384 :舞朝新聞:2013/02/09(土) 00:08:03

提督たちの憂鬱キャラがギアス並行世界に転生
やっかいなプライド(共通話3)の最後に出た捏造週刊誌の親玉
楽隠居?と円卓の少女シリーズ
架空の企業

385 :舞朝新聞:2013/02/09(土) 00:08:50


舞朝新聞。



朝に舞う新聞――という意味の名を持つ大日本帝国に存在するこの新聞社は、本業である新聞販売以外にも、幾つかの週刊誌・月刊誌の販売を手がけている大手新聞社の一つ。
日本以外にブリタニア・中華連邦・E.U.など列強諸国でも国際版が発行されている。
購読者数は数千万にも達するこの新聞社の会長兼社長、浅村豊数は先頃掛かってきた苦情の電話と、ネット上に書き込まれている非難の声に苦虫を噛み潰していた。

『売国奴浅村はクルシェフスキー氏に謝罪しろっ!』
『日本とブリタニアの友好関係に罅を入れようとしている舞朝を廃刊に追い込めっ!』
『記事のねつ造して楽しいですか舞朝さん』

「なんでこの儂が帝国主義者の小娘如きに謝罪せねばならんのだっ!!」

でっぷりと肥え太り、脂ぎった顔を真っ赤にして返事の来ないネットに向かって大声を上げ罵る浅村。
最近禿げ具合が進行した為バーコードにして誤魔化している頭にも、興奮のせいか汗が浮かんでいた。

「し、しかし会長、今回ばかりは相手が悪いですよ、モニカ・クルシェフスキーといえばブリタニアの名家中の名家、クルシェフスキー侯爵家の次期当主です」

クルシェフスキー侯爵家は域内人口数百万を数え、数多くの貴族や企業を傘下に持った、ブリタニア国内ではかなりの発言力を有する大貴族。
その領地も広大な物で一つの国と言っても過言ではなく、域内総生産は小国の国家予算に匹敵する規模だった。
万一今回のことでクルシェフスキー侯爵を怒らせるような事になれば、最悪、舞朝新聞はブリタニア市場から叩き出されてもおかしくない。
色々と不祥事も多く、明確に親清、親高麗的な発言をしている舞朝新聞は、ここ最近国内の契約者数が伸び悩んでいた。
そんな中でブリタニア市場を失うことになれば、莫大な赤字を出して倒産の危機もあり得るのだ。

「今更そんなこと言われんでもわかっとるっ! だが此処は日本で儂らは日本人、ブリタニアの施政権は及ばんし言論の自由が保障される我が国で何を書こうが自由だ!!
 あの記事を元に我が社を国内から追い出そうとするなら、それこそ叩きに叩きまくってやる! 『ブリタニアは非情な帝国主義国家』『日本は一刻も早くブリタニアと手を切ってアジアの友人達と手を結ぶべき』とな!」

浅村はネットで叩かれた上、ひっきりなしに掛かってくる抗議の電話で頭に血が上ってまともな判断が出来ていない。
そのような行為に及ぼうとすれば間違いなく公安が動く。最悪の場合、日本の影に存在する組織によって闇に葬られてしまうというのに。

「大体あの小娘本人が『今回は自分も週刊誌に付いて勉強不足だった』と言っとるじゃないか!」


“スクープッ!!”
“あのッ! ブリタニア最強の騎士ッ! ナイトオブラウンズがッ! 高麗軍に不戦敗ッッ!!”
“世界最強の騎士はラウンズではなく高麗軍の兵士だったッッ!!”


これを見出しとして書かれたデマ記事に、モニカ自身は週刊誌がどういう物かいまいち良く分かってなかったのもあって今回訴訟は起こさないと明言していた。
無論、記事を書いた者と責任者には厳重に抗議していたが、言い換えればそれだけで済ませたのだ。
だが彼の言っている事を直訳すれば『全ては物を知らない世間知らずのモニカ・クルシェフスキーが悪い』となってしまう。

「そもそも、あの記事を書いた週刊誌は我が社の傘下ではあっても、独立した会社である事に違いないだろう? それを儂に謝れなどと・・・碌に顔も出して発言出来ないクズ共が偉そうなことばかり抜かしおって!!」

彼は憎々しげに吐き捨てる。当然だ。インターネットは自分たちの権益を脅かす敵なのだから。
『ネットは取り締まるべきだ』と良く口にする彼は、ネットに言論の自由などあってはならないとさえ考えていた。
自分に対して暴言まで吐いたのだ。そんなクズ共に自由な発言をさせるのは間違っていると。
自分の事は棚に上げている辺り実に自分本位の人間と言えるだろう。

