
 そして彼らの世界では俺がお前の契約者、共犯者としてブリタニアに戦いを挑み、どのような苦難を経て
 どのような選択の果てに愚かで、あまりにも愚かで、そして惨めで無様な勝利を得たのかが物語として存在していたそうだ」
「何を言うかと思えばそんな戯言を」
「『アーカーシャの剣』、『Cの世界』『嘘のない世界』他に何を言えば信じる?」
「お前・・・・・・・」
「『雪がどうして白いか知っているか?...自分がどんな色だったか忘れてしまったからさ』 お前のキメ台詞だそうだな」
「・・・・・・・・・」
「俺は彼らが『上位次元観測体』とでもいうべき存在と仮定している
 彼らの目的は知らんが(はっきり言って萌えだのなんだのは擬態だろうしなぁ)少なくとも人の精神と魂を、そして誇りを侮辱するものではない
 そしてこの世界への『転移』は彼らにとっても意図しないものであることは間違いない」
「そいつらについては判った 理解したとはいえんが そしてお前は何を望む?何がしたい?」
「『アーカーシャ計画』の否定だ 嘘が正しいとは言わないが方便というものもあるし見栄ってものもある ただただ嘘を否定するのは偏狭すぎて人間そのものを否定するに等しいだろう」
「判っているのか?それはマリアンヌを殺すというのに等しいのだぞ」
「判っている だが『大事なものは遠ざける』というのは根本的にやはりおかしいし
 ・・・・・・・・・・母上はもう死んだ 死んだんだ 母上は死んだから死んだのだ
 死者を蘇らせるなど、滅んだ国を取り戻そうとするに等しい行いだ
 ……そうだ。やりなおしなんか、できない。
 死者は蘇らない。起きた事は戻せない。そんなおかしな望みなんて、持てない
 だから魔女よ 手を貸せ
 契約なぞしない ギアスなぞいらない
 ただ・・・・・・・・ただあのふたりを否定するために・・・・・・・・手を貸せ
 俺は・・・・・・・・・・・・・・・・・・その行いが間違っているとしても・・・・・・愛してくれた父上と母上を・・・・・・・・・・殺す」

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最終更新:2013年01月06日 20:56