546 :ユーフェミア・リ・ブリタニア 未知との遭遇:2013/01/16(水) 21:39:11
もしゲンブがコーネリアに連絡してなかったら
もしコーネリアが鳩川の人となりを見抜けなかったら
もしユフィと鳩川雪夫が対談していたら
本編とは関係ないただのIFネタ
政党・人物は架空

547 :ユーフェミア・リ・ブリタニア 未知との遭遇:2013/01/16(水) 21:40:12



ユーフェミア・リ・ブリタニア 未知との遭遇






在日ブリタニア大使館内の応接室にて、長い桃色の髪の毛をポニーテールで纏めた、白いタイトスカートに鳥の羽を連想させるオレンジのフレアスカート姿の少女が緊張した面持ちで人を待っていた。
少女の名はユーフェミア・リ・ブリタニア。神聖ブリタニア帝国第三皇女その人である。
彼女は大日本帝国首相の枢木ゲンブ以外では初めてとなる日本の要人との対談に臨んでいるのだ。
本来なら姉のコーネリア大使の仕事なのだが、今回は先方が彼女を指名した事もあって今日の対談が実現した。

そして対談時刻きっかりにその男は入って来た。
天然なのか宛てているのか分からないパーマを掛けたようなもじゃもじゃ頭。
大きな目。まるで飛び出しそうになっている黒く大きな目はとても深くてそこが見えない。
一目見た瞬間、彼女は失礼だと思いつつも、年末に放送していたミステリー特集の宇宙人を思い出した。

「は、初めまして、神聖ブリタニア帝国第三皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアですっ、」

いけないと思い慌てて挨拶する彼女の男はそっと手を差し出しながら微笑んだ。

「そう堅くならないでくださいユーフェミア殿下。もっと気を楽にして。私共は志を同じくする友達ではありませんか」
「と、とも、だち?」

会ったばかりお互いのことを何も知らないというのに友達だと言ってくる鳩川。
彼女は多少の戸惑いを覚えつつも信頼の証なのだろうと良い方に考える。

「そうです。貴女は慈愛。私は友愛。多少の差はあっても同じような物です」

ユーフェミアはそのフレンドリーな態度に彼の手を握った。

「ああ失礼。自己紹介がまだでしたね。私は日本公民党幹事長を務めております、鳩川雪夫と申します。本日は私の対談願いをお受けくださり、真にありがとうございます」
「・・・・・・」

優しそう。第一印象はそんな感じだった。
少し変わったところはあるけど悪い人じゃない。
そう思った彼女は、続いて出た鳩川の一言にどう答えて良いか分からなくなってしまう。

「時にユーフェミア殿下。この日本は誰の物だと思われますか?」

日本が誰の物。
そう聞かれて出る答えなど普通に考えれば日本人の物としか。
彼女もそう思い答える。

「日本は日本の方の物だと思います」

が、彼、鳩川は、そのような普通が通じる男ではなかった。

548 :ユーフェミア・リ・ブリタニア 未知との遭遇:2013/01/16(水) 21:40:55



「否ッッッ!!」
「ひッ・・・!」

いきなり大声を出した鳩川に竦み上がってしまうユーフェミア。
何か怒らせるような事を言ってしまったのかと謝ろうとする彼女を手で制した鳩川は同じ調子で叫んだ。

「日本は日本人だけの物ではありませんッッ!! ブリタニアの皇女ッ、それも私と同じ道を歩む貴女がそんな事でどうするのですかッッッ!!」
「ご、ごめんなさいッッ!!」

いきなりの説教である。
如何に同盟国とは言っても相手は皇族。
不敬罪、外交問題などにもなりかねないのだ。
だが彼はお構いなしに捲したてる。

「ユーフェミア殿下は私の友達なのですよッ!! 嘆かわしい、全く持って嘆かわしいッ! それで慈愛の皇女などとはッ・・・いいでしょう、私がお教えしましょう」
「な、なにをですか?」
「この世界が誰の物か? 友愛とはどのような物かをです」

