773 :よからぬ妄想:2013/01/25(金) 20:35:23

提督たちの憂鬱キャラがギアス並行世界に転生
性格改変注意
帝都の休日と楽隠居?と円卓の少女共通話

774 :よからぬ妄想:2013/01/25(金) 20:36:26


よからぬ妄想


大清連邦
四大国が顔を揃えた東アジア六カ国協議の結果、遂に独立の承認を得、この世界の新しい独立国家としてスタートした国。
その北部地域にある大清連邦軍の演習場に、中華連邦から領土を掠め取ってこの国を建国した簒奪者の一人である大宦官高亥の姿があった。
普段は清国の首都となった哈爾浜にある宮廷で策謀を巡らせている高亥が何故此処に居るのか?
それは清がブリタニアの汚職貴族から入手した第五世代KMFサザーランドの設計図を元にデッドコピーした清国製の量産型KMFジェンシーの性能を見る為だ。
尤も性能自体は既に知っているので、最終チェックと実戦テストの意味合いが強いのだが。
何故高亥が性能を知っているのかと言えば、ジェンシーは清独立の数年前より中華北東部に建設した秘密工場にて製造していたからだ。

宦官派は天子派との政争で十年近く前から国を割ることを画策していた。
独立、そして軍事力整備はその頃から計画していたため、独立の為の準備は全て整っていたと言える。
後は自分たちの動きに気付かれぬよう立ち回るだけ。その程度のことは保身に長けた彼らにとって赤子の手を捻るよりも容易かった。
逆に言えばその間は派手なことが出来なかった為、満足なテストを行えていないのもあったが数だけはそこそこ揃えることが出来ていた。

「曹(ツァオ)将軍、現在ジェンシーの数は如何ほどか?」

高亥は元中華連邦遼東軍管区、現在は大清連邦遼東軍管区の将軍――曹に訪ねる。

「はッ、現在我が大清連邦には間もなく完成する機も合わせまして約350機が配備されております」
「350か・・・」
「そしてこちらが諸元性能であります。尤も高亥様はご存じでありましょうが」


ジェンシー

全高
4.50m

重量
7.78t

推進機関

ランドスピナー

武装

スタントンファ×2
内蔵式対人機銃×1
ケイオス爆雷
大型中国刀
スラッシュハーケン×2
アサルトライフル
大型キャノン


「うむ、知っておる」

演習場を見る高亥。そこには見掛けがサザーランドにそっくりなジェンシーが1機。
細部に多少の違いと対ナイトメア戦闘用大型ランスが反り返った大きな中国刀に変わってはいたが、サザーランドのコピーである事は疑いない外見と装備だ。

「そしてあちらをご覧ください」

そこにはジェンシーとは別のKMFが相対するような形で待機していた。
高亥もよく知っている物だ。

775 :よからぬ妄想:2013/01/25(金) 20:37:13


「ガン・ルゥか。こうしてジェンシーと並べると何とも無骨であるの・・・」


ガン・ルゥ

全高

5.67m

重量

13.08t

武装

固定式マシンガン×2
固定式キャノン×2


サザーランドのコピーであるジェンシーは二足歩行ができ、緊急脱出装置を備えていて各種装備もしっかりした物であるのに対し、ガン・ルゥは二足での自立が出来ない為三本目の補助脚が付いていた。
その上脱出機構も備えていないので生存性はかなり低い。
ただそれと引き替えにして生産性は高く中華から袂を分かった清国の領土。

(独立を想定した長期にわたる懐柔策で東部3軍区――最東端の2区は全土。西側の1区は北部+内モンゴル東部・モンゴル州の東半分を分離させた領域)

その広い範囲を防衛する陸戦兵器の主力として大量配備されている。

「ジェンシーを見るとコレをKMF扱いしておったのが恥ずかしくなる」
「仕方有りませんよ。こんなものを開発して配備している日本とブリタニアが異常なのです」
「確かに」
「しかしこれからは違います。我が清もこうして自国製の純正KMF製造技術を手に入れたのですから日本やブリタニアに大きな顔はさせませんぞ」
「これ、将軍であるその方が侮ってはならぬぞ? あの二国だけは別格として考えよ。今は臥薪嘗胆のとき・・・相手を間違えるでない」
「ははッ。それでは始めよ!!」

