165 :二二三:2013/04/09(火) 03:53:57
休日氏のいっくん話捏造~&甘い話に挑戦してみた~
付き合う前はこんなこともあったのかなと思った次第です~


飛行服=パイロットスーツ=略してパイスーがおかしい件


山本五十六という男がいる
ある世界では敵の奇襲を受けた末に戦死し、またある世界ではその途上で現れた人型の戦闘機ナイトメアフレームの介入で生き延びる
そしてこの世界の前世では、窓際に追いやられたと思えば逆に表舞台に返り咲いて海軍大臣を勤めたりと、数々の並行世界で数奇な運命を辿るおよそ普通とは縁遠い男
現世でもまた海軍から海軍大臣を経ているため普通とは言えない人生であった彼は、引退した今も時々海軍の観艦式に招待されたりしている

そんなある日の海軍のイベント、今回は同盟国のブリタニア海軍も特別参加していつも以上に盛り上がっていた場に彼の姿はあった

「なんであんなにカメラ持った男が多いんだ?」

山本の目につくカメラ小僧、小僧、小僧。海軍のイベントが人気あるのは確かだがそれにしてもカメラ小僧が多すぎる

「ああ、あの連中は艦艇の他に目的があるんですよ」
事情を知らない山本に、同じく招待されていた元部下の男が詳しい事情を話してくれた

「連中の目当てはグラウサム・ヴァルキリエですよ」

「グラウサム・ヴァルキリエ?」

「あ、ほらあれですよ」

元部下が指差す方向には薄いピンクの塗装を施されたヴィンセントが四騎、一糸乱れぬ編隊飛行をしている

「ほう、中々に見事だ。しかしあれは海軍機ではないだろう?」

「仰る通り海軍機ではありません。ナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリー卿の直属部隊です」

「なるほど、ラウンズの親衛隊か」

そうナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリーとその親衛隊グラウサム・ヴァルキリエである

「美人揃いの女性のみで編成された部隊です。早い話あのカメラ小僧たちの目的は彼女たちなわけですよ」

「そういうことか。呆れてものも言えんな」

予定の飛行を終えたグラウサム・ヴァルキリエは母艦であるブリタニア空母に戻らず、そのまま山本たちが乗っている揚陸艦に着艦してきた
観客へのサービスといったところか。普段あまり目にすることがないラウンズ親衛隊のKMFをここぞとばかりに撮影するカメラマンたちと、グラウサム・ヴァルキリエ自体が目当てのカメラ小僧
日本軍側への挨拶のために降りてくるパイロットたち

166 :二二三:2013/04/09(火) 03:55:14
「な、なんという破廉恥な格好をしとるんだ、」

始めてみたヴァルキリエ隊のパイロットスーツ姿に思わずツッコミを入れてしまう山本。まあ気持ちはわかる。なにせメンバー全員が胸元と腹部、太ももの部位が露出した紫と黒のハイレグ水着のような飛行服を着ているのだから
彼女たちは迎え入れる形となった艦長や乗組員と握手をしながら何やら言葉を交わしている

「まあブリタニアですからね。ほら、クルシェフスキー卿やアールストレイム卿の飛行服も結構露出部多いですし」

「確かにそうだが、それを考慮しても彼女たちのは破廉恥すぎ……?!」

山本は話の途中で言葉を切った。切らざるを得なかったのだ。カメラ小僧たちが炊くフラッシュの嵐のなかに知っている顔を見つけてしまったから

「どうされました?」

山本の視線の先を追う部下。そこには海風に煽られて靡く金色の長髪を手で押さえる女性がいた

「ああ、彼女は確かリーライナ・ヴェルガモンですね。ブラッドリー卿が不在の際は代わって部隊の指揮をとるグラウサム・ヴァルキリエの隊長みたいな人です」

「お、おかしなことを聞くが、彼女に双子の姉妹はおらんか?」

「いえ、そんな話は聞いたことないですね。彼女がどうかされましたか?」

「い、いや、知り合いと似ていたのでな……」

似ているどころかどう見ても本人である。
向こうもこちらに気付いたのか大きく目を見開いて驚いたあと、笑顔を浮かべながら手を振ってきた。だが振られた山本はというと、ふいっと視線をそらして無視

(あんな恥ずかしい格好をしとるあいつと手なんか振り合えるかっ!)

そんなことしたらカメラマンやカメラ小僧は一斉にフラッシュを炊くことだろう。そして翌日の週刊紙にあの恥ずかしい飛行服を着た彼女と並んで写真を掲載されてしまう

(しかし、あいつがナイトオブテンの親衛隊とは知らなかった。大使館の警備要員ではなかったのか?)

普段から二人で出掛けることは多いが仕事の話はあまりしないため彼女の事情を詳しく知らなかったのである

(まいったな、いくら友人とはいってもラウンズの親衛隊であれだけ人気があれば三流ゴシップ誌の記者が張り付いていてもおかしくはない)

万一あんな服装の彼女と親しげに話しているところを写真に撮られでもしたら、面白おかしく捏造した記事を書かれてしまう

(大体なんだあの飛行服はっ、破廉恥極まりないだろう!女性というのはもっと慎ましやかに奥ゆかしさを持ってだな……)

あれはないと考える自分が古いのか?露出過多な飛行服を採用しているブリタニアがおかしいのか?
頭を悩ませる山本の携帯がブルブルっと震えた

「誰だ」

取り出した携帯を開く。メールだ


From:リーライナ

Sub :コラ~ッ!

本文

コラ~ッ!無視するな~ッ!


「ぶッッ!」

「山本閣下?」

メール内容を読んで噎せる山本を元部下が変な顔をしてみていた

「い、いや、なんでもないんだ、」

メールを読んだ山本は彼女の方を向くと片手で「すまん」と謝罪した

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年05月14日 20:34