362 :父への思い:2013/01/10(木) 19:18:16
続いて短いネタですが『枢木総理の悩み』の裏話的なお話でスザクの一人語りです
363 :父への思い:2013/01/10(木) 19:19:19
「父さんただいま」
「おお、お帰りずいぶん遅かったな」
「少し生徒会の手伝いが長引いて」
「それは残念だったな。せっかくナナリー殿下がお越しになられていたというのに」
「え、ナナリー来てたの!?」
「ああ、少しの間待っておられたがな・・・私とお茶を飲みながら・・・」
「へえ、そうなんだ」
ある日、生徒会の手伝いで遅くなった僕が帰宅すると、出迎えてくれた父さんがナナリーが来ていたことを上機嫌に話していた。
最近になって気付いたんだけど、父さんはナナリーが来てるときとても楽しそうにしてるんだ。
まあナナリーは優しくて穏やかな空気を持ってるから、一緒に居て楽しいのは当たり前なんだけどね。
後、父さんの知り合いである嶋田さんと、ナナリーと同じブリタニアの皇女様であるユーフェミア殿下がたまに一緒に来られたとき、よく口にする言葉がある。
「愛に年の差は関係ありませんよ」
それは嶋田さんとユーフェミア殿下に向けられた言葉。
二人は婚約者っていう間柄で年は離れてるけど、いつも手を繋いだり見つめ合ってたり、キスしてるところも見たことがあったから、心から愛し合ってる事がよくわかるんだ。
そんな二人を見て僕も愛に年の差なんて関係ないし、身分の差も関係ないんだって勇気付けられていた。
でも時々見るんだ。愛に年は関係ないって自分に言い聞かせるように呟いてる父さんの姿を。
ひょっとしたら父さんは嶋田さんとユーフェミア殿下みたいに年の離れた女性に恋をしているのかも知れない。
もしそうなら僕は応援してあげたい。
母さんが亡くなって結構経つんだから、父さんも新しい恋をしてもいいと思うんだ。
だから思い切って聞いてみたことがある。
「父さん、ひょっとして誰か好きな人でも居るの?」
でもそれに一瞬驚いたような顔をするだけでいつも「いない」って返されるんだ。
それよりナナリー殿下の騎士を目指すお前は余計な事を考えずに自分のことだけを考えろって逆に励まされてしまう。
父さんは政治家、それも総理大臣を務めていていつも国のことを第一に考える凄い人だ。
だけどそれだけ精神的に疲れるって事だから、父さんを支えてくれる人が居たらなっていつも考えてる。
僕の事を一番に考えてくれる父さん。
僕とナナリーを応援してくれる父さん。
僕は父さんが大好きだ。
いつか父さんみたいな立派な男になってナナリーの騎士、そして婿に。
それが僕の目標であり到達点。
でも、そのときは父さんの番だと思う。
ずっと僕らを見守ってくれた父さんには幸せになってもらいたいから。
だからその日を目指して頑張ろう。
僕の為にも。
大好きな父さんの為にも・・・。
「シゲタロウ、わたくしスザクに相談をされたのですが」
「何を?」
「お父様の恋を実らせてあげたいと」
「ユフィ・・・君は本当に優しいな」
(だけどその優しさが枢木さんとスザク君の親子仲を引き裂く可能性を孕んでるんだ・・・だから)
「でもね、これは枢木さん自身が決めなきゃダメなんだ。俺やユフィが口出ししていいことじゃない」
「シゲタロウ・・・」
「大丈夫。きっとね・・・」
364 :休日:2013/01/10(木) 19:28:50
終わり
最終更新:2013年01月11日 20:01