※この作品にはTS成分が含まれています。ご注意ください。
※この作品は妹ものハートフル(ボッコ)コメディです。
※この作品にホラー成分は全く含まれていません。

921 :Monolith兵:2013/01/15(火) 16:14:58
ネタSS「俺の妹が○○○なわけがない!」 その2


 あの悪夢の夜から京介は悪夢をよく見るようになった。原因は分かっている。憎からず思っていた妹の桐乃が”辻政信”の転生体だったことがわかったからである。
 だが、普段の桐乃は以前と何も変わってないように見えた。目つきも声色も口調も何もかもが桐乃だった。実は前世が辻政信だったというのは、自分が見た夢だったのではないだろうかと思ってしまうほどであった。
 そんなある日、桐乃は京介の部屋に来て話をしたいと言ってきた。京介は少し腰が引けたがいい機会だと思って頷いた。

「それで何のようなんだ?」

 京介の声は少しかすれていて、ぶっきらぼうであった。

「何のようだ、とはつれないですね。この間は嶋田さんが気絶してしまって余り話せなかったので、ここで深く話し合おうと思っているだけですよ。」

 目つきと声色は桐乃のものであったが、口調は辻政信であった。彼女(彼?)曰くあれはひどく疲れるのだそうだ。

「嶋田さんはこの世界が前世の未来だと解っていますよね?私も歴史を調べて理解したのですが、今の裏の事情、特に夢幻会関係を調べてみたのですがなかなか面白い事がわかったのでお話しようと思ったのですよ。」

「おいおい、それは危険じゃないのか?それに、夢幻会は表の政府機関と統合したはずだぞ。現在も残っているとは思えないが。」

 桐乃が切り出したことは彼らの前世に関係することであった。しかし、京介の言うとおり、夢幻会は事実上解体されたはずであった。政府機関にその名残を見ることはできるが、それはもはや秘密政治結社のそれではなかった。

「その通りです。ですが、夢幻会の代わりにある組織が台頭しているようですね。全く、我々が苦労してやってきたことをひっくり返す真似をする奴らがいるとは…。」

 桐乃の話は京介にとっても衝撃であった。前世の自分たちの苦労が水泡に帰したのであるから。だからといって今の自分に何かができるとは思わなかった。

922 :Monolith兵:2013/01/15(火) 16:15:47
「それで、その組織の名前は?」

「MMJです。まったく、いつから萌を広げる組織から政治結社になったのやら。」

「あんた等が原因じゃないか!」

 MMJの名前を聞いて京介は頭痛がしてきた。なんといっても、妹の前世”辻政信”はMMJの幹部だったのだから。

「なんでそうなるんだよ…。」

「どうやら私の後継者、量産型辻政信と言われているらしいですが、その者たちがMMJを牛耳っていつの間にか政治結社になってしまったようですね。全く、萌を理解しない人間がそれだけ増えたなど、嘆かわしいことです。」

「その量産型辻政信を作り出してはMMJに入れてたお前が全ての元凶だよ。」

 嶋田はあまりにもあまりな話にげんなりしていた。前世におけるMMJもあれだったが、現在は違う方向にあれだったのだ。

「で、MMJはなにか問題を起こしているのか?」

「私がやってきていたことですよ。国外で資金を調達し、国内の資本増強や開発に用いる。実際に政府のやっていることですよ。しかし、それをこの半世紀やっているのです。そりゃドイツやソビエトが倒れるわけですよ。いやー、○くん(元首相)はいい仕事をしてくれてましたね。」

「どう考えても世界経済の破壊者じゃないか!」

 どうやらMMJは凶悪性が増大していたらしい。そのせいで世界の半分をまとめる枢軸側の盟主を滅ぼしたというのだからなおタチが悪い。そのうち世界が滅ぶぞと思ってしまうのは当然のことであった。

「ですが、彼らはやりすぎです。ドイツがいなくなった今、日本は世界の一極です。そして前々世におけるアメリカのように横暴に振る舞い孤立し衰退するかもしれません。」

 桐乃の懸念は京介も思い浮かべたことであった。ただ、日本が衰退する前に世界が滅びそうだが。

「それを防ぐために嶋田さん、協力してくれませんか?」

「今の俺にできることなんてたかが知れてるぞ?」

 なんとかしたいと思っていても、力がなければ何もできないのだ。だが、桐乃はその力を手に入れる策があるという。

「私の友人に新垣あやせという少女がいます。彼女の父は衆議院議員で元大蔵官僚だそうです。不本意ですが量産型辻政信と言われていますね。彼女の父を通じてMMJの懐に飛び込み、内部から改革します。」

 友人の父の力を借りるという桐乃の話に京介はそんな簡単に行くものかと思った。それを読み取ったのか、桐乃は付け加えていった。

「もちろん、ただ頼みに行っただけでは意味がありません。だから、嶋田さん、あやせを落としてください。」

 京介は思わず吹き出してしまった。何ということを言うのか。桐乃は京介に自分の友人を彼女にしろと言っているのだ。人生経験は豊富でも女性経験はそれほどでもない京介には難しい話だ。

「私がフォローします。嶋田さん、これは日本の未来をかけた話なんですよ。それに、あやせは素晴らしい少女です。大和撫子を体現したような。そんな少女を手に入れてみたいとは思いませんか?」

「……解りましたよ。」

 あまりな言い方に京介はため息をついた。そして了承する。そして、自分は何で前世と続いてこんなに問題にばかり遭遇するのか呟く。

「ああ、それから。あやせは嶋田さんから見ると曾孫にあたります。いやー、転生してから精神的なものとは言え近親相姦をすすめるとは本当に人生は面白いですね。」

 京介は今夜もまた叫び声を上げた。


おわり

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最終更新:2013年01月16日 22:39