767 :大西洋 ◆BMYad75/TA:2013/01/11(金) 22:24:18
大西洋ネタ。
1940年 9月3日 北海道 帯広市街
ドイツ軍の一部が帯広市街に突入し、売買川以南の市街地は占領される。
憂鬱世界の北海道地域は史実よりもインフラが発展し皮肉にもそれがドイツ軍の侵攻を加速させる要因となった。
しかしドイツ軍の進撃速度は目に見えて低下していた。
史実よりも早い経済発展の恩恵により、建物の耐久性は大幅に向上しておりドイツ軍の砲火力から日本軍を守ることになる。
またドイツ軍の砲火力が極端に低下していたことも付け加えなければならない。
ドイツ軍火砲の機動作戦への適応度は低く、多くの火砲は馬匹牽引(馬で引っ張る)を前提に設計されていたため、
車軸にサスペンションがなく牽引速度の制限が厳しかった。
また日本軍の火砲とドイツ軍の火砲の性能と電撃戦ドクトリンの特徴が進撃速度を低下させた。
まず第一に両軍の火砲の性能差を挙げてみると下記のようになる。
ドイツ軍の主力火砲
10.5cm leFH 18 軽榴弾砲 砲兵連隊(師団砲兵)の主力 1個大隊12門×3 計36門
射程距離:10,675m 重量:1,985kg
15cm sFH 18 重榴弾砲 砲兵連隊(師団砲兵) 1個大隊12門
射程距離:13,000m 重量:5,530kg
15cm K 18 カノン砲 軍砲兵 軍団砲兵直轄の独立部隊運用
射程距離:24,500m 重量:12,460kg(砲撃時)/ 18,600kg(牽引時)
日本軍の主力火砲
91式105mm榴弾砲 軽榴弾砲 砲兵連隊(師団砲兵)の主力 1個大隊18門×3 計54門
射程距離:11,400m 重量:2,300kg(牽引車対応)
(史実日本軍同型10,800m 重量:1,500kg 馬匹牽引)
96式150mm榴弾砲 重榴弾砲 砲兵連隊(師団砲兵) 1個大隊18門
射程距離:16,000m 重量:6,300kg(牽引車対応)
(史実日本軍同型11,900m 重量:4,140kg 自動車牽引 軍司令部直轄で師団には配備されず)
95式150mmカノン砲 カノン砲 軍砲兵 軍団砲兵直轄の独立部隊運用
射程距離:24,000m 重量:13,700kg
98式140mmロケット砲 自走式16連装ロケット砲 軍砲兵 軍団砲兵直轄の独立部隊運用
射程距離:7,300m 車体重量4,300kg 車体は94式六輪自動貨車
768 :大西洋 ◆BMYad75/TA:2013/01/11(金) 22:27:07
以上のように火砲の性能は日本軍が勝り、対砲兵戦闘(カウンターバッテリー)においてドイツ軍砲兵は不利であった。
機動性の低いドイツ火砲の前線への集中に遅れ、射程に勝る日本軍砲兵に配置に着く前に一方的に砲撃受けたのである。
そして、本来であればそういった機動性の低い砲兵の代わりに、「空の砲兵」として前線を支えるのは急降下爆撃機「Ju-87 スツーカ」であったが、
そのスツーカが北海道の空で苦戦を重ねているのである。
9月になり北海道への航空戦力の集中が進み、日本軍機の特徴である長大な航続距離を生かした長時間の制空戦闘により
北海道の上空の支配権は日本軍が優勢であった。
そんななか「空の砲兵」として狩りだされるスツーカたちの損害は増すばかりで、効果的な航空支援は望めなかった。
その結果ドイツ軍は十勝川を天然の防壁とした日本軍の前線を突破することが出来ずに停滞する。
日英仏の流してきた血の効果がようやく現れてきたのだった。
だが前線の停滞と共にドイツ軍の戦力集中は進んでいくのだった。
帯広市の戦況を聞いた
夢幻会幹部は思わずつぶやいた。
「帯広でスターリングラードをやることになるのか……」 と。
最終更新:2013年01月13日 22:53