865 :やっかいなプライド:2013/01/27(日) 23:30:39

提督たちの憂鬱キャラがギアス平行世界に転生
帝都の休日・楽隠居?と円卓の少女共通話
最後だけモニカルート

866 :やっかいなプライド:2013/01/27(日) 23:31:13


E.U.(ユーロユニバース)
またの名をユーロピア共和国連合

この世界に存在する四つの巨大国家(内二つは隔絶している為超大国とも呼ばれている)列強国と称される国々の一つで、ヨーロッパとアフリカ、そしてシベリアの一部を除くロシア全域という広大な領土を持つ。
ただ国家と言ってもその名が示すようにE.U.を構成する各州は行政・軍事など全て個別の形態をとっている為、加盟国による連邦制の独立国家連合と言えなくもない。
そんな巨大国家を構成する州の一つ、フランス州のパリ。E.U.の首都でもあるこの大都市に存在する行政府にて一人の男が大きな溜息をついていた。

「・・・」

三人居るE.U.大統領の一人である彼は病人のように顔色を悪くして手に持った新聞を見ている。

『日本近海にて捕縛された兵器密売組織の船にハングル文字が書かれたKMF!!』

「なんということだ・・・」

彼は極東の一小国、高麗共和国が自国でKMFを開発配備している事実に愕然とした。
無論、彼とてE.U.の大統領。高麗が何処からかKMFを入手した話は知っていたし、少数だが配備されている事も知っている。
だが所詮は高麗。黄色い猿のKMFなど大した性能も持たない欠陥品であろうとそれほど気にしていなかったのだ。
それに経済状況が著しく悪化した現在外に目を向けている暇はなく、国内に抱える問題の対応で手一杯。
高麗如きの情報など必要ないと半ば無視していた。
それがどうだ。発見された高麗製のKMFが見掛けだけではある物の、ブリタニアの第五世代KMFサザーランドにそっくりではないか。
つまり中身はどうであれ純正なKMFということになる。
自国の主力KMFパンツァー・フンメルや未だ現役で使用しているガルドメアなどとは訳が違う。
一対一で戦えばこちらが負ける可能性の方が高いのだから。
そして問題は高麗がサザーランド?を保有していた事ではない。
その技術を何処から手に入れたのか?だ。

「本格的なKMFを実戦配備しているのは日本とブリタニアだけの筈だ・・・」

大日本帝国と神聖ブリタニア帝国。
常に世界の先、未知の領域を歩く怪物と、世界の誰よりも強い力を持つ怪物。
この二つの化け物国家が開発した兵器KMF。これの純粋な技術は世代が進んでいても未だ他国に供与されてはいない筈。
オセアニアと小競り合いを起こしている東南アジアの中小国が古い世代のKMFを売って欲しいと両国にせっついているらしいが。

「とすれば・・・まさか、清か?」

高麗の同盟国、大清連邦。
先頃独立した新興国家ではあるが、中華連邦の北東部ほぼ全域を取り込んで独立した為、列強とまではいわないが大国としては十分な国力と戦力を持っている。
何せE.U.との国境沿いだったのだから独立以前にかなりの戦力が配備されていた。
だが、この清も中華と同じくKMFに対抗して作られたガン・ルゥ(1500騎)しか保有していない。何処にも純正なKMFなど無い筈なのだ。
尤も、独立以前大っぴらに製造できなかった理由もあって、生産数と引き替えに情報をひた隠しにしていた清が350騎のサザーランドコピー、ジェンシーを保有している事実をE.U.側が知らないだけなのだが。

867 :やっかいなプライド:2013/01/27(日) 23:31:50



だが事ここに至っては高麗の技術獲得に関与しているのは清以外に考えられないだろう。
どうやって手に入れたのかは不明だが清はKMFの製造技術を保有していると考えられる。
それも高麗に供与出来るということは、何年も前から持っていた可能性が出てきた。
日本とブリタニアが与えた線はどう考えても有り得ないだろう。
両国は清に対して中立的態度を取ってはいるが、樺太領有発言の一件と大宦官の今までの行動から仮想敵国としているようだった。
だとすれば不正に流れた技術を手にしたという処か。

(もしそうなら大変な事になる)

六カ国協議にて清は領土的野心を見せていた。
E.U.領に北方境界線を食い込ませたり、樺太を自国領土と言い張っていたり。
それらの発言から察するに対抗が難しい兵器を手に入れればそれを使って火遊びを始めたとしても何ら不思議なことではない。

