149 :ネタスレ336:2013/01/13(日) 08:08:30
9世紀初頭 日本亜大陸 仙台平野


後世、日本三景の一つに数えられる松島の北側。
そこで、二つの軍勢が睨み合っていた。
一つは北方征服を目指す征夷大将軍・坂上田村麻呂率いる朝廷軍2万(騎兵2000、剣虎100、大弩10)。
もう一方は、故郷を守らんとする蝦夷の大将軍・アテルイ率いる蝦夷軍8000(騎兵3000、蝦夷象30)。
蝦夷側にはこれ以上後背地がなく、負けるわけには行かない
北方最後の戦いが始まろうとしていた。

「騎兵は敵軍に痛撃を与えよ!」

最初に動き出したのは、蝦夷側だった。
蝦夷軍の騎兵(*1)が先手を突こうと、朝廷軍に向かってかけていく。
騎兵たちの手には弓が握られている。それは彼らが弓騎兵であることを表していた。
鐙があるとはいえ騎射は高等技術であり、その錬度の高さが垣間見える。
一方の朝廷側は動かずに、弓兵たちに矢をつがえさせる。
その弓は今までの戦いで使われた弓とは違い、後に和弓と呼ばれる極めて長大なものだった。
また、今までの戦いで見られなかった弩を手にした兵が弩(*2)を構える。
蝦夷側の騎兵は矢を放とうと、射程に近づこうと進む。
時折、朝廷側の大弩(*3)から人を粉々にするような太い矢(というよりは槍)放たれるが、
高速で走る馬にはかすりもしなかった。

彼らの弓の射程の2倍ほどの距離に地被いた時だった。
これまでの戦いでは届くははずがない距離で朝廷側から矢が放たれ、
騎兵のうちのいくらかが矢を受け、地に転がっていった。
蝦夷側に動揺が走るが、そんなことはお構いなしと朝廷側は矢を雨あられと射る。
次々に倒れていく蝦夷騎兵たち。
この光景は騎射をもちいて歩兵に圧倒的に優位に立っていた蝦夷騎兵の落日を物語るものだった。
ついに、蝦夷騎兵は退却を決意し引き上げていくが、
朝廷側がそれを見逃すわけもなく剣虎(*4)と騎兵を用いた追撃をかけてくる。
蝦夷側の馬のほうが大きく速いため、朝廷の騎兵と剣虎に狩られたものはそう多くなかったが、
先ほどまでの戦闘と合わせると消耗は大きかった。

150 :ネタスレ336:2013/01/13(日) 08:09:36
「全軍前へ進め。」

冷静沈着に坂上は命じ、蝦夷騎兵を退けた朝廷側は全軍に前進を命じる。
大弩を動かす速度にあわせ、朝廷軍はゆっくりとした足で進んでいく。

「象兵に合わせ前進!」

切り札である騎兵をあっけなく蹴散らされたアテルイは額に汗をかきながら、象(*5)兵を先頭に軍を進ませる。

「全軍停止。」

両軍の距離がやや縮まった時だった。
坂の上は軍の足を止めさせた。
大弩を担ぐ兵たちはそれを地面におろし、矢玉を数人がかりで番える。

「大弩、放て!」

坂上の号令とともに、大弩から矢が放たれた。
その矢の行く先は…、蝦夷象である。

「ヴァオッー!fujiko!?」

10基の大弩のうちの一つから放たれた矢が一匹の象に命中した。
すさまじい悲鳴言えぬような咆哮とともに象は暴れだした。運悪く目に当たったようだ。
暴れだした象は背中から兵を降りおろし、蝦夷兵を踏み潰しながら、あさっての方向へ逃げ出していった…。
それにともない蝦夷側は大混乱に陥りかけた。

151 :ネタスレ336:2013/01/13(日) 08:10:31
「天命は我にあり、俺についてこいッ!」

そう言って、アテルイは全軍の前に立ち、兵たちの動揺を沈めさせ、足を速め全軍による突撃を敢行した。
陣形がやや崩れているものの、巨大な蝦夷象を先頭にした将兵獣一体の突撃。その衝撃力はすざまじいものがある。

朝廷側は矢の雨を降らし、蝦夷軍を徐々に減らしていくが、士気を折るまでには至らない。
ついに両軍が白刃を輝かせ、激突した。
蝦夷軍の先頭を進んでいた蝦夷象は朝廷兵を踏み潰しながらも、天敵である剣虎に次々と狩られていく。
歩兵同士の戦いでは、錬度の上で蝦夷軍が優位にあるものの、朝廷軍は敵兵一人に数人がかりで向かっていく。
剣虎の牙に貫かれ絶命するもの、剣に胸を突かれ断末魔を上げるもの。
蝦夷軍は次第に数を減らしていき、空前の灯となった。

アテルイは包囲されていた。その周りを多数の兵や剣虎に幾重にも囲まれていた。
そこに坂上が現れた。

「もう勝敗は決した。無駄な犠牲はいらない、丁重に扱う故に降伏を。」

坂上はアテルイに降伏を促し…

「是非もなし…」

ここに勝敗は決した。
この戦い以来、蝦夷勢はその勢力を弱め、次々に朝廷に恭順していくこととなる。

152 :ネタスレ336:2013/01/13(日) 08:12:24
(*1)騎射ができる錬度。遊牧民のように騎射と一撃離脱を繰り返し、朝廷軍を苦しめた。
(*2)後の欧州で使われるよなハンドルで巻き取るタイプではなく、
  古代中華で使われたような背筋力で矢をつがえるようなものです。
(*3)いわゆるバリスタです。槍大の矢を飛ばせます。
(*4)いわゆるサーベルタイガー 生きた化石ともいわれる日本亜大陸の固有種 ハニワ一号様のネタから
(*5)マンモス 上に同じく固有種 第三帝国様のネタ

あとがき
ハニワ一号様、第三帝国様のネタをお借りしました。
坂上田村麻呂 対 アテルイ 途中ネタに走ったような感じが
また、自分は文才がないなとも思いました。

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最終更新:2013年03月08日 21:59