682 :共通話6裏:2013/04/26(金) 23:22:17
共通話6の裏話。

683 :共通話6裏:2013/04/26(金) 23:23:14



共通話6裏





どことも知れない施設の一室。
そこには壁に掛けられた大きなスクリーンが有り、高麗陸軍の軍服を着た中年の男と、長く伸ばした顎髭と同じく長い白髪を持った老人の二人が画面に映るKMFの戦闘を見ていた。

「おおッ! もの凄い威力ですなッ!」

画面のKMFが放つ青白い光線と、その光線に撃ち抜かれて爆散するガン・ルゥを見た陸軍の男は椅子から立ち上がって拍手をしながら喜色満面に笑う。
それだけ自国のKMFとは比べものにならない戦闘力を発揮しているのだ。

「あの砲があれば、1騎で数十騎の敵を屠ることが可能ですなッ!」

確かにその砲が撃ち出される射線軸にいれば、一撃で十数騎の、場合によっては数十騎のKMFを屠ることも出来るであろう。
アレを何発も連続して撃ち込めば百の大台を撃破することすら可能なのかも知れない。
だが、陸軍の男の浮かれた様子を見ていた老人は、深い溜息を付きながら思うのだった。

(これじゃからノータリンのアホは……)

あの砲、ギガソートカノンを開発した老人は浮かれてはしゃぐ高麗陸軍参謀総長を小馬鹿に横目で見ながら小馬鹿にしていた。

「ガイストの性能のほど、篤とご覧頂けましたかな?」
「勿論ですともッ!」
「では1騎3兆。2騎で6兆ウォンの契約で宜しいですな?」
「ははは、あれだけの物ならば1騎3兆ウォンというのも致し方ございませんなァ」

684 :共通話6裏:2013/04/26(金) 23:24:20






「お疲れ様でございます」
「ん、」

商談を終えた老人が自室として貸し与えられた部屋に戻ると、彼の部下が出迎え、主人に頭を垂れていた。

「ノータリン共の相手をするのは疲れるわい」
「しかし、今回はそれがお仕事故、仕方のない事かと」
「わかっとる」

どかっとソファに腰掛けた老人は、商談内容を聞いてくる部下に概要だけ説明すると、この国の上層部はバカばかりで困ると嘯いた。

「あの砲があれば無敵だとか言っておったが、アレは撃てても3発が限度じゃ。業腹じゃが如何に最新のフルカネルリ機関を搭載しておるとはいっても、日ブ共同開発のユグドラシル機関ほどの出力は出せん。
 4発目を撃ったらエネルギー残量的に稼働停止しおるじゃろうし、十分な稼働時間を確保するには3発までじゃな」

老人が開発したフルカネルリ機関の出力は、ユグドラシルには届かないのを自分自身で理解していた。それでも老人は言う。

「じゃが、機関も砲も独力で開発したワシはやはりブリタニア中央学会のクズ共より上じゃ! そうじゃ、そうに決まっとる! それがわからん愚か者共は皆死んでしまえッ!」

テーブルに置かれたワイングラスを一気に呷った彼は、手にしたグラスをテーブルに叩き付ける。
ガラスの割れる大きな音と、砕け散るグラス。

「フゥーッ、フゥーッ、」
「お、落ち着いてくださいプリーストッ、」

いきなりの激昂に慌てふためく部下は、老人を諫めに入った。
枯れ枝のように細い身体と腕をしているが、ことブリタニア中央学会の事を話し出すと周囲が止められない程の暴れっぷりを見せるのだ。

「と、ところで、商談の方ですが、ずいぶんふっかけたようですねッ、」

とにかく話を逸らして落ち着かせようと、元の話題に戻す部下。

「ふんッ、製造開発費+予備のパーツと人件費込みじゃからな」
「は? じ、人件費?? し、しかしジェネラルやビショップには……」

おかしな話だ。納入したガイストは高麗の部品と設備、及び整備員で全てが賄えるという話であったはず。
ジェネラルやビショップにそう説明していたし、合衆国議会にもそれで話が通っていたのを聞いていた。
それなのに人件費や呼びパーツの話が出てくるのだから疑問に思うのも無理はない。

「不十分な整備でいいなら高麗で充分賄える。じゃが、100%の状態にするには向こうの整備員を教育せんといかんからな。考えてもみい、あの猿共に荷粒子砲の整備、第七世代相当のガイストの整備が出来ると思うか?
 最低限の教育はしておかんと直ぐさまぶっ壊しおるじゃろうなあ。ついでに言うなら合衆国ですら量産できんというのに、解析もコピーも不可能じゃよ。
 猿真似をするにも限度というものがあるからのう。もっとも、あのテストパイロットの1人は色々勘付いておったようじゃが」
「自国での運用は無理だと?」
「おそらくなあ。テストの最中もギガソートカノンを1発も撃っておらん。代わりに他の武装の威力と、どれだけの動きが出来るかを試しておったよ。1発の特殊兵器よりも通常の武装でどこまでやれるか見ておきたかったんじゃろうな。
 あやつならあの機体の性能限界ギリギリまで引き出して使えると見た」
「そのようなデヴァイサーが高麗にいるとは……」

部下としては極東の小国にそんな人間が居るとは信じられなかったが、老人がこう言う以上確かな話なのであろうと納得した。

「しかし、本国やビショップ様たちにはどう説明なさるのですか? 高麗のみでは不十分な性能しか発揮出来ない事」
「なぁ~に、開発費に掛かった金の1.5倍で売りつけてやったんじゃから文句は言わせんて、それにワシの実験機として作ったんじゃしの? ひょーほっほっほ!」
「は、はぁ、」

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最終更新:2013年05月15日 21:00