142 :二二三:2013/04/07(日) 13:55:58
コードルーピー 友愛の雪夫


皇暦2020年。大日本帝国第XX回衆議院総選挙において謎の大躍進を遂げた最大野党日本公民党は、衆議院単独3分の2という絶対的多数の議席を獲得
国民の支持を背景にした数々の夢見心地な政策を展開していった
子供手当て・年金保障の為の消費税15%アップ・最低賃金時給2000円
更に公民党初の総理大臣鳩川雪夫は「東シナ海を友愛の海にする!」と宣言、沖縄・台湾・海南島の戦力を5割削減してしまった

「平和を推進するのに軍事同盟は要らない!」

続いて彼が手をつけたのは日ブ相互補完条約内にある軍事条項の削除。友愛や平和を広める彼にとって、この軍事条項は邪魔であったのである
言うまでもなくブリタニア側は猛反発した。国家間の取り決めを、それも軍事同盟というもっとも重要な条項を、一方的に破棄するなど国際法的にも非常識極まりない

「いったいどういうつもりですか鳩川総理!納得のいくご説明を!」

在日ブリタニア大使コーネリアや駐在武官のモニカも、総理官邸に出向いて鳩川を睨み付けながら抗議した

「申し上げた通りです。友愛を広めるのに軍事同盟など必要ありません」

だが鳩川は友愛のために軍事同盟はいらないの一点張りでとりつく島もなかった
しかし本国では突如とした日本の暴挙に「清のような侵略戦争を始めるのではないか?」と不安の声が上がっているため引き下がれない
もし日本が戦争を始めればまともに渡り合えるのはブリタニアだけ、そのブリタニアも国土が灰塵に帰す可能性が極めて高く、日本相手の戦争などできるものではなかった。万一開戦となれば激戦の果てに両者共倒れ、何億という犠牲者が出てしまうのだから
無論のこと日本がブリタニア相手の侵略戦争などという愚かな行動に出るとは思わないが、絶対に大丈夫という保証はどこにもなかった。なにせ鳩川雪夫はブリタニアの皇族・貴族の間ではかなりの危険人物として知られている
とくに日本にいるコーネリア・ユーフェミア両皇女、ナイトオブトゥエルブモニカ、ブリタニアと親交の深い嶋田繁太郎を始めとした前時代の政治家たちは「あの男が政権を握れば日本、いや世界の終わりだ」と注意喚起していたほどだ
しかし帰ってきたのは非情な一言だった

「モニカちゃ……クルシェフスキー卿。コーネリア大使。貴女方は私のトモダチです」

「トモダチじゃない!」叫びたいのを我慢する二人に鳩川は言葉を続ける

「ですが!私の友愛道に立ち塞がるのなら容赦はしない!」

カッと見開かれた両目は目玉が飛び出しそうになっている。まるで宇宙人のようだ

結局一時間に渡る会談は両者物別れに終わるという無念の結果に終わった


翌日、世界中のトモダチが争い続けるのは、友愛精神が足りないからだ!と宣言した鳩川は、世界を友愛するために動き出す

「ボクは世界の全てを友愛する!!」









「いやああああーーーッッッ!!!」

世界が友愛の炎に包まれるという最悪の光景を見て飛び起きたのは嶋田さんちのモニカさん

「あ、あれ……?」

麗らかな春の休日、ぼーっとしている内に眠ってしまったようだ

「よ、良かったぁ~、」

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最終更新:2013年05月14日 20:20