398 :New ◆QTlJyklQpI:2013/04/14(日) 17:56:50
※第三帝国氏の
「夢幻会の戦争」をIF作品として製作してます。
夢幻会の戦争ネタSS ~If アルヌスに門が2つ~
「こちらの映像をご覧ください」
20××年8月、銀座に突如出現した門(ゲート)から現れた謎の軍勢による民間人への殺傷事件、
後に「銀座事件」と言われる出来事は某オタク自衛官の機転と準備を整えた自衛隊・警察により
7日後に謎の軍勢を撃退し、向こう=特地側の門を占拠したまでは良かったが早速問題が発生していた。
「門が”2つ”ですか・・・・・」
議会での責任追及や党内からの突き上げで北条に代わって内閣総理大臣となった本位が呟く。
彼が見ている映像には自分たちが確保した門と背中合わせのように建っているもう1つの門があった。
そして門を守るように展開しているのは胸部などに鎧を付けているがカーキ色の軍服を着てライフル銃を
陣地越しにこちらに構えている異形たち。
「銀座で見た奴等とは違うな」
本位内閣で防衛大臣を担当している嘉納がすぐに気付いた。姿形もそうだが銀座で暴れた異形らは
皆凶暴で知能が低いことが報告されているが映像に写る彼らは若干ぎこちなさが残るものの、
統率された軍隊の動きと遠目から見てもわかる困惑した表情から高度な知性があることが理解できた。
「試しに拡声器で呼び掛けて見たんですがすぐに返答が」
「待て、返答したという事は日本語が通じたのか?」
「はい、相手は日本語で返事が来ました。相手方は魔王国の軍隊でこちらに交戦の意図はないこと、
突如出現した軍勢を撃破して門を占拠中と言っておりました」
「ということは彼らも異世界から・・・・・」
「総理、油断は出来ませんぜ。ともかく相手と会ってみないことには」
「相手方からはすぐに交渉役を送ると言ってきております。最も門に接近する軍勢を迎撃した後になりそうですが」
「それでは外務省から交渉役を・・・・・・・」
日本国が対応に追われている頃、同じく門を確保したおファンタジアな世界であるブラントラントに存在する
国、魔王国の首都ワルキュラでは今回の件で久々に集った歴代魔王=夢幻会たちが会合を開いていた。
「謎の軍勢を撃退してゲートネタとは・・・ランバルト問題でも頭が痛いというのに・・・・・」
現在魔王をしている嶋田のボヤキに歴代魔王であった夢幻会組メンバーからも溜息が漏れる。
千年前からブラントラントに召喚されるようになった彼らはそれぞれの分野で魔王国を運営していたが
あまりの急激な魔王国の国力増強にただでさえ人族至上主義で海洋進出を求めるランバルトとの
摩擦は増大、他の人族至上主義国家を飴と鞭で従え魔王国と一触即発の状態まで陥っていた中での
異世界への門と軍勢の出現はかなりデリケートな問題となっていた。
「ワルキュラへの被害は?」
「幸い門自体は郊外に出現したので軍勢が来るまでの間にある程度住民の避難は出来ましたが
避難のために盾となったワルキュラ市警を中心に死傷者多数です。今は向こうの世界のゴブリン、
オークなどの捕縛に取り掛かってますが凶暴で知能が低いのか説得にも応じないため針井・歩太(ハリィ・ポタァ)
警部が片っ端から射殺してます」
「・・・・・あの暴力警官が一番活躍するとは・・・・・」
原作でも明らかにダーティー・●リーとかけた一発キャラが主人公ばりの活躍をしたことに
頭痛を覚える嶋田。余りにも日頃の問題行動(連発式マジックボウガンの過剰使用)で
クビにしようかと思ってた矢先の功績に昇進もしくは勲章授与をしないといけなくなった。
「ところで辻さんは?」
「彼は補償や門の件であちこち回ってるので来ませんよ」
もっとも他の件もあるが、と嶋田は内心呟く。
即座にこの事件の原作を知っていた辻は魔王国陣営中の精霊技術などを駆使して耐震対策を
施すよう駆けずり回っており、その狙いも嶋田は教えられていた。
「(門の接続を嫌でも長引かせて耐震どころか地震すらほとんど知らないランバルト陣営国家に
大損害を与えるとか衝号並みの鬼畜だな)」
399 :New ◆QTlJyklQpI:2013/04/14(日) 17:57:29
原作でもあった門接続による地震発生。震度は日本人的には”ちょっと揺れるな”程度だろうが
耐震も糞もない古い建造物も多いブラントラント世界の建物には最悪の結果を齎すだろう。
「(まあ、あの戦争好きの王女様を止めるにはそれくらいしないとは思うけど・・・・)
ところで交渉役については彼を行ってもらおうかと」
「確か牧師さんをやっていたはずですが?」
「彼なら向こうの日本国を相手取ることも簡単でしょうし、彼自身も”別世界とはいえ後輩がどのようになっているか
興味あるので少し揉んで来ましょう”と快諾してくれましたよ」
「・・・・・・向こうの外務省の連中に同情するよ」
そして数日後、連合諸王国軍との戦闘の跡も生々しく残ってる中、特地に派遣された外務省官僚の菅原は
陸に上がった魚の如く口をパクパクさせながら魔王国側の交渉役の人物を凝視していた。
「よ、吉田茂・・・・・・」
「そうだが?そっちの世界にも私がいたのかね?それは良かった」
魔王国産の高級葉巻を吸いながら”さっさとせんか若造”と視線で言ってくる吉田に両者が立ったままなのを
思い出し慌てて席を進める菅原。
「さてと、見せてもらおうか日本国外務官僚の手腕とやらを」
少なくともこの日、魔王国の特地に対する外交的優位は確立されることとなった。
最終更新:2013年05月12日 22:04