702 :taka:2013/04/28(日) 14:40:20


東京、秋葉原
大檜山ビル3F

「げっぷ~」

いくつもの認証システムと監視システムをくぐり、この部屋の主が帰還した。

「あー、食った食った……最後の明太子ご飯はちょっと蛇足だったかな?」

じゃん○○で食事(から○ん角肉味玉+バリカタ替え玉2玉+辛子明太子ご飯)を終え、主は幾分気だるげだった。
紫色の長い髪、整った顔立ちにおっとりとした目つき、標準よりかなり大きなおっぱい。
彼女は爪楊枝を意味もなく咥えたまま、強烈に大蒜臭いげっぷを放ちつつマイパソコンの前に座った。
瞬時に起動したパソコンと、空中に浮いたいくつものウィンドウを確認しつつ猛スピードでタイピングを繰り返す。
普段は移動式のラボで世界各地を転々としている彼女ではあるが、このような拠点も無数に用意してある。
特にこのビルのこの拠点は最高にお気に入りだ。
下の階のメンツが非常に愉快で愉悦なのだ。主催者とスパハカーとはヲタと厨二病と秋葉を愛するという点でマブダチとも言える。
親友と親友の弟と実の妹以外の人類の大半は有象無象としか認識してない彼女としては例外中の例外と言えるだろう。
彼らの発明品を色々と弄り回し、ビット粒子砲を荷電粒子砲に改造したりして仲良く遊んだものだ。
ちなみにどこまで出力を上げられるかビルの屋上で最高出力発射を行った所、秋葉原目掛けて落ちてきた人工衛星を蒸発させたこともある。
なかなか刺激的な思い出と言えよう。

「へー、なかなか面白い事態になってるねー、ちーちゃんや、いっくんも頑張ってるし『逸脱』も激しくなってるしなぁ」

盗撮と思しき画像を無数に開き、彼女はニヨニヨと笑顔を浮かべる。
そこにはラッキースケベないっくんの日々、ドイツから来た少女との死闘、他の少女たちとの年頃な戦いに身を投じる愛しい妹の姿。

「予定よりは少々早いけど、あの子に紅椿をプレゼントしちゃおっか。
 このままじゃ他のライバルにいっくんモグモグされちゃいそうだしね~」

彼女の中のもう一つの記憶に載っている機体は既にロールアウト可能だ。
彼女―篠ノ之束の記憶には幾つものエラーが発生している。
そのエラーは彼女に未知の知識を与え、この世界の近未来のあり方を伝え、本来なら持ち得ない右脇腹の回路を彼女に与えた。
この回路の存在こそが篠ノ之束における最大の差異とも言えた。

「そう、このまま予定調和どおりなんてさせるものかっての。
 なぜなら、私はウサ耳なマッドサイエンティスト、我が求めるのは世界の混沌! 秩序の崩壊!」

二階の彼から譲られた白衣をバッと翻し、さらに更に更々に翻しクルリと回転。

「そして―――浪漫と妄想に満ちた世界…………って私の中に居る誰かが言ってる、そう、私の脳髄は世界を革命できるのだー!!」

荒ぶる厨ニ病のポーズを炸裂させながら、邪気眼だけど本気で世界を滅ぼせる知性と恍惚を内包したマッドサイエンティストは高らかに嗤う。
そう、下の階のスパーハカーが暇を持て余してメールで『ネトゲしようず』と誘いをかけて来るまで哄笑は続いたという……。

やおい

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最終更新:2013年05月12日 22:54