408 :二二三:2013/04/19(金) 01:59:16
休日氏の
勘違いした田舎者でバカ男爵が話し掛けてた従者の心境を書いてみた~
なんか従者はモニカさんのこと知ってたみたいな感じを受けたので色々考えてたのかなと思ったもので
バカ男爵の従者と家の事情は勝手に作りました
バカ男爵の従者の心境
「俺は騎士侯とか武勲侯とは違う上級貴族なんだぞ」
「はい、その通りでございますねフランク様」
また始まったよ俺は偉い談義。こいつの凄いところは自分が高位貴族だと本気で信じているところだ
貴族ってのは上から順に
大公爵
公爵
侯爵
辺境伯
伯爵
子爵
男爵
騎士侯
武勲侯
となっていて、男爵なんぞ下の下だってのにやたらと大貴族大貴族と言って自慢してるから恥ずかしくてかなわない
すべての原因はこいつ専属の家庭教師にある。こいつの家庭教師はお世辞ばっか言う胡麻すり野郎で、こいつが小さい頃から変なことばかり吹き込んだせいで稀代のバカ貴族になってしまった
「坊っちゃまは大貴族でございます、将来は旦那様の後をお継ぎになられてロズベルト男爵家のご当主となられるのです」
「それは偉いのか?」
「もちろんでございます、なにせ騎士侯や武勲侯のような一代限りの爵位ではなく、永代の爵位でございますれば坊っちゃまは大貴族となります」
「そうか!俺は偉い大貴族なのか!」
こんな教育してりゃあバカにもなる
だいたい俺はこんなバカじゃなくて俺が行き倒れていたとき助けてくれた大恩ある先代のロズベルト男爵、旦那様にお仕えしようと仕官したってのに旦那様はもう歳だからって少し前に家督をバカに譲って引退するし最悪だよ
バカの自慢話はまだ続いてる。俺は10平方㎞の広大な領地と1500人の領民持った大貴族で日本の名士米内光政と懇意の仲だぁ~あ?
アホかこいつは?狭い領地とあの地方にしては多い程度の領民抱えてるだけだってのになにを威張ってるんだ
おまけに米内家が日本の名士?米内といえば日本の前世代の重鎮である嶋田卿や辻卿の不興を買って失脚したやつじゃないか。貴族ならまともな教育受けてりゃ子供でも知ってるようなことだぞ?どんな交友関係持ってるんだよこのバカは……
410 :二二三:2013/04/19(金) 02:02:35
「おっと」
あ、まずい。平民の女の子がバカにぶつかった
こいつバカでアホなくせして自尊心だけは人一倍強いんだよ。案の定小さい女の子相手に凄みをきかせてるし……
「貴族が歩いていたら平民は道を開けるのが礼儀だろう」
いつの時代の話してんだよ!?
確かにそういう風習や作法は今もあるっちゃあるが、今じゃ「平民を大事に」ってのが暗黙の了解になっててそんなこと強要する時代遅れはめったにいないぞ
これ、ほっといたらまずいよな?さすがにこんな往来で無茶やらかすことはないと思うが、バカに常識は通用しないし
「やめなさいっ!」
んで止めようとしたんだけど通り歩いてた人が代わりにバカを止めてくれた
おお、すっごい美人だ。前髪ぱっつんと切り揃えて身体の前に流した金色の髪の毛には赤いリボンをくるくるくる……あ、あれ?見たことあるぞこの人……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
やっべぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――ッッッッッッッ!!!
「こんな小さな女の子を泣かせたりして恥ずかしくないのですか!」
ヤバい、ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいィィィ!!!
ヤバすぎるって!!!
はい!もちろんあなた様の仰られる通ォォォォ―りでございますはい!
おいそこ!子供が悪いとか言うんじゃない!お前が悪いんだよ、百パーセントお前が悪い
たとえお前が正しくてもこの御方が仰られる以上お前が悪いんだよ
「よもやこの俺をフランク・ロズベルト男爵と知っての――」
この御方がお前のことなんか知るわけないだろっ、ってなんでお前はこの御方を知らないんだよ?!
だ、ダメだ、これ以上こいつに好き勝手喋らせていたらなにを言い出すかわからない、こいつがどうなろうが知ったことじゃないけど旦那様が悲しむし、旦那様にもとばっちりが行きかねない
こいつの従者である俺もヤバいし
「も、もうやめましょうフランク様!子供にぶつかられたくらいでお怒りになるなど貴族のすることではございません!」
本当はこの場ですぐ土下座させたかったが、このバカがこの御方を知らない以上またとんでもないこと言い出すかも知れない。となればここはこの場を去るのが正解だ
バカも引き下がる気になったのはいいが、この御方の名前、"モニカ・クルシェフスキー"を聞いてもわからないみたいで、どこの田舎者だ?とかほざいている
田舎者はお前だよ!というかもうなにも言うな!
「口の聞き方に気を付けろよ」
お前が気を付けろバカ!クルシェフスキー卿に向かって下級貴族とか言ってるし、もういやだ、こんなバカに付き合って俺まで無礼討ちにされたくない!
貴族だからといって無闇に権力を振り回すのはよくないと諭してくださるクルシェフスキー卿にバカは騎士侯風情がとか返してる……
そこでやっとのこと歩き出したバカの後ろに付いていきながら後ろを振り返った俺は何度も何度も頭を下げた
バカですみません、バカですみません
「フ、フランク様、よくお堪えになられましたね、」
「あんな下級貴族相手に本気になるような小者ではないからな」
いい加減にしろよこのバカ!お前が下級貴族なんだよ!
しかしなんにもわかってないバカは俺が小心者だのクルシェフスキー卿を騎士侯風情だの言いたい放題
わかってんのか?お前が喧嘩を売ったのはナイトオブラウンズでクルシェフスキー侯爵家のご令嬢なんだぞ?ロズベルト男爵家なんかいつでも潰せる正真正銘の大貴族なんだぞ。バカなの?死ぬの?
それとな、勘違いした田舎者はお前だから
とにかく旦那様へ報告しないと。そのあとはクルシェフスキー卿と侯爵家に謝罪だ
ああ、頭が痛い……
最終更新:2013年05月15日 20:34