149 :taka:2013/03/30(土) 12:07:32
ありそうで今まで無かった種ネタ、書いていてあの人が全部持っていった…
憑依アズラエルの他にも憑依者、しかも夢幻会の面子がいたとしたらの巻

150 :taka:2013/03/30(土) 12:08:38


地下室のモニタールームで、貴族趣味全開の服を着た男がげっそりした面持ちでマイセンのカップに入った栄養ドリンクを呷っていた。

「そんな飲み方して美味しいですかしm……ジブリール君」
「……美味しいわけないでしょうが。でも、今までの習慣をいきなり変えると怪しまれますしね。くそ、この野郎外観だけじゃなく趣味まで気味悪い」

男の名はロード・ジブリール。ブルーコスモスの重鎮の一人であり、ムルタ・アズラエルに並ぶ極右主義者の一人だった。
いや、最近になってアズラエルが『手ぬるくなった』ので、最高峰ともいえるかもしれない。
コーディネーターぶっ殺し隊の最高峰のレイシスト……なのだが、彼には普段の威厳と言うか高慢さがない。
彼の面持ちは、仕事と心労で疲弊しきったサラリーマンのそれだった。

「んで、やっぱり彼も転生者と?」
「ええ、証拠はありませんが確証は得た感じですね。いやいや、彼の父親でよかったですよ。
こうでもなければ早期に確信は得られなかった」

くっくっと人の悪い笑顔を浮かべるブルーノ・アズラエル、ムルタの父親を見てジブリールは心底ムルタに同情した。
誰が入っているかは解らない、だが、実の父親の中身があの大蔵省の魔王なのだ。
こうして地下室の趣味が悪すぎるモニタールームで会話してるだけでも胃が痛いのに実の父親……だと?
抜かりの無い彼の事だから自分の正体は全く露見させてないだろう。
だが、それはある意味ムルタにとっての幸いかもしれない。自分がそうだったら即樹海へゴーだ。

「しかし、まさかブルーコスモス、いや、ロゴスのメンバー全員が夢幻会の憑依者になっていたとは」
「しかももう直ぐ開戦の時期ですよねー。あなたの手下も勝手に動いてるんじゃないですか」
「あー、あいつらですか。血気ばかりで困りますよ。この馬鹿たれが趣味だけじゃなく人選まで最悪ですよこの野郎」

憑依体に対する悪罵はもう何万回繰り返しただろうか。嶋田に転生した時の嘆きが生優しく感じるぐらいだ。

「まぁ、兎も角何とかして連合を勝利させ、種死の発生も阻止せねばなりません。
 私はあの池田ボイスの議長に吊るし上げにされるのも、レイかシンに追い詰められて『ちにゃ!』するのもマジでごめんです」
「解っていますよ。あのムルタ君とも協力し合えないか模索中です……時にジブリール君。凄く微妙なニュースがありますが……聞きますか?」
「…………お願いします」

栄養ドリンクをお代わりしつつ、ジブリールは先を促す。
わざわざこの男がこの言い回しをしたとなれば、良くも悪くも重大なニュースだからだ。

「そうですか。では、これを見てください」
「はい……これは?」

中央の大きなモニターに映し出された白い物体。なんだか茶巾で絞ったような……なんとなく見覚えがあるような

「お稲荷………………さん?」
「正解です」

ゲンナリしたブルーノの声と共に画像が切り替わり、それを見たジブリールは口に含んでいた栄養ドリンクを全力で噴出していた。
白い仮面で顔の上半分を隠した男がニヒルな笑顔を浮かべつつ……「Welcome!」していた。
網タイツと茶巾状に捻った下着だけの裸体、そう、先ほどアップされていたのは彼のお稲荷さんだったのだ。

「いやああああああああああ、ま、まさか」
「…………ええ、最近連絡が取れたのですが……ラウ・ル・クルーゼに富永さんが憑依したそうです。これ送られた時には心臓が止まるかと思いました」

唖然とするロード・ジブリール。
困惑した面持ちのアデス艦長や赤い制服を着た少年たちを背後にウイッシュのポーズをキメているドヤ顔のクルーゼの画像を見て激しい頭痛がする。
そういえば、やつって結構中二病的なキャラだよな……そんなヤツがクルーゼに憑依ってどんな悪夢だよ。

これから始まる歴史改変に対し、激しすぎる不安と胃痛を感じるジブリールであった。

やおい

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最終更新:2013年04月07日 11:42