(KMF開発を急がねばならんな。あの玉無しどもが暴挙に出る前に・・・)

E.U.が開発中の純正KMFは未だ試作機の完成にすら至っていない。
パンツァー・フンメルでどれだけ対抗できるかはやってみなければ分からないだろう。
砲撃力と射程には十二分な自信があるため遠距離からの集中射撃を浴びせればいけるかも知れないが。

大統領は新聞を捲りながら思う。
これがもし日本やブリタニアなら「何か吠えているな。叩き潰すか」で済む処なのだが、長らくの不況で経済は低迷、国力も日増しに衰退している処、遠いシベリアで戦争となれば傷口に塩を塗るような物だ。
といって清の後塵を拝するなど列強としてのプライドが許さない。
何よりもあのような盗人国家が大きな顔をするなど見ているだけで腹が立つ。

では日本に協力を求めるか? 

それこそ無理な話だ。日本はブリタニアと手を組んでいる。
共に歩くパートナーとして貴族制、絶対君主制を敷くブリタニアを選んだ。
自由民主主義を頂くE.U.としては未だ前時代的な、中世そのままの体制のブリタニアとは手を取り合えない。
彼の国の日本と合わせた二国平和主義、多国間協調政策のお陰で表面上は友好関係を維持しているし、中立である事が出来ているが。
それでも「今時中世そのままとは」などと偏見の目で見る者が多いのが実情だ。
これは同じく思想の違う中華連邦相手にも言えた。
天子を頂点に頂き、天子の元に平等という、やはり民主主義とは違う思想。
E.U.が唯一手を取り合えたのは、帝国の名を冠しながらも自由が保障され為政者を選挙で選ぶ民主主義国家、大日本帝国だけだったのだ。
では何故民主国家日本が封建制の国であるブリタニアと手を取り合えたのか?
おそらくはその国民性だ。自分と仲良くできる相手ならば、自分たちに好意を抱いてくれる相手ならば例えどのような人種とでも友人になれる。
偏見を持たず、差別無く付き合っていけるという大らかな国民性あってこそだろう。
同時にそれを強く押し進めてきた前世代の政治家、特に総理大臣だった嶋田繁太郎氏の先見性には恐れ入る。
彼らが居てこそ日本は驚異的な発展を遂げ、世界第二位の超大国へと躍進したのだから。

(やはり何処かで侮っていたのか)

自分たち白人より下の黄色人種日本人。
E.U.は何処かでそんな考えを持っていたのかも知れない。
そんなこと露ほどにも気に掛けない実力主義のブリタニア人は日本人と手を組み『盟友』『親友』を越え『家族』とまで言い切っている。
そして彼らは共に繁栄を謳歌している。まるで世界を置き去りにするかのように。

(白人のプライド・・・か)

やっかいな物だと思う彼は手にした新聞をそっと閉じた。

868 :やっかいなプライド:2013/01/27(日) 23:32:52



その頃日本では・・・


「なッ、なッ、なッ、なんですかこれ~~~ッッ??!」

嶋田さんちの居候、ナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキーは偶然目にした週刊誌の見出しに怒りの声を上げていた。

「嶋田さんッ! これ私が答えた内容と違いますッ!!」
「いや、俺に言われても・・・その連中はよく言葉を抜いて記事にするから、モニカさんは引っ掛けられたんだよ」
「そんなぁ、私、真剣にコメントしたのに・・・」
「よしよし」

モニカの頭をなでこなでこして慰める嶋田。

「うう、こんな屈辱初めてですッ! よりにもよって不戦敗!? 私が、ナイトオブトゥエルブの私が戦わずして負けたなどとッ!!」
「まあまあ落ち着いて。あの連中相手に怒ってたらキリがないから」
「うう~~~!!」


心中穏やかでないモニカが手にする週刊誌には。


“スクープッ!!”
“あのッ! ブリタニア最強の騎士ッ! ナイトオブラウンズがッ! 高麗軍に不戦敗ッッ!!”
“世界最強の騎士はラウンズではなく高麗軍の兵士だったッッ!!”


インタビューに答えたのはナイトオブトゥエルブの称号を持つモニカ・クルシェフスキー氏。

『高麗軍の兵士はラウンズ以上の勇者です』

堂々と語るクルシェフスキー氏は負けたというにも拘わらず晴れやかな表情で勝者を称える騎士の中の騎士。
氏は語る。

『高麗軍の兵士は私ですら乗りこなせないKMFを乗りこなしていますから』



などという内容が書かれていた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年02月10日 20:08