374 :二二三:2013/03/12(火) 00:54:48
続いてみた~
休日氏の宿敵(とも)時空を越えて・68氏の総統閣下と愉快な仲間たちinEUが前提です
半島転移4
釜山広域市古里原発
「急げーッッ!早くしないと間に合わんぞーッッ!!」
何台ものポンプ車・消防車・放水車といった水を運搬し供給する作業車が列をなして待機していた
彼らが行う作業は常時の任務である消化活動ではない。それよりもずっと危険な作業に取り組んでいるのである
「なんでこんなことになっちまったんだ!」
作業に従事していた男は誰に向かって言うでもなく叫んでいた
「海が消えて原子炉が冷やせなくなるなんて!」
日本海が消滅するという異常事態に見舞われてより早三日。海水の供給を断たれた大韓民国古里原子力発電所は怒号と悲鳴に包まれ地獄と化していた
「韓国政府はなんと言ってるんだ?」
「相変わらず"我が国の原発は平常運転を保っている"の一点張りです」
そんな訳があるか!在韓米軍司令官デビッド・ベイカー大将は部下の報告に怒鳴り散らしそうになるのを堪えて深呼吸する
部下に当たったり怒鳴ったところで何ら事態は好転しない。それよりもいまは気を引き閉めて当たらねばならない事柄が待っている
「日本…大日本帝国は我々の要請を受け入れてくれるのだろうか?」
昨日南に飛ばした偵察機から友好的な接触が出来たと報告のあった大日本帝国
在韓米軍は自らの生き残りをかけて日本と本格的な接触ができないかと試みていたのだ
韓国政府を差し置いての独断行動ではあったが、ことここに至っては背に腹は代えられない
なによりこれ以上信用できない同盟国に任せていては最悪の事態が待っているだけ。幸いにも先方が会談に応じると返事をしてくれた為、無駄な努力にならずに済んだのだが
「全てはこの会談にかかっているか」
375 :二二三:2013/03/12(火) 00:55:23
「在韓米軍から接触がありました」
久々に開かれた会合の場で議事進行の辻はいつもの冷静さを崩すことなく淡々と述べた
「在韓米軍などどうでもいい、問題は原発だよ。南朝鮮はまともな対処が出来ているのか?」
「はっきり言って出来ていません、それどころか情報隠蔽に走っています。このまま放置しておけばボンッ!ですよ」
杉山の質問に握りしめた拳を開いて爆発を連想させた辻はそこでどうするかと皆の意見を求めた
「古里原発は何基ある?」
「八基ですね。ただし北側蔚山近辺の四基は転移の影響か跡形もなく消滅していますので、暴走しているのは釜山の四基になります」
「どうするんだ!放置しておけば水蒸気爆発を起こして大量の放射性物質を大気中に撒き散らすぞ?!」
「もちろん放置プレイなんてしませんよ。いま海軍のステルス潜水艦鬼666型オーメンを朝鮮半島に向かわせています」
「なんちゅう名前だ……」
焦る山本に冷静な辻、最後に嶋田がポツリと呟いた
オーメンとは悪魔を示す名だ。どうしてそんな名前を付けたのか?
答えは簡単、転生者が名付け親に決まっている
「間もなく沖縄の那覇で在韓米軍司令官のベイカー大将と全権特使の吉田さん、それと嶋田さんの奥さんが会談することになります」
「モニカが?コーネリア大使ではないんですか?」
「コーネリア殿下は公務でブリタニア本国に帰還してますので、モニカさんがシャルル陛下から全権委任されてます」
「そうだったのか…。政治から遠のいているせいか妻の状況を把握してなかったよ」
「そんなものですよ。モニカさんも嶋田さんにはのんびりと主夫しててほしいでしょうしね」
「喜んでいいやら心配するべきやら反応に困りますね」
「嶋田、ウチも同じようなものだ」
嶋田と山本。奥さんが共に騎士なのでお互いの心情がよくわかる
「会談の結果がどう転ぼうがフレイヤ弾使用の許可を出す手筈です」
「結論ありきか」
「物が物だけにそうじゃないと困るんですよ。このままではメルトダウン・メルトスルー、最悪は水蒸気爆発が待ってますから。あとはモニカさんがどう判断するかですが、あの人に限って結論を間違えたりしないでしょう」
フレイヤ弾は日本とブリタニアが共同開発した切り札的兵器。それが故に使用許可には極力両国の意見を一致させたうえで慎重に慎重を期さなければならない
今回のような切羽詰まった状況であれば話は変わるのだが
「とにかく半島の原発が制御不能だというなら我々が消し飛ばすしかありません。放置しておくなどといった選択肢は最初からありませんよ」
「全くもって迷惑極まりないな」
最後に独島という名の揚陸艦が高麗共和国釜山港で拿捕されたことが議題に上がったが「空気読んで撃沈しろよ」の大合唱で終わった
最終更新:2013年03月16日 19:19