曹将軍の合図で動き出すジェンシーとガン・ルゥ。
ガン・ルゥはすかさず固定式マシンガンを構え発砲するも、複雑且つ俊敏に動くジェンシーを捉える事が出来ない。

「ほほっ、早いの」
「ガン・ルゥがトロいのです」

ついこの間まで絶対の信頼を置いていたガン・ルゥを扱き下ろす曹将軍。
固定式キャノンもやはりジェンシーを捉えられず明後日の方向に飛んでいき着弾。
その隙を突いてスラッシュハーケンを打ち出しガン・ルゥの動きを止め、間合いを詰めたジェンシーは装備している大型中華刀を振り上げて頭部に叩きつける寸前で停止させた。
そのまま振り下ろしていればガン・ルゥは今頃真っ二つになっていた事だろう。

結果はジェンシーの圧勝。所詮KMF擬きのガン・ルゥと、第五世代KMF(実際は劣化コピーである為オリジナルよりは劣る)のジェンシーとでは勝負にならないのだ。

「勝負あり!」
「ほっほっ、ガン・ルゥがまるで玩具ではないか。アレに搭乗しておるはエースか?」
「いいえ、普通の訓練を受けし搭乗者にございます」
「普通か」

高亥は朱色の化粧を塗った死人のように青白い顔に醜悪な笑みを浮かべる。

「普通でアレならばもう少し待てば十二分に行けそうであるな」
「どこへでございますか?」

にやつく高亥に全く同じいやらしい笑みを浮かべながら訪ねる曹将軍。
二人ともその答えが分かっていて問答をしている。分かりきったことを聞くな。そんな雰囲気さえ漂わせていた高亥は「せんのない奴じゃな」と肩をすくめて呟いた。

「冒険じゃ」

776 :よからぬ妄想:2013/01/25(金) 20:37:54


冒険。旅。未知の何かを求めて繰り出す若者のように声が上擦っている。
元より高い声の高亥だが、今は聞いているだけで虫唾が走るほど高くなっていた。
尤も曹将軍にはそんな高亥の声が実に頼もしい物に聞こえていたようだが。

「ゲーム・・・の間違いでは?」

そう言って曹将軍が差し出したのはEU製のKMF――いや、KMF擬きの諸元データ。



パンツァー・フンメル

全高

4.10m

重量

8.79t

武装

キャノン砲×2
スラッシュハーケン×2


ガン・ルゥよりは高性能に見えるその機体だったが曹将軍は言った。

「砲撃力には目を見張る物がありますが、ジェンシーの機動力を生かして懐に入り込んでしまえば差ほど強敵とも言えません」

故にゲームみたいな物になるだろうと。

「ゲームか・・・確かに遊戯にも思えるほど簡単な冒険になりそうではあるな。それでいて北の地に眠るお宝が手に入る」
「誠、目出度い話でございます」

彼ら、正確には清が狙っているお宝というのは清国の北方境界線を跨いで眠っている物。
独立の下調べで何度も土地を調べる中偶然発見された金のなる木。国を富ませ自らの欲を満たし、民に不満を抱かせない元になるお宝だ。
当時は中華連邦の宦官でありながら国には一切報告していなかったそれは、シベリアの大地にまで根を張っている。

「しかし、こちらから冒険に出て行っては世界ギルドの反発を招くのでは?」

777 :よからぬ妄想:2013/01/25(金) 20:38:38


そこが問題だ。
装備が充実し始めた自分たち冒険者にとって、北の地にいるモンスターなど物の数ではない。
モンスターが装備や準備を整えてしまう前に、お宝を発見してしまう前に動かなければならないのだが、その行動はギルドの反発を招くのが必定。

「ほほほ、それはもう考えておる。要は清に大義名分があればよいのだ」

だがその対策はもう考えていた。
ギルドに文句を付けられない大義名分を用意する対策は。

「まあ、今暫く準備に時間を取られそうだがの?」
「はい、こればかりは日本やブリタニアのようには行きませぬ」

日本やブリタニアのようにしっかりした生産ラインがあれば別だが、工場の増設と技術者の確保は出来てもまだ本格稼働はしていない。

「いっそのこと今の装備で始めるか?」
「ゲームでございますか?」
「うむ。少々足らぬがザコモンスターが相手ならば350でも十分だと思うての。それに、あまりもたついておっては隣に居る大ボスが何か言ってくるやも知れん」
「日本が・・・」
「我が国との位置が近すぎるでな。地政学的な問題じゃ」

絶対に日本の介入を招いてはならない。
大義名分を用意するのはあの化け物を呼び寄せないようにする為でもある。
同時にそうなる前に動く必要があるのだ。
だが安心できる処もあった。それは日本が自国で完結しているという処。
技術の日本と力のブリタニア。
あの化け物どもは確かに恐るべき存在ではあるのだが、自国だけで完結できるポテンシャルを持っている。
今更清が眠っているお宝を求めて彼らとは関係ない他人の家に踏み込んだところで何も言うまい。
しかもそれが大義名分付きならば文句を言われる筋合いもないではないか。

