211 :Monolith兵:2013/04/01(月) 19:45:23
※このSSにはTS要素が含まれています。ご注意ください。

ネタSS「俺の妹が○○○なわけがない!」 没ネタ
その3の初期案。

『俺の曾孫はこんなに可愛…』

 あの夜、京介は桐乃の提案を受け入れた。それは日本の未来のためであったし、前世の自分が行ってきたことの延長でもあったからだ。
 しかし、本音を言えばそんな建前を立てたとしても女の子を一人犠牲にするのは気が引けた。しかも、その女の子は前世での自分の曾孫に当たるのだ。
 そのような葛藤を持ちつつも、桐乃の協力で京介と新垣あやせとの接点は増えていった。そんな中妹は表の顔であやせと京介に付き合っていたが、中の人を知る彼は気が気ではなかった。何背あの”魔王”なのだから。

 そうして京介とあやせは友人といってもおかしくない程度には仲がよくなっていた。そんなある日のこと、京介はあやせにメールで近くの公園へと呼び出された。

「おまたせ。」

「いえ、私が呼び出したのですから。」

 彼女は既に公園で待っていたので謝罪をした。外見は平凡な高校生であるが、中身はいい年をした爺なのだ。酸いも甘いも多く経験している。
 それはともかく、なぜ彼女が呼び出してきたのかを彼は尋ねた。その答えはいつの日かの妹と同じものだった。

「実は、お兄さんに人生相談があるんです。」

 それを聞いて京介は顔を引きつらせた。何せ以前妹と思っていたら中身が辻正信だったという悪夢があったのだから。しかもその悪夢は現在も絶賛継続中である。

「桐乃にお兄さんが頼りになるという話を何度も聞いています。だから、お兄さんに相談したいことがあるんです。」

 そして一度言葉をきって再び話し始めた。

「実は、少し前から桐乃の様子がおかしいんです。以前はしなかったお兄さんの話を浴するようになるし、その話をしている時も何かにやけていますし。あんな桐乃見たことありません。でも、私には何が原因なのかお兄さんに聞くしかないんです。お兄さん。桐乃に何を、いえ、何をしたんですか!?」

 あまりの言葉に京介は頭を抱えた。何であの桐乃(=辻正信)が学校ではブラコン娘になっているのか。そして何故それが原因で自分が妹に手を出して変態鬼畜シスコン男になってしまっているのか。あまりな展開に京介の頭は現実についていけなくなっていた。

「本当のことを教えてください!」

 あやせは一歩踏み出して回答を促した。京介が顔を上げると、手には何かを持っていた。

「俺はあいつに何もしていない!ただあいつの相談に乗って今まで悪かった兄妹仲が改善されただけだ!」

 京介は妹の趣味のことを伏せて真実を話した。しかし、あやせも親友のことなので一歩も引き下がらない。

「その相談というのが何なんですか!如何わしい事をしたんじゃないんですか!」

「妹にそんなことをする兄がどこにいる!というか俺もあいつもそんな感情は一切持ってない!!というか鳥肌立ってきた。」

 あの妹とそんな関係になるということを考えただけで、京介は寒気に襲われた。中身が爺同士でそんなことをするなど、現状以上の悪夢、いや地獄だ。

「だったら何で桐乃はあんなににやついてるんですか!それにお兄さんが桐乃に手を出さないって言う確証も、手を出していないって言う証拠もないじゃないですか!」

 あまりな内容の応酬に彼の頭は沸騰寸前だった。だから、ついあんなことを言ってしまったのだった。

「俺が、俺が大好きなのはお前だ!」

 この言葉は実は嘘ではない。あやせは京介の前世の曾孫である。彼は前世で最後を看取ってくれた孫娘を愛していたし、その娘であるあやせも愛していた。大切だった。しかし、それを口に出して言うことはできない。彼にできるのは桐乃に協力してもらいあやせの様子を教えてもらうことくらいであったのだ。そして、曾孫に対する愛情は確かに大きくなっていた。
 それに対するあやせの反応は口を手で覆って絶句していた。心なしか頬も赤い。それを見て、京介は(やっちまった…)と思い少し落ち込んだ。だが、これで彼女の誤解も解ける、かはともかくこの場は誤魔化すことができそうだと思い直した。
 しかし、その考えはすぐさまひっくり返されるのだった。

「…あのな、女の子に告白するんならもっとムードを考えろよ。それに、お前は実の妹だけでなく曾孫にまで手を出す変態野郎だったのか。見損なったぞ嶋田!ん?俺が誰だって?この姿じゃわからないだろうな。俺だ、山本だよ、嶋田。」

 その言葉を数秒かけて理解した京介は、あの日の悪夢のことを思い出し、胃の辺りを押さえつつゆっくりと倒れこんだ。そして、鉄の味と臭いがするのを憶えながら彼は意識を放棄した。


 あやせ√BADEND

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最終更新:2013年04月07日 12:04