739 :二二三:2013/03/21(木) 17:27:38

休日氏の宿敵(とも)時空を越えて・68氏の総統閣下と愉快な仲間たちinEUが前提


半島転移8-2


EUユーロピア共和国連合


「なにィィィ?!日本が黄海に出現した第二高麗半島に核を投下したァァァッ?!」

「またか!また日本人か!奴らは悪魔なのか!」

高麗共和国に潜伏中の諜報員から上がってきた緊急報告に血相を変えたのは財政再建・腐敗根絶・シベリア戦争を遂行中のEUユーロピア共和国連合を陰から支える「EU枢軸会議」の面々
大清連邦軍をシベリア奥地まで誘い込み体力を奪いつつ、準備が整ったところでかけた反攻作戦が思いの外順調に進んでいたのでまだ精神的な余裕ができていたが、
東の仮想敵国で「EU枢軸会議」にとっては第3帝国世界からの因縁を持つ大日本帝国が核兵器を実践配備している事実に驚愕した

「あ、あり得ない、我々もこの世界で核兵器の実験はやったがどれも失敗だったのだぞ、」

EUの結束を深めるために連日連夜得意分野の宣伝という戦いをしているゲッベルスは信じられないと呟いた
彼だけではない、緊急会議に参加している全員が皆一様に同じ反応をしている

「そうだ、核開発は不可能だ」

彼らも核に関しては長い間研究してきたが、この世界は第3帝国世界と物理法則が違うのか、何度実験しても上手く核分裂せずに不完全な爆発となるのだ
製造行程に問題があるわけでも、部品が足らなかったわけでもない。明らかに物理法則が関与しているとしか思えない結果だったのである
つまり前とまったく同じ核兵器は製造不可能。この結論に達していた
それなのにあの黄色の突然変異種……ここまでくればもう人類の突然変異種といっても過言ではない日本人は開発に成功したというのである

「やはり日本人、いつでもどこでも日本人か」

だが枢軸会議の双璧であるヒトラーとムッソリーニの二人は落ち着き払っていた
理由など述べるまでもない。あの日本人ならなにか別の方法で核を製造してもおかしくはない
彼らの前科を鑑みればそう考えるのが寧ろ妥当と言えるだろう

「それにどうやら核兵器ではないようだ。核兵器ではこの綺麗な半円形のクレーターは作り出せんだろ」

報告と一緒に提出された衛生写真には第二の高麗半島の東部に隕石が衝突してできたようなクレーターが写っている
ヒトラーの言う通り地下で核兵器を爆発させてもここまで綺麗な穴は作れない

「忌々しいが日本人どもは核とは違う別の戦略兵器を手に入れたのだ。恐らく奴らが絡んでいるに違いない」

夢幻会ですか?」

「左様、日本人が世界に先駆けてなにかを作り出すときは必ずあの連中が関与している。おまけに連中がてこ入れしたのかただでさえ大国だった日本が強大な超大国へと成長してしまった」

しかもたちが悪いことにその日本よりも更に強大な神聖ブリタニア帝国と蜜月関係を築いている
EUの潜在的敵国である超大国同士の結び付きは悪夢としか呼べない国力差を更に大きく広げていた

「第3帝国世界の時代から考えていたが、奴らはやはり魔法が使えるのではないのか?」

以前から噂になっていた日本人魔法使い説や宇宙人説が噂ではなく本当のことではないのか?
当の日本人、とくに彼らが目の敵にしている夢幻会の面々が耳にすれば「妄想乙!」と一笑に付されそうなことを考えてしまうヒトラーを始めとした枢軸会議のメンバー

彼らはどんなに頑張ってもあっという間に引き離して追い付けなくする日本人に、思考放棄して非現実的な答えを求めたい気分だった

740 :二二三:2013/03/21(木) 17:29:40
「で、その第二高麗半島だが、その地に存在する勢力の詳細は判明したのか?」

考えていても憂鬱になるだけなので話題を変える
答えるのはヒトラーの側近の一人ヒムラーだ

「判明はしていますあれは高麗ではなく朝鮮半島です。当該地域に存在する勢力が「大韓民国」を名乗っていることと、高麗に拿捕された揚陸艦がディーゼル燃料を使用していることで判明しました」

「大韓民国?大韓帝国ではないのか?」

「ええ、おそらくは我々や夢幻会が第3帝国世界から来たように、大韓民国も我々の世界に酷似した世界から跳躍してきたのでしょう」

ディーゼル燃料や朝鮮半島など第3帝国世界で聞き慣れていた名称の登場に前世を懐かしむメンバーたち
しかし続くヒムラーの「かの国への対応は如何なさいますか?」の問いかけに「徹底して無視」と意見を一致させていた
国の建て直しとシベリア戦争の真っ最中にあるEUには規格の違いから早晩鉄屑になってしまう戦力で身を固めた劣等中の劣等種の相手をしている暇などないのだ

「あそこは第3帝国世界でも日本の勢力圏だったのだ奴らに押し付けるか中華、または清にくれてやれ」

第3帝国世界で散々見てきた彼らの民族性にヒトラーは「敵にしたら頼もしいが味方にしたら大惨事だ」と吐き捨てた

「私が日本人ならあげると言われれば土下座して「勘弁してください」と謝るな」

引き継いだドゥーチェは「金も払うからあっちいってくれも付け加えておく」と苦笑いを浮かべていた

741 :二二三:2013/03/21(木) 17:33:37

神聖ブリタニア帝国帝都ペンドラゴン


「日本に滞在中のナイトオブトゥエルブ・モニカ・クルシェフスキー卿より連絡、第二高麗東部における毒を吐き出す暴走発電所除去作戦は成功、ブ日両国に毒性物質が降り注ぐ危険は回避されたとのことです」