すっかり鳩川に主導権を持って行かれたユーフェミアは若干の怯えを見せながら彼に伺う。

「どのような、物なのでしょうか・・・?」
「宜しい。まず日本ですが、日本は高麗の物です」
「ええッ!?」

そんな話は聞いたこともない。
姉にも婚約者のシゲタロウにも。
それ以前に歴史や社会の勉強にも日本が高麗の物などとは書いていないのだから。

「清の物でもあります」
「し、清の物??」
「そして中華、EU、ブリタニア、東南アジアの方々の物でもあります」
「え? えええ???」

益々意味不明な事を言いだした彼に、ユーフェミアは次第に頭の中がぐちゃぐちゃになってきた。
そんな彼女に追い打ちを掛ける鳩川は日本が抱える領土問題はそれ自体が間違っているとも言い始めるではないか。

「日本人だけの物ではない樺太は清の物でもある。つまり共同所有こそが正しい道なのです」
「・・・」
「これは貴国ブリタニアにも当てはまりますよ」
「ぶ、ブリタニアにも、ですか・・・?」
「そうです。今申し上げたように日本は日本人だけの物ではない。ではブリタニアもブリタニア人だけの物ではない。地球市民みんなの物なのです」
「ち、ちきゅうしみん???」
「そのような初歩すらご存じでない・・・・・・宜しい、ユーフェミア殿下と私はたったいま親友となったのですからお教えしましょう・・・友愛・・・その心を・・・」

いつの間にか友達と言っていたのが親友に変わっている。
一体自分とこの人はいつ親友になってというのだろうか?

「いいですか、友愛とは――」

ユーフェミアは耐え続けた。
鳩川の言う理解不能な言葉の羅列に。
25%削減、友愛の海、次々と投げかけられる質問に次第に涙が浮かんできた。

(怖い・・・この人・・・訳が分からない・・・)

そして最後に

「トラストミー」

その言葉を聞いたとき、ユーフェミアは気分が悪くなったのでこれで終わりにしてくださいと涙声で呟いた・・・。

549 :ユーフェミア・リ・ブリタニア 未知との遭遇:2013/01/16(水) 21:42:04




翌日、枢木から『手違いでとんでもないことをやらかした。下手をすると刃傷沙汰になるかもしれない』という悲痛な連絡を受けた嶋田は久々に国会を訪れていた。
懐かしいと思いながら赤絨毯を踏んでいた彼は意外な人物に声をかけられたのだ。

「お久しぶりです。お元気ですか嶋田元総理」
「え、ええ元気ですよ」

パーマを掛けたようなもじゃもじゃ頭。
飛び出しそうになっている黒く大きな目。
かつての政敵、日本公民党幹事長鳩川雪夫だ。
いつも変なことばかり口にして周囲を騒がす迷惑なやつで、総理なんかやらせた日には世界大戦を起こすと言われている超危険人物である。

「嶋田元総理。現役時代は色々ありましたが、これからは友達として仲良くやっていきましょう」
「は、はあ」
(なんだこいつ、いきなり馴れ馴れしくなったな)
「嶋田元総理の奥様、ああ、もうすぐ奥様になられるんでしたね」
「ユフィがなにか?」
「そうそうユーフェミア殿下。彼女と私は親友になったんです! これからは私の妻と嶋田さん夫妻。友達としてやっていきましょう」
(な、なんでユフィとこいつが親友なんだ??!)
「そうだ! せっかく友達になったのですから私と妻、嶋田さんとユーフェミア殿下の四人で今度食事にでも行きましょう!!」

『それがいい、それがいい、』と意気揚々に立ち去る鳩川に嫌な予感がした嶋田は、間もなくその理由を知ることになる・・・。

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最終更新:2013年01月16日 22:50