「必要とあらば日本にいる友人達にも協力を求めたいところだが」
「それは危険かと・・・彼らとて彼らの都合で動いておりまする。信用するには値しないのでは?」
「信用はしておらぬよ、使えればと思うたまで。まあ宛てにせぬ方がよいか。日本を我が冒険のパーティーに引き入れる事が出来たらばより楽なゲームになると思うのだがな」
「確かに楽でございましょうなあ。その代わりに高麗がパーティーに入っておりますが・・・」
「高麗・・・?」

高麗共和国。
大清連邦の同盟国であり、清よりも前に中華連邦から独立(厄介払い)されていた本来兄貴分に当たる南の半島にある小国。
何を勘違いしているのか最近では「我が国は列強国となった。困ったことがあれば頼りなさい」などと触れ回っているおかしな国である。
清はこの国を属国、衛星国として扱っているのだが彼の国は全く気付いていない。
俯き加減になって口元を抑える高亥。そして言った。

「アレが本気で何かの役に立つと思うておるのかその方は?」

本気でそんなことを考えているとしたら大変だ。
そんな馬鹿は今すぐ遼東軍管区司令官を解任しなければならない。

「日本やブリタニアとの緩衝国として・・・または弾よけとして・・・」

だが一応まともだったようで高亥はそんな答えを返してきた彼にホッとした。

「弾よけか・・・使い物になるかの?」

溜息を付いた彼は話の締めに入る。
これ以上問答してても実りはない。
それよりも準備に取りかからなければならないのだから。

「兎も角、我が清は宝を手に入れねばならぬ」
「ははっ」

(全てはそれから・・・そして国力を増大させ、西方への勢力拡大を・・・・・・)

大宦官高亥。
彼はよからぬ妄想を膨らませながらこれからの事に考えを巡らせるのだった。

778 :よからぬ妄想:2013/01/25(金) 20:40:09


おまけ



この後の二人の会話。



ユフィルートの場合


「そういえば近く日本の嶋田元総理とブリタニアのユーフェミア皇女が結婚するらしいのう?」
「ええそのようですなぁ」

現在でも日本政財界に多大な影響を与えていると言われる嶋田繁太郎元総理と、ブリタニアの慈愛の皇女と謳われるほど愛の溢れる暖かい人物、
神聖ブリタニア帝国第三皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアが結婚するという話は清でも話題になっていた。
それもそうだろう。二人の結婚によって同盟国だった二つの超大国が親戚となってしまうのだから。
将来合併でもされて日本ブリタニア連合帝国などとやられた日には堪ったものではない。無論そんなことは有り得ないのだがそれでも結びつきがより深い物になるのは事実だ。

「いっそのこと我が国も誰かを嫁がせるか?」
「と、申されますと?」
「大宦官の中から一人、日本の政治家かブリタニアの皇族に嫁がせるのだ。そうすれば彼の国々を我らのゲームに引き込めるとは思わぬか?」
「・・・・・・」



モニカルートの場合


「我が国も遂にKMFを持てたわけだが、これに高名なナイトオブラウンズとやらが搭乗すれば如何ほどの物になろうか?」
「ナイトオブラウンズですか?」

神聖ブリタニア帝国皇帝シャルル・ジ・ブリタニア専属の騎士。
ブリタニア軍の頂点に立つ最強の騎士ナイトオブラウンズ。
彼らの戦場に敗北は無いと謳われるほどの豪傑。

「実現すれば戦場で華々しい活躍をしてくれる事でしょう」
「ほほほ、そうか、そうであろうな」
「尤も、敵として相まみえる可能性の方が高いと思われますが」
「ならぬ! 日本とブリタニア、この化け物どもと戦端を開かぬよう呉々も軽挙妄動は控えよ!(彼の二国と相まみえる条件が整えば、また話は変わるがの・・・)」
「はッ!」


後日、清からライセンス生産された高麗製のジェンシー(清の物より更にスペックダウンした物)が第三国経由の兵器密売組織摘発で日本の手に渡ったのだが。
試しに乗ってみてくださいと言われた嶋田さんちの居候、ナイトオブラウンズのモニカさんは「嫌な予感がするので乗りたくないです・・・」と断ったとか。

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最終更新:2013年02月10日 20:00