312 :Monolith兵:2013/04/08(月) 23:55:00
※この作品にはTS成分が含まれています。ご注意ください。
※この作品は曾孫系ラブコメディです。
※京介(嶋田)のキャラが一部崩壊しています。ご了承ください。
高坂桐乃は容姿端麗成績優秀、スポーツも陸上部で活躍するなど文武両道を体現する少女である。また、読者モデルとしても活躍しており、まさに完璧超人といっても過言ではなかった。
しかし、そんな彼女にも人には言えないことはあった。彼女は重度のエロゲオタであり、妹物と学園物をこよなく愛していたのだ。そして、最上級の秘密を彼女は持っていた。
「はい、これをどうぞ。」
そういって桐乃が兄、京介に手渡したのはティーン向け女性向け雑誌であった。京介はそれを手渡されたものの、何と返したらいいのか困惑していた。
「私にあなたの仕事ぶりを見ろと?以前はともかく中身が爺だと萎えるのですが。」
あんまりな返答に、桐乃は酷いですね、といってから返事をした。
「その雑誌に載っているのは私だけではなく、あやせもいるのですが…。」
彼女の言葉が終わる前に京介はすさまじい速さで雑誌をめくり始めた。彼が目当てとしているのは、桐乃の親友であり、彼の前世の曾孫である新垣あやせという少女である。そして、目当てのページを見つけたのかにへらと顔を崩して「あやせたん可愛いよ。」などと呟き始めた。もはや変態である。
それを横目に見つつ、桐乃は話を始めた。
「実は今度あの二人とコミケに行くことになりましてね。それで、あなたにも来てほしいのですよ。」
京介は「いいぜ。」と上の空で了承した。その視線は雑誌に注がれている。だが、すぐに顔を上げて話しかけてきた。
「え?以前言っていた
夢幻会のサークルには参加しないのですか?」
彼が尋ねたのは、以前妹が言っていた新生夢幻会についてである。新生夢幻会は政治経済などの分野でさまざまな人々が活躍しているが、表向き社会人サークルとして活動している。そしてそれらをまとめるのが、同人サークル”夢幻会”なのである。
「私はいまやただの女子中学生ですよ?それがいきなり中央に入ってみてみなさい。少なくともいいことはおきないでしょうね。」
そう言われると京介もそれもそうだと同意した。だが、他の夢幻会のサークルには入らないのかと続けて尋ねると、少し呆れが混じった表情で返された。
「先ほども言ったとおり、私はただの中学生。あなたはただの高校生です。そして、夢幻会に入っているのは社会人ですよ?私たちにできることなど何もないのですよ。」
以前の夢幻会が巨大談合組織であったのと同様、新生夢幻会も各省庁の利害の調整を行う組織であった。そうである以上、夢幻会に入るためには利権などが絡む立場にないとならないのだ。前世でバリバリ働かされていた京介(=嶋田)には京介ともども声が掛からないのが不自然に思えてしまうのも仕方がないだろう。
もっとも、桐乃(=辻)は自身で稼いだ金(モデルのギャラ)を運用して中学生どころか普通の社会人でもそう目にかかることのできない資産を築いていたのだが、そこは割愛する。
「そういうわけで今回は4人で行きましょう。」
桐乃には彼女の趣味を理解してくれる友達があの2人しかいないのだ。いつか来た学校での友達は普通の少女であったし、京介の前世の曾孫であるあやせにいたってはオタクを毛嫌いしている。オタクの神=嶋田繁太郎だからだという理由で。
「分かりました。前世ではこういうことを楽しめませんでしたし、今ではどうなっているのか興味もありますしね。」
そうして、彼らはその夏のコミケに参加することを決定した。
313 :Monolith兵:2013/04/08(月) 23:55:31
そして、迎えたコミケ3日目。コミケを堪能した高坂兄妹は現在危機を迎えていた。コミケそのものは穏便に終わったものの、帰る途中で桐乃の親友新垣あやせに会ったのである。あやせは前述したとおりオタク趣味を憎悪している。生理的にだめというものもあるが、曽祖父嶋田繁太郎の切り開いた世界ということが大きい。まさに坊主憎けりゃ袈裟も憎いである。
あやせの存在に気づいた瞬間、桐乃は荷物を京介に押し付けたが、それをあやせが目ざとく見つけ何が入っているのか覗こうとしたのだ。そして、それを止めようとする桐乃。口論となり、実力行使に出たあやせによって破かれた紙袋。そして出てくる妹物のエロ同人誌。そうして、桐乃の趣味はあやせに知られてしまった。と思われた。
「桐乃・・・。気づいてあげられなくてごめんね。」
そう言って桐乃の手をとり、京介から距離をとるあやせは険しい表情で彼を睨みつけていた。
「ええと、何言ってるのあやせ?」
「桐乃は私が守るから!お兄さんから破廉恥なことだけじゃなくて、こんな如何わしいもの買うこと強要されてるなんて!!」
盛大な勘違いであった。だが、桐乃は内心でこれはこれでありかもとか思っていた。少なくとも自分とあやせの仲は悪くならないし、割を食うのは京介ただ一人である。また、京介はあやせを愛しているが、それを口に言うつもりもないだろう。あやせの様子は自分を通じて京介にも伝えることはできるし、いくらあやせが京介を嫌っていても兄妹の仲は簡単に引き裂けるものでもない。
そこまで数秒で考えた桐乃はあやせの服を握り締めながら、か細い声で「ありがとう。」と言った。それにより、あやせの中で京介は倒すべき怨敵となったのだった。
「え?え?」
あまりな急展開で頭が追いつかない京介はただ間抜けな声を出すだけしかできなかった。愛する曾孫にいきなり変態シスコン鬼畜兄貴と罵声を浴びせられ、親の敵を見るような目で睨まれているのである。
そんな京介を見たあやせは好機と見たのか、彼の股間を蹴り上げ、蹲り痛みをこらえている京介を尻目に桐乃の腕をとって走り始めた。
「何がどうなって・・・。」
股間の痛みで立つ事もままならず、2人の走り去る姿を見る京介はただ「どうしてこうなった!」と桐乃と天を恨むしかできなかった。
おわり
最終更新:2013年05月12日 21:50