ブリタニア軍の司令部に入った一報に歓声が沸き上がる
いきなり現れた第二の高麗半島には大気中に毒物を撒き散らす発電施設がある
今のうちに対処しなければ大変なことになるとあの半島に常駐しているアメリカ合衆国という国の現地司令官から伝えられたブリタニアと日本は、
フレイヤ弾頭による施設の除去という荒療治に出て、これを成功させたのだ

「けどなんて迷惑な国なのかしら、制御もできないくせにブリタニアと日本に毒性物質が降り注いでいたかも知れない施設を稼働させていたなんて」

両帝国の一大事に発展しかけた今回の事件に、その原因を作った第二高麗……大韓民国への嫌悪を隠さない神聖ブリタニア帝国第五皇女カリーヌ・ネ・ブリタニアは相手の事情を鑑みることなく吐き捨てる
転移による事故なので全部が全部韓国が悪いとは言えないのだが、彼女にとって大切なのはブリタニアと日本だけであって、かの国の事情など知ったことではなかった
それに日本には駐日大使のコーネリアやユーフェミア、留学中のルルーシュやナナリーがいる
皇帝シャルルを始め何よりも家族を大事にするのがブリタニア皇族の特質
彼女も例外ではなく日本にいる家族たちになにかあれば韓国を攻め滅ぼすくらい平気で行うだろう

「まあ大韓民国とやらも国土ごとこの世界にやってくるなんて超常現象に巻き込まれたんだ。我々と日本がいち早く動いて事態を解決できたのだから今回はよしとしようじゃないか」

そこへやってきたのは神聖ブリタニア帝国第一皇子オデュッセウス・ウ・ブリタニア
近く引退するシャルル皇帝の後を継いで第99代皇帝になるブリタニアの癒し系と言われている凡庸な人物だ

「オデュッセウス兄様は甘いわ、分を弁えない輩には躾が必要よ」

「まあまあ抑えて」

憤るカリーヌを宥める癒し系な兄。仲のいい兄妹の姿は実に微笑ましく、仕事で疲れていた司令部職員には一服の清涼剤になっていた

「でもお父様がなんていうかしらね?」

シャルル・ジ・ブリタニア
家族の情がひときわ強い彼らの父は日本にいる子供たちになにかあれば、大韓民国に宣戦布告して民族浄化くらいやりかねない

「父上ならシュナイゼルに監禁されてるから大丈夫だよ」

それを見越してか偉大なる彼らの父親はお目付け役の第二皇子の手で執務室に監禁されていたのである
まあ実際のところは度々皇宮を抜け出して日本に行っているせいで書類が溜まり続けた結果、怒ったシュナイゼルが実力行使に出ただけなのだが

「なんにしろ丸く収まってよかったよ」

戦争やきな臭い話が嫌いなブリタニア一の平和主義者は、何事もなく事態が終息してくれたことに安堵していた

「でもこれからどうするのかしら?クルシェフスキー卿の話じゃアメリカ軍とかいうのはブリタニアと日本に燃料食料の援助を申し出たって話だったけど」

「燃料弾薬は根本から違うから支援できないよ、食料支援はできるだろうけどね
 ただ日本の竹島に揚陸艦を接岸させて勝手に上陸したあげく「独島は韓国固有の領土」なんて訳のわからないこと言う国と繋がってる以上、最低限の援助しかできないな」

「援助なんて必要ないと思いますけど?」

カリーヌとしては竹島を自国領土なんていう無礼な国と同盟を組むアメリカに支援など必要ないと考えていた
彼女が交渉役なら「大韓民国の大統領を引きずってきて日本に謝罪させれば支援を考えてあげてもいいわ」なんて命令調で言ってだろう

「しかし毒性物質を撒き散らす可能性のある発電所の存在を教えてくれたのは彼らだからね、何らかの礼は必要だよ。それが食料支援だっていうならそれでいいじゃないか」

アメリカからもたらされた情報のお陰で日本にいる兄弟たちは無事だった。そう考えれば確かにお返しは必要である

742 :二二三:2013/03/21(木) 17:36:17
「まあ日本なら情報がなくても事態を解決させていた気がしないでもないけどね」

いつもブリタニアより早く新しいなにかを作り出す「技術」の二つ名を持つ同盟国
あの国は不思議な国だ。共同開発しても先に技術を進化させていく
KMFやフレイヤのヒントもあの国から出た。まるで将来KMFが主役になる時代が来ると知っていたかのように
さすがに他国との間にあるような一歩以上の開きがある訳ではないが、半歩は前を歩いている
その証拠にナイトオブトゥエルブの専用機であるフリーダムは日本が開発した物だ。あれに盛り込まれているエナジーウィングを始めとした各種技術はまだブリタニアでは研究段階にあったもの。それを日本が先に実用化した
その日本なら今回の超常現象が元で起こった大韓民国の発電所事故もどうすれば解決できるか知っていたとしても不思議ではない

「じゃあお兄様はナナリーがいるのはワンダーランドだとでも仰るの?」

「ははナナリーinワンダーランドか、なかなかおもしろい表現だね」

ワンダーランド日本。その地にいる兄弟たちの話題は延々と続いていた

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最終更新:2013年04月07日 11:09