386 :舞朝新聞:2013/02/09(土) 00:10:09


「ですが非難の声が大きく、購読者からは『舞朝新聞取るの止める』と言われ実際に契約を切られています。やはり影響を考えますと謝罪会見を開いた方が良いのでは・・・」

更にねつ造記事の相手がブリタニアの高官という事もあり、政界の方でも非難の声が上がっている。
唯でさえ与党には睨まれているというのに踏んだり蹴ったりだ。こればかりはいつも味方の筈の公民党も流石に知らぬ存ぜぬで通していた。
日本公民党と舞朝新聞は持ちつ持たれつの関係なのだが、傘下の週刊誌がねつ造記事を書いたのは紛れもなく事実なので擁護しようがない。
下手に擁護などしては自分たちの立場まで危うくなってしまうのだから。

「どいつもこいつも言いたい放題抜かしやがって! 儂を誰だと思っとるんだ!! 浅村だぞ? 浅村豊数様だぞ?!」

まるで自分こそが正しい。自分こそが正義なのだと言わんばかりの尊大な態度を取る浅村。
彼の辞書には一つの言葉がある。

“ペンは剣よりも強し”

これは舞朝新聞の社訓にもなっている言葉なのだが、剣とは文字通り軍人や騎士を示している。
例えどんなに強い者であろうと、ペンという力で社会的に抹殺する事が出来るのだという浅村の持論だ。

「最強と言うなら儂こそが最強だ! ペンの力を持ってすれば政治家でも失脚に追い込めるんだぞ! クルシェフスキーが怖くてブン屋が勤まるかっ!!」

(そうだ! クルシェフスキーなど怖くない! ネットのクズ共など相手にもならんわっ!!)

「も、もちろん会長の仰るとおりでございます、それでもお客様には」
「ふんっ、我が社の新聞を読みたくないというなら読まなければいい。誰も読んでくれとは言っとらん」

嫌なら読むなと言い切る浅村に、彼の秘書を長年勤めている男はこれ以上は無駄だなと忠言するのを止めにした。






「真にっ! 真に申し訳ございませんっ! 全ては私めの監督不行き届きにございますっ!」

肥え太った身体を伏せ、額を床に擦りつけているのは舞朝新聞社社長、浅村豊数。
所謂土下座という物をして謝罪する相手は白い騎士服と緑色のマントを着た長い金髪の女性、ナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキー。

「も、もういいですから頭を上げてください、」

あれ程謝罪はしないと言っていた彼が何故ブリタニアの公館に足を運んで、モニカの執務室にて土下座しているのかというと。
舞朝新聞、現購読者の実に六割にも達する世帯から契約打ち切りを言い出されていたからだ。
ここでもしブリタニアの市場からも叩き出されたら舞朝新聞社は確実に倒産する。
といって公式な謝罪会見は彼のプライドが許さないので、こうして直接モニカに謝りに来たのだ。
これなら自分の土下座を知られるのは彼女一人で済む。

(くっそ~っ! なんで儂がこんな帝国主義者の小娘にっっ!)

尤も、本心からの謝罪ではなく上辺だけの謝罪なのだが、人のいいモニカはジャパニーズ土下座にすっかり騙されて心からの謝罪と信じ切っていた。

結局彼はネットの世論が起因となって数多の購読者から契約解除を迫られ、クルシェフスキー侯爵家の動きが怖くて謝罪するという、両方に対しての負けを認める形になってしまったのである。
ただ、公館を出た直後に唾を吐き捨てるという、最後まで反省の色無しの行為を取っていたが。

「この儂に土下座までさせおってっ・・・小娘めっ、今に見てろよっ! それとネットのクズ共っっ!! 貴様らまとめて吠え面掻かせてやるからなっっ!!」




後日、またまた舞朝新聞の傘下にある別の週刊誌が

“嶋田繁太郎元総理と、ナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキー氏熱愛っ!”

などと面白おかしく書いたりするという、全く懲りない平常運転振りを発揮していた。

387 :舞朝新聞:2013/02/09(土) 00:14:08


但し、今回ばかりはモニカもやられっぱなしでは終わらなかった。

「クルシェフスキー卿、今回も不問になされるという話ですが何故です?」
「ああ、それでしたら舞朝新聞の浅村トヨカズ社長が私の前で床に額を擦りつけて土下座までしてくれましたので、三度までなら許します」
「はは、これはスクープだ! あのやたらとプライドの高い浅村社長が土下座したとはっ! 貴重な情報ありがとうございます!」
「いえいえ♪」
「しかし、何故三度までならお許しになられると?」
「ほら、日本にはあるじゃないですか“仏の顔も三度まで”という言葉が」
「なるほど。これは一本取られましたね」

と、別の新聞社の取材に答えた(暴露)したのだ。

“大スクープ! あの! プライドの塊、舞朝新聞社社長、浅村豊数が! クルシェフスキー氏に土下座!!”

これにはプライドが高く帝国主義者が大嫌いな浅村も憤死しそうになり、血圧が上がりすぎて病院に担ぎ込まれたとか。
同時に帝国主義者に言論で敗北という浅村にとり人生最大の汚点となるのだった。

「ふふ、浅村さん、ラウンズの戦場に敗北は無いんですよ♪」

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最終更新:2013年02月10日 20:42