86 :二二三:2013/04/05(金) 02:05:19
929氏の最後の出撃の裏的なネタ~
鳩「高麗は友人でトゥエルブは親友」
東京都内にある公民党党本部では戦場からの生中継に騒然となっていた
「予想はしていたがこれほどとは……」
「我が国の持つ科学技術はたいしたものですなあ」
「感心してる場合か!我々の友好国が崩壊寸前なのだぞ?!」
祖国日本にとっては敵となった高麗だが、彼らにとっては
アジアの友
無謀にも日本に宣戦布告したその友は風前の灯という有り様だった
テレビに映しだされた蒼空を思わせるカラーのKMFが、たった1騎で100騎以上の高麗軍KMFを撃墜しているのを嫌というほど見せ付けられている彼らのSAN値は急上昇中である
「時代遅れの第四世代機とは言え戦闘機まで撃墜しているぞ」
「あれはもう怪物だ」
「その怪物を作り出したのは我が国であることを忘れるなよ?」
日本人でありながら高麗軍を応援していた売国議員たちは味方のはずの同盟国ブリタニア高麗攻略軍司令官の一人、
ナイトオブトゥエルブモニカ・クルシェフスキーが操る蒼空のKMFフリーダムが見せた鬼神のような戦いぶりに言葉を失っていた
「しかし〈ラウンズの戦場に敗北は無い〉とはよく言ったものだ。あれが撃墜されるのは想像できん」
またもジェンシー、ガン・ルゥが十数騎まとめてスーパーヴァリスの餌食になっている
まったく抵抗らしい抵抗ができていない様子から、かの機体の動きが見えないのだろう
87 :二二三:2013/04/05(金) 02:06:28
「第九世代KMFフリーダムとナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキーの組み合わせがここまで最悪な結果に結び付くとは思わなかった」
暗い目で画面を睨み付けているのは公民党代表剣尚人
世間では駄剣の渾名で呼ばれている彼にとって、金のなる木を潰すモニカは政敵枢木ゲンブと同じくらい気に食わない人間だ
「くそっこんな調子では高麗は愚か清まで無条件降伏だぞ!」
「なにがブリタニアの戦女神だ疫病神め!」
幹部たちも世界最強と謳われる自国製KMFフリーダムとそれを駆るモニカを口汚く罵っている
本来なら自分達の国を侵略してきた相手を撃墜するモニカは称賛されて然るべきであるにもかかわらず罵倒されるという、実におかしな構図ができあがっていた
「そもそも我らが頼りない友人たちはなにをトチ狂って日本侵攻などしてきたんだ?お陰でこっちは大口のスポンサーを2つ同時に失うことになってしまったではないか……」
などと言いつつシベリア戦争が順調に進みすぎたのが悪かったのは皆理解している。しかし現実を見たくないのか誰も口にしなかった
その代わりとしてモニカとフリーダムに不満をぶつけていたのである
「クルシェフスキーめ、小娘の分際で調子に乗りおって」
「剣代表、ここはクルシェフスキーのマイナスキャンペーンでも仕掛けますか?」
幹部の一人が進言する。相手が同盟国の人間だとかまるで考慮していない軽率な発言だが、ことこの場においては誰も咎める者はいない
「そうしたいのは山々だがやってしまえばクルシェフスキー侯爵家を丸ごと敵に回してしまう。それどころかあの悪魔の連れ合いまで敵になる
今はまだ睨まれているだけで済んでいるが老いぼれとクルシェフスキーを同時に敵にすれば我が身の破滅だ」
遠回しにやる分には蜥蜴の尻尾切りで逃げ切れるがこのタイミングでやればほぼ確実に強制捜査の対象となる
剣尚人はそれがわからないような馬鹿ではなかった
それに彼が老いぼれと吐き捨てる人物を本気で怒らせるのは危険極まりない。それこそこの場にいる全員の首が物理的に飛びかねないのだ
クルシェフスキー侯爵家にしても同じだ。抜け道の用意がない状況であの大貴族相手に下手な行動は取れなかった
という具合に気力を奪われていく公民党一同
「わわわ、スゴいスゴいよ尚人くん!」
「……」
そんな中でただ一人だけがテレビに釘付けになっていた。それも称賛の雨霰である
「モニカちゃんカッコいいなあっ!ボクもアレに乗ってみたいなあっ!」
その男、公民党の中にあってなぜかモニカを持ち上げている
「鳩川さん、あなたこの状況がわかってるんですか?我々の友人たちがあの女に消されていってるのですよ?」
誰もが見ないように目を反らしているなか剣はその男、鳩川雪夫公民党幹事長に注意した。意外にも注意された彼の表情が政治家のそれに切り替わる
「剣代表、確かにあなたが言われるように友人たちが散っていくのは悲しい」
さっきまでのはしゃぎようが嘘みたいだ
「ですがそれを許すのが真の友愛精神なのです!ですから私はクルシェフスキー卿を許します、彼女もまた友愛精神を持つ我々の親友ではありませんかっ!」
(友愛精神の前に精神病院にでも行ってこいッ!)居合わせた一同の心の叫び
しかし友愛を語り始めた鳩川になにを言っても無駄である
諦めの境地に達した彼らは果てなく続く同志の電波に耳を塞いで堪えていた
最終更新:2013年05月14